贈り日記

トルティーヤ

笑いかけて

「僕の弟はね、とても可愛いんだ」

私は、静かに告げました。

「弟って、どういう生き物なのか、よく分からないわ」

けれど、彼は

「弟はね、人間なんだ。
辛い時や悲しい時は泣くし、
嬉しい時は声を上げて笑う。
だからね、弟を見ていると、
人という生き物はなんて
不思議なんだろうって思うんだよ」

と、笑顔で話していました。

彼は、どんなときも弱音を吐かなかった。

だから。私は好きだったんだ。

私が弱音を吐く訳には行かない。

わたしは、静かに康介に拾った貰ったハンカチで涙を拭きました。

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