ナーガルキャッツライフ

オンスタイン

5話 監視所の夜<後編>

脱衣所に入ると洗濯機に洗面台、トイレまでついてあった
「この支部、意外としっかりしてるわね」
支部と聞くと汚かったり設備が不十分だったりするものかと思ったが案外ここは、きれいで設備もしっかりしている。確かにこれなら十分、寝泊りできる場所ではある。
「とにかく、さっさと入った方が良さそうね」
ぐだぐだしてると誰かが入ってくるかもしれない。それだけは避けたかった
少し急ぎめで服を脱ぎ、全裸になる。するといつもは隠している尻尾が露わになる
単に裸を見られたくないというのもあるが一番の理由はこれだった
風呂場に入りさっそくシャワーを浴びる
すると突然、後ろから何者かに尻尾を掴まれた
「ふにゃっ!!」
体が飛び上がりそうになりながらも後ろに振り向く
「えらい可愛ええ反応やな~ジジちゃーん」
なんと、風呂場にリッカが入ってきていた
急いで尻尾を掴んでいる手を振り払う
「なんであんたが入ってきてんのよ!?」
そう言うとリッカはニヤニヤしながら近付いてきた
「失礼やな~支部の部長様にあんたとは~。愛称こめてリッカ様と呼んでもらおうかジジくん!」
かなり距離が近いためか、リッカの胸が体に当たっている。悔しいがでかい
「女同士といえど勝手に入ってくるのはどうかと思うけど?」
不満をぶつけたがリッカはまったく悪びれる様子はなかった
「ごめーんゲームしてて気づかんかったわ〜」
入るときにパジャマを貸すといったのは誰かしら…?
「まあ細かいこと気にせんと〜初日やし仲良くしてーなー」
ほんとにデリカシーのない大人だ…
結局、リッカは最後まで上がらなかった
風呂から上がり体を拭いているとリッカが猫の肉球が大きくプリントされたパジャマを差し出してきた
「これ私が来てから用意したものかしら?」
仕組まれているとしか思えなかった
「さあ〜ウチがそないに面倒くさいことする思うか?」
言われてみればしなさそうだ

脱衣所から出るとヨナが椅子に座ったまま眠っていた
それを見たリッカがヨナを起こそうと近づき声をかける
「ヨナちゃ〜んおーふーろー」
私は喉が乾いたので水を飲もうとヨナの横を通ろうとした
「はいはい、分かったよ…」
ヨナは寝ぼけながら私の服を掴んできた
「ヨ、ヨナ…服が伸びる…」
「んっ?…あっ!悪ぃ…」
ジジは少し顔を赤くしながら水を飲みに行った
するとリッカさんがニヤニヤしながら見つめてきた
「いきなり服脱がそうやなんてヨナちゃん大胆やな〜あっジジちゃん冷蔵庫にジュース入ってるでー」
ジジは言われた通り冷蔵庫からジュースを取り出していた
「脱がそうなんて思ってねえよ。ジジが誤解するから勘弁してくれよな…」
俺はため息をつきながら言った
するとリッカさんは反省する様子もなく大笑いして言った
「あんたらやっぱり可愛ええな〜!」
そう言ったあとリッカさんは突然なにかを思い出したかのように立ち上がりグラスを3つ持ってきた
「ジジちゃんの入社記念に乾杯でもしよ思てな好きな飲みもん入れてええよー」
そして俺はコーラ。ジジはカルピス。リッカさんはオレンジジュースをグラスにそそいだ
リッカさんがオレンジジュースを入れたのを見てジジが言った
「意外ねリッカ。酒とかにするのかと思ったわ」
リッカさんはそれを聞いて苦い顔になった
「言うなジジ。この人の酒癖はエグいからな…」
俺がリッカさんの代わりに説明した
ジジは首をかしげたままだった
「ほな、気を取り直して…」
リッカさんがグラスを手に持つ
「ジジちゃんの入社を祝して〜」
そして俺たちは一斉に言った
「乾杯!」

コメント

  • 神月闇子

    おーいヨナくーんジジの服を掴むんじゃなくて胸を揉め〜

    0
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