私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!

ちょこぱい

星月・ラブハート・マナ



 小高い丘に建つ『星の雫旅館』は500年の歴史を誇る老舗中の老舗旅館、周りの景観を損なわない為の伝統的日本家屋作りと温泉旅館を想わせる装飾、最高級の持て成しで世界のVIPが宿泊する。


 ☆


 最上スィートルームは、真新しい畳の匂いが心を落ち着かせ、解放感抜群の窓の外は湖が一望出来る。


 20畳はある部屋のテーブルを挟んで、星月誠一郎とセルフィーが座っていた。


 「セルフィーさん、お久しぶりです、お元気そうでなによりです」


 世界をリードする企業のトップにしては若すぎる風貌と物腰、初めて接する人から見たら笑顔の素敵な優しい男性にしかみえない。


 実際、とても優しい性格の持主だ。特に娘にレイカや咲良にはとびきり甘い。レイカからの頼みであの時、国連軍を動かしたのも誠一郎だった。


 「誠一郎は忙しそうだな、少しは休んだらどうだ?」


 お茶菓子をつまみながら退屈そうに答えるセルフィー。


 「今回、ここに来たのはそれも少しはありますよ、子供達の顔も見たかったところでしたし」


 「・・・・そのニュアンスだと、他になにかありそうだな」


 「・・はい」


 「その続きは私が話そう」


 奥の扉から入ってきたのは、誠一郎の妻


 この星での名前は『星月・ラブハート・マナ』


 身長は誠一郎より少し小さい170センチ位だろうか、文句の付けようのないスタイル、形の良い大きな胸と桃のようなヒップ、ゴールド色の大きな瞳に長いまつ毛、長い金髪をアップにしているので、うなじが大人の色気を感じさせるが顔つきは童顔、見た目は18から20前半、まさか高校生の娘がいるなんて絶対に想像できないだろう。


 既に温泉に入ってきたのか、浴衣姿のマナは少し頬を赤く染めていた。


 マナが歩くと空気の流れに乗って石鹸の匂いと、シャンプーの香りが鼻から脳を染め、マナの歩いた後の空気を鼻が追いかけてしまう。そして、浴衣の隙間から見える艶やかな肌が、男達の視線の置き所を困らせた。


 「フフフフフ、セルフィー相変わらずじゃな」


 セルフィーは深いため息を漏らす、彼が世界で唯一苦手な女性が、マナだった。


 誠一郎の隣に座り、まるで獲物を狙う猫のような目付きでセルフィーをじっと見つめるマナ。それに対して、目を反らすセルフィー。


 「まぁそんなに嫌ってくれるな、敵対していたのは遠い昔のこと、まだ慣れぬのか?」


 「俺は別に何とも思っちゃいないが、これから来るクロにどう説明する気だ」


 「黙っていれば良かろう」


 「チッ!勘の鋭いクロが気付かないはずないだろう!分かって言ってるんだからタチが悪い」


 若干、険悪な雰囲気になった。


 「まぁまぁ、その事は私が何とかするので」


 「フフ、だそうだ」


 「・・・」


 不満そうなセルフィーに対して、マナは小悪魔な笑みを向けた。


 「さっさと本題を言え」


 マナは遊び足りなそうな表情をすると、お茶菓子を頬張りながら、さらりと言った。


 「あいつらがこの星に戻ってくるぞ」


 ☆


 ちょうどその頃、咲良達が乗った電車が星の雫旅館に到着した。


 「面白かったねぇ、この電車、水族館の中を走ってるんだもん」


 咲良が言っている水族館と言うのは、湖の底を透明な強化ガラスのトンネルを造り、その中を電車で通ってきたからだ。


 水質を厳しく管理しているのだろうか、抜群の透明度で、竜宮城がホントにあったらこんな感じで連れていかれるんだろうなぁって本気で思った。


 まだ余韻に酔いしれていると、横からスッと俺の腕に手を絡めて体を引っ張るやつがいた。


 「みんな待ってるよ、早く行こう!錬太郎」


 振り返る咲良の満面の笑顔がこれから待ち受けているであろう修羅場を、その時だけ忘れさせてくれた。


 

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