異世界魔女は気まぐれで最強です。

雨狗 嗄零(あめいぬ しゃお)

中央領域

現在の魔女にまた勉強をするように言われたアサミは、今現在の魔女:ディアナの他に2人の魔女を紹介されていた。

「はじめまして!私は「原初の魔女:ホルン」だよ!こんな見た目だけど、れっきとした魔女なのでよろしく〜!」

「初めましてアサミさん。儂は「終焉の魔女:ロバン」と申します。辛い境遇を超え、今こうして合間見えたこと嬉しく思います。」

原初の魔女と名乗ったホルンの姿にアサミは驚いていた。自分よりも幼い姿をしていたからだ。
茶色い髪に背は低く、軽い口調。
とても魔女とは思えなかった。

それに対して、終焉の魔女:バロンは年老いた老婆であった。
腰がすこし猫背になっており、体を隠すような黒に近い紺色のローブ。
フードを軽く被り、金色の瞳、垂れ下がる長い白髪はまさしく物語に出てくる魔女を彷彿とさせた。
2人姿に衝撃を受けつつ、話は進んでいく。

この中央領域は、今アサミの目の前にいる三人の魔女をトップに回っている。
生産、研究、商業関係を管理しているのが原初の魔女:ホルン。
軍事、治安維持、外交関係を管理しているのが終焉の魔女:ロバン。
そして、この2人の上に立ち全てを管理しているのが現在の魔女:ディアナ。

ちなみに、ホルンは人間、ロバンは龍人、ディアナはハイ・エルフだと説明された。
設定モリモリの魔女たちに、アサミはどう答えていいのか分からないのであった。

「アサミ。今日こうして他2人の魔女を紹介したのはこれからどういう仕事を割り振っていくかを決めるためよ。働きながらあなたには知識を蓄えて行ってもらうことになるけれど、本人にある程度の選択肢を与えたいと思ったの。だからこの場を作ったってわけ。」

「私のところは忙しいよ〜。なんたって、第一次産業の仕事が多いからね。危険は少ない分やること多いし、需要も多い。人を使うことも多くなるからいい経験になると思うよ!」

「儂のところは何より実力が物を言う部署です。多くの部下を連れているが、基本的には争いごとを収めたり、敵を退けたりと荒事が多い。何より精神的にも、肉体的にも厳しい場合もあるが、まあ、ここじゃあ必要な経験ですよ。」

なにやら、やる気を削いでくるような説明にアサミは苦笑いを浮かべるしかなかった。
それは、現在の魔女:ディアナも同じように感じたらしく、ため息を1つつくとアサミに取り敢えずの案を出してくれた。
そして決まったのは、原初の魔女:ホルンのところであった。



魔女たちの元を離れ、ホルンに付いて道を進む。
ホルンに連れられ転移した場所は、畑がたくさんある場所で、農道の真ん中をお喋りしながら歩く。

「結構近くまで来たし早速仕事をしてもらうからねー。と、その前に・・・ティク〜、トク〜今すぐ来て〜〜〜!」

ホルンが大きな声で叫んだ。
可愛らしい声で、顔を真っ赤にして大きな声で叫んだ後、一瞬にして2つの光が現れその中からおじさん2人が現れた。

「な"!!だれ!?」

「紹介するね!この2人が私の側近で〜魔女の眷属!ティクとトクだよ!「ゴン!」イッターイ!!!!なにすんの!!!」

「なにすんの!じゃねーだろ!いきなり呼び出しやがって、今仕事中だったんだぞ!お前が押し付けた仕事をやってんだから、急に呼び出すな、このバカ魔女が!」

「まぁ、まぁ、トク。それくらいにしとこうぜ。一応バカ!でも俺たちの上司だからな。ただ、くだらない用事で呼び出したなら話ば別だがな。」

現れたおじさんたちはの1人がホルンの頭を殴った。ここのトップの1人の頭を殴っていいの!?
トクって殴ったおじさんを呼んでたから、抑えてる人はティクさんだよね?
なんか、すごいフレンドリーな関係なのかな?

話についていけず、置いてけぼりのアサミをよそに流れるような押し問答が繰り広げられる。
それが落ち着き、やっとアサミにも話ができる番がやってきた。

「呼び出した理由ならしっかりあるわ!今度魔女たちの側近になったアサミよ!今日からしばらくの間、研修を兼ねてうちで預かることになったの。それで、紹介も兼ねて呼び出したってわけ。」

「そういうことか。てっきり、やれあれがしたい。これが欲しい。俺たちに、あーしろ、こーしろ言うのかと思ったぜ。」

「呼び出された理由はわかったが、俺たちにどうしろっていうんだ?」

2人のおじさんは、結構いい人そう。アサミは密かにそう思う。

「それなのよ、どこの仕事をやらせるか悩んでてね。決めかねていたんだけど、殴られていいこと思いついたの!そ、れ、は〜、研修なんだから全部やってもらいましょう!!」

「「「・・・。えーーーーー!!!」」」

「「本気かーー!!!こんな嬢ちゃんに一通り教えろってか!」」

「2人して叫ばないでよ。歳は取ってるけど、どこも耄碌もうろくしてないんだから。」

「あのー、そんなに大変なんですか?その仕事って・・・?」

「あー、大丈夫、大丈夫!一通り教えるだけで、ほとんど体験みたいな感じだから。何事も経験、経験!」

不安そうな表情のおじさん2人、笑顔の幼魔女。
不安しか感じ得ないこの状況で、アサミは無事に帰れることを願うのであった。

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