私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!
迫り来る脅威
地球から100億光年離れた宇宙に想像を絶する速さで進む彗星船があった。
「まったく姫様の気まぐれに振り回されるのは何時だって俺らなんだ!」人間にそっくりな大柄の男が怒りを顕にし、彗星船から外にでて惑星を破壊し始めると、暗い宇宙に惑星の爆発する光が無数に輝いた。
「アップル!それくらいにしなさい!置いていきますよ!それに元はと言えば貴方がいけないんじゃないですか」自分よりも若く頭の良さそうな若者に鋭い目線で睨まれると、アップルと呼ばれた男は、つまらなそうに惑星を破壊するのを止めて彗星船に戻った。
「ヨハ!見ろよ、怒られてやんのあのハゲ、バカ過ぎだろ」後方で無邪気に笑う少年と、それを呆れた顔で見つめる少女
「ネルも負けてないくらいバカよ」ヨハと呼ばれた少女はかほそい声でボソリと言うと、少年は手足をばたつかせながら必死に否定の抗議を見せたが、少女は無表情で無視した。
船内での騒ぎなど全く気にせずに、司令室の巨大モニターを凝視している一人の聡明な顔付きの青年の鋭い目線は、遥か遠くの目的地を捉えて微動にしない。その表情はまるで獲物を狙っている狼のようだ。
そんな彼の横顔を、左後方の席で見つめる同い年位の美しい金髪の女性がいた。
「どうしたの?何時もまして言葉数が少ないじゃない、何を考えてるの?」
「・・・・」
凝視した目線は、彼女の言葉でも解くことは出来なかったが、口許が僅かに動いた。
「・・X29104」
彼女の記憶から数字に当てはまる惑星のことが思い出された。
「・・だからなのね」
彼女は、彼の腕に残る傷がある場所を服の上から触った。
私達アギス・ロザリア種にダメージを与えることが出来るのは、Sクラス以上の威力で、それ以下の攻撃は肉体にダメージをあたえるとこは出来ない。
彼があの時に受けた攻撃は、間違いなくSクラス以上のものだった。
アギス・ロザリア種の5人が同時に攻撃したのに、気を抜いたらこちらが全滅しかね程に、一人の子供に苦戦させられたのを覚えている。
その時に助けに来てくれた彼のお陰で、私達5人は助かったのだが、彼も消えないキズを負ってしまった。
「・・・・ラスティ、任務が最優先よ」
「ああ、分かってる」
その顔は全然分かってないでしょ!多分、頭の中はあの子供ともう一度戦闘することしか考えてないわね。
あれから300億年位は経っているから、もうあの星に居ないか寿命で死んでいる事を願うしかないわね。
男って本当にめんどくさいわね。俺のが強いだの、俺のが頭が良いだの、俺のが格好良いだの、マジでどうでも良いわ!
好きな女の子を一人、守れる位でちょうど良いじゃない。
照れ臭そうに横目で不服そうな視線を送るが、全く無視され頭を撫で下ろした。
☆☆そして彼等が地球に到着するまで14日☆☆
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