私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!

ちょこぱい

エブリの実



―――――― サイラス星


 通りの賑いから横に細い道に入ると、大通りとは違った姿を見せた。薄暗い雰囲気は、ここで売られている品が、陽の目を浴びて売るのを許されない物である事が分かる。


 その為に、店という形で看板が出て商品が並んではいない。壁づたいに売り子が顔を隠すためにフードを被って立って、買手が売り子に声を掛けるようになっている。そして、売り子は何屋かという看板を持っているわけもないので、買手は伝手がないと欲しい品を扱っている売り子まで辿り着く事は出来ない。


 此処に一人の少年の姿があった。着ている服はそこら中が破けて血が滲みその戦闘の激しさを物語っていた。


 少年は何人もいる売り子達に脇目も振らずに、一人の売り子の前で止まった。


 「雲から太陽が生まれ、闇が生まれた」と、少年が売り子に話し掛けた。


 「・・・こちらです」


 売り子はさらに細く複雑に入り組んだ路地に少年を案内した。しばらく進むと、民家にしか見えない建物の扉の前で止まると、扉を開け少年を中へ入れると、しばらく待つように言って何処かへ行ってしまった。


 建物の中は、小さなテーブルを挟むように椅子が2だけ置いてあるだけだった。椅子に腰を掛けて待っていると、扉が開いた。


 開いたドアから部屋に入ってきたのは、麻のマントにフードを被り仮面をした女だった。貧相な格好をしていたが、立ち振舞で庶民ではないと分かる。


 「貴方にしては、酷いヤられようね」


 「すり傷だ、大したことない」


 「フフフフ、すり傷ねぇ、流石、“天井知らずの力”だわ」


 仮面の女は椅子に座ると、マントからすらりと延びた生足を組み、頬杖から向けられた妖艶な視線が少年に絡み付く。


 「止めろ、そんな術が俺に効かないのは分かってるだろ」


 「フフフフ、あら術なんてやってないわよ、本気で口説いてるのに、相変わらず、女好きの癖に女の気持ちが分からないのね」


 「・・分からないから面白いんだ」


 「分かろうとしないくせに・・・」


 仮面から見える女の瞳が少しだけ寂しそうに見えた。そんな女の視線と間を避けるように少年は話を切り出した。


 「・・エブリの苗が欲しい」


 その言葉を聞いた瞬間、女の大きな瞳が少しだけ細間った。


 「エブリの木からなる実は、苗に埋め込んだ情報を元に情報源を完全に形取る」


 「100億年前までは、母星に有ったけど、今はもう絶滅してしまったわ、あったとしても星5個は買える位するでしょうね」


 「・・・・・そうか」


 少年は椅子から立った。


 「何処に行くの?」


 「・・その星に行く」


 「もう絶滅してるわ」


 「・・自分の目で確かめてくる」


 女は溜め息を付くと、席を立ち少年の腕を掴んだ。


 「だから貴方は女心が分からないのよ」


 少年は女を抱き寄せると熱いキスをした。


 「・・・・ンっ」


――――――――


 「・・・・ばか」


 女は外で待っていた売り子に手紙を渡すと、売り子が声を荒げた


 「姫様!いいのですか!?」


 「いいから、持ってきて」


 売り子は少年を睨み付けたあと、何処かへ走って行った。それを見届けた女は、少年に近づき、またキスを強請ねだった。


 「お節介ばっかりして、また私みたいな女を増やすだけよ、もう私で落ち着いたら?」


 「・・・アハハハ、考えとくよ」


 「セルフィー、それと1つ借りよ、今度はキスだけじゃ帰らせないんだから」


 女から小悪魔な笑顔をされ、少年は苦笑いで返すしかなかった。それから、売り子が持ってきたエブリの苗を受け取り、地球へ戻ってきた少年は、苗にクロノスの髪を埋め込み、地面に植えた。


 実が成るのは5億年後になる。


 そしてエブリの実が成るまで2年になったところで、ゴードン達のクロノス計画が実行されたてしまった。


 (早まるなゴードン、それじゃ、クロが納得するわけ無い、魂の再移植は一度きりだ、もしクロが拒絶したら・・・)


 セルフィーは全速力で研究所に向かった。




 

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