私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!

ちょこぱい

行き先は何処ですか?



 「おはよう、錬太郎お兄ちゃん」


 白のオフショルワンピース姿のティアちゃんが満面の笑顔で挨拶してくれた。朝から雑用係のように扱われて傷付いた心が、その笑顔だけで癒されていく、あなたは異世界からきたS級ヒーラーですね。


 「おはよう、ティアちゃん」


 「おはよう!錬太郎お兄ちゃん、凄い荷物だね・・・・何が入ってるの?」


 当然、俺のこの状況を見たらそう思うわな。


 「これは、俺のじゃないよ、これはレイカ達の荷物、女の子の荷物を持つのは男の仕事だからね」


 男っぽいところを見せて好感度アップだぜ。


 「優しいなぁ、錬太郎お兄ちゃん、ティア優しい人大好き」


 やったぜ!今のでティアちゃんの俺への好感度が10はアップしたろ!あと90位で俺たち付き合っちゃう感じじゃねぇ?


 心のなかで浮かれていると隣から頬をつねられた。


 「・・咲良さん・・痛いです」


 「うん!イヤらしい顔してたから直してるの、優しいでしょ」


 目は笑っているがヤバイオーラを感じる。下手したらここで丸焼きにされかねないぞ・・。ここは話題を反らすしかない。


 「そうだ!ティアちゃん、クロノスさんとセルフィーは?」


 「セルフィーさんは現地に直接行くって言ってました、クロさんは朝が苦手だからまだ寝てます」


 ・・あのエロ大魔王セルフィーが、この美女集団に最初から合流しないなんて・・怪しすぎる。なにか企てているに違いない!・・・・会ったら俺も・・加えさせてもらおう!


 クロノスさんとは、あれから何度か話したことあるけど、ティアの姿をした凄く優しい双子のお姉さんさんって感じだな。最初は見分けがつかなかったが、話せば分かるし立ち振舞いも違うから、間違う確率は40%くらいだろうか。


 ルナさんは全く間違えないらしい。ルナさん曰く「全然違うわよ、ティアは子供っぽいけどクロちゃんはお姉さんって雰囲気が出てるし、表情も違うしね」表情の違いなんて俺から見たら同じにしか見えない。まぁ、養子だけど母親だから当然って言えば当然なのかな。


 あとは、クロノスさんの戦闘力にもビックリした。まだ、半分位しか復活してないのに、時間は止められるわ、“天井知らず”の怪物セルフィーをボコボコにするわで、この人も怪物の類いで逆らってはいけない人だ。


 そんなことを思っていると、ティアちゃんが深いお辞儀を俺達にした。


 「今日は旅行に誘っていただきありがとうございます、皆さんには迷惑ばかりかけているのに仲良くしてくれて本当に感謝しています」


 「ティアちゃん、そんな他人行儀みたいに言わないでよぉ、みんなティアちゃんとルナさんが大好きなんだから」


 「そうよ、良いお友達ができて喜んでるのよ」


 良くできた子だ、ルナさんの教育がちゃんとしてるんだな、そういえば、ルナさんって日本で有名な医大を出たお医者さんって言ってたから、ティアちゃんも将来はお医者さんかな。
頭が良くて可愛いければ、寄ってくるのは悪い虫、俺が側にいて守ってやるぜ・・なんて言ったら咲良達から、「錬太郎こそ悪い虫でしょ」なんて言われるんだろうな。


 「さて、そろそろ電車の時間だから行きましょ」


 声の方に振り向くと、いつの間にかガウの手を握ったルナさんがみんなを誘導している。


 そっか電車に乗っていくのか・・で、何処に行くの?行き先教えてもらってねぇぞ!


 荷物係の俺は、全ての荷物を持って後を追いかけて、通り過ぎた電光掲示板に、天然温泉と遊園地が合わさった大型複合レジャー施設の広告が流れてたのを気付かなかった。





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