私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!
魔獣
咲良達は倒した兵士達から情報を聞き出しながら、遂に監禁されているだろう、お母さんの居所にたどり着いた。
「・・離れて」扉の前に立ち、鍵の位置に手のひらを当てると、手が高温を発し鍵だけを溶かした。
「行くよ」ティアは、咲良の手を握り締めて頷いた。
咲良はドアノブを回し扉を開けると、広い円形状の広場が姿を現した。そして、その中央には・・・
「お母さん!」
ルナが十字架に張り付けにされていた。
ティアは咲良の手を振り解き、ルナに駆け寄った。即座に、咲良は罠だと気づきルナを追いかけたが、ティアと咲良の間に、透明のガラスが地中から突如出現し、二人を隔てた。
「ティア!」咲良の声はガラスの壁でティアには届いていなかった。
咲良は全力で叩くがガラスはびくともしない、直ぐに手のひらを超高温にして、ガラスに当てたが、ガラスに熱を吸収され壊すことが出来ない。
「超耐熱性ガラス!」
必死にティアを呼ぶ、咲良の声は届かなかった。しかも、ティアは、もうすぐでルナに手が届く直前で、突然、倒れてしまった。
「!! どうしたの!ティア!」
室内には不気味な機械音が、ティアのいる天井から伸びた装置から聞こえていた。
―――――――― 施設入口
《モォォォォォォ!、ここから先は行かせない》
《「じゃんけん!ポン!」》
「うそ!なんであんた達なのよ!」
「ミーシャ、じゃんけん嫌い!」
《やっと出番だな》《牛人間!覚悟するニャ!》
敵を目の前にして、誰がこの牛人間を倒すか揉めに揉め、全く決まらないので、じゃんけんで2名決めることになったのだ。
「急いでるんだから、一撃で決めなさいよ!」
「ミーシャが代わってあげても良いよ!」
《外野は大人しく見てるニャ!》
《一瞬で終わらせる》
全く相手にされてない牛人間は、怒りに燃え上がり、身体は真赤に染まり、鼻や口からは蒸気が立ち昇っていた。両刃の斧を高らかに掲げ、猛突進してきた。
ノルウェージャンフォレストキャット・森の妖精、と容姿に似合ったネーミングがされているが、太古の昔、女神フレイヤの馬車を引いていたのは馬ではなく、2匹のノルウェージャンフォレストキャットで、その大きさは、かの怪力神トールでさえ持ち上げる事が出来なかった程、巨大だったという。
トラ吉は全身で威嚇の姿勢をすると、グングンと体が大きくなり、神話ほどの大きさではないが、牛人間がネズミ程に見えるくらい巨大化した。
乱丸には、最悪の魔獣フェンリルの血が受け継がれている。破壊神ロキの息子で、いずれ世界を呑み込んでしまうと恐れられ、オーディンを呑み込んでしまった、巨大な灰色狼フェンリルの子孫。
乱丸は瞳の色を朱色に変えると、イッキにトラ吉と同じ位の大きさになった。
突進してきた牛人間は、急ブレーキをかけた。
《モォォォォォォ!聞いてないぞ!!なんでこんな魔獣が2匹もここっッ!ぎゃあぁっぁぁ》
トラ吉は前足の爪で牛人間を押さえつけ、乱丸が牛人間を食わえると、そのまま口に放り込み、呑み込んでしまった。
「おバカ!そんなの食べてお腹壊したらどうするのよ、気持ち悪いわね」頭を抱えるレイカ。
「ミーシャの出番無かった、つまらない」腰に手を当て、プンプン不機嫌なミーシャ。
2匹が元の大きさに戻ると、レイカ達は施設内に入って行った。
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