私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!

ちょこぱい

バカンスの始まり(仮)



 待ち合わせ場所は駅前のロータリーだ。


 今の時刻は朝の7時。
 待ち合わせ時間は7時30分だが、約束の時間より30分前に到着して女子を待っているのが出来る男子の条件と、レイカに言われたのでその条件を実行したわけだ。


 咲良達が来るのを待ちながら、朝早かったからか、俺の背中で寝ている『ガウ』の事を考えていた。


 『ガウ』はサイクロプスのことだ。あの研究所ではサイクロプスと呼ばれていたらしいが、それでは可哀想だし呼びづらいと言うことで、名前を考えることになったが、どんな名前を呼んでも「ガウ」しか返答がなく嬉しいのか嫌なのか全く分からなくて困っていたら、レイカが「なら、もう『ガウ』で良いんじゃない?」の一言で決まった名前だ。


 こいつもティアと同じ魂を移植される器として生まれ、サイクロプスの魂を移植されたわけだが、何故だか、子供の魂とガウの魂が共存している。セルフィーの説明によると 、ティアとクロノスの状態に似ているそうだ。ただ、彼女たちみたく互いを意識して肉体を共有しているかと言えばそうではなく、突発的な感情、例えば、怒りや憎しみ、恐怖などでサイクロプスの方が姿を現す。恐らく、まだサイクロプスの魂が眠りから完全に覚醒しておらず、子供が受ける刺激でのみ目覚めるような感じらしい。あと、完全に覚醒したサイクロプスだったら俺はあの時、確実に死んでいたらしい。


 ・・もう一度、セルフィーに修行つけてもらうにも、咲良やレイカの盗撮なんてもうしたくない。なら堂々と盗撮してやろう、今回の旅行でな。


 「グヘヘヘヘヘ・・エヘヘヘヘ」


 「・・・・・錬太郎?」


 「!!!」


 振り向くと咲良が心配そうな顔で立っていた。突然現れた咲良に驚いたが、そんな事は直ぐに違う衝撃に変わった。


 咲良は首を傾げながら、表情が固まった俺を心配そうに見ている。


 ふわっとした白ブラウス×遊び心のあるドット柄スカートのコーデ。薄化粧とラメの入ったリップ、栗色のショートヘアから見える耳には桜のチェーンピアス。いつもより清楚なお嬢様感がアップして可愛さ200%だ。


 「・・ヵヮィィ」


 「何が?」


 上目目線で俺の顔を覗き込む咲良。
 可愛い過ぎて目を会わせられない。


 「近いって!なんでもないって!」


 「・・ふーん、でも顔・・赤いよ、熱でもあるの?」


 「う、うるさい!」


 心臓が太鼓のバチで勢い良く叩かれているようだ。これ以上叩かれたら、俺の心臓は破裂してしまうだろう。


 「オーィ!みんな、錬太郎いたよ」


 咲良は、駅側の階段から姿を見せたレイカ達に手を降っている。


 「あんたねぇ・・東口のロータリーって言ったでしょ!こっちは西口!バカ太郎!」


 少しカジュアルなショートダッフルに、フラワープリントのふんわりスカート。足元はサイドゴアブーツ、ショートダッフルがクールなお姉さん感を出している。こちらも薄化粧とラメ入りのリップで唇がプル艶だ。髪型は金髪を水色のシュシュで縛りポニーテールにして、耳には、月と星のチェーンピアスが光っている。


 「錬太郎ー!こっちだよー」


 白と水色のギンガムチェックのワンピースにクリーム色のパーカーの組み合わせは、ミーシャだ。ギンガムチェックのワンピースが爽やかさを感じさせ、クリーム色のパーカーが柔らかな印象を与える。


 「ほら、ルナさん達が来ちゃうから早く行こぉって、サイ君寝てるんだぁ、・・かばん持ってあげるぅ」


 そう言うと、咲良は、ガウを背負ながら片方の手で持っていた旅行バックを持ってくれた。


 咲良は優しいなぁ、階段の上で待っている人や動物は、集合場所を間違えただけで、まるで犯罪者をみるかのように冷たい視線を送っている。


 《俺でも間違えないぜ、まったく、錬太郎はどっか抜けてるよな》


 《まぁ仕方ないニャ、それが錬太郎ニャ、諦めるニャ》


 「まぁ、昔から錬太郎は人の話を聞かない、おバカさんだったし、仕方ないわね」


 「ミーシャでも分かったよぉ」


 ・・・・散々の言われようだ。
 まぁいい、言いたければ勝手に言ってろ。この傷付いた心を、天使のように可愛いティアちゃんに癒してもらうだけさ。




 階段を登りきった所で、ガウがやっと起きた。


 「ガウゥゥ~~ゥ」


 やっと、おんぶから解放された。少年のような姿の癖に子泣き爺のようにクソ重かった、鉄で出来てるんじゃないか?コイツ。


 まだ眠たそうに目を擦るガウに、女性陣がガウを取り囲んで世話をし始めた。


 「おはよう、ガウ君、いっぱい寝れた?」


 「朝御飯作ってきたから、後で食べましょ」


 「ミーシャが食べさせてあげるねぇ」


 犬はガウの顔をペロペロ、猫はガウの体をスリスリ。


 扱いの違いにツッコミを入れたいところだが、反撃に遭うのは目に見えているので止めておいた。


 「錬太郎、私達の荷物お願いね」


 「は、はい!」


 ショッピングモールで荷物係を投げ出したのがあるから、承諾しか選択肢がないことは分かっていたさ!だけど・・・その量は、あなた達は1週間ぐらい海外旅行にでも行くんですか!しかし、文句を言っても仕方ない、この量なら2往復でいけるか・・・な。


 そんなことを考えてる間に、咲良達はまだ眠たそうなガウと手を繋いで先に行ってしまっていた。


 今は仕事の後の疲れを癒してくれる、御褒美だけを考えよう。


 そうだ!あの笑顔が俺を待っているッ!





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