私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!

ちょこぱい

ティア





 「お母さん、今日のご飯は何にするの?」


 「そうね~、ティアの大好きなハンバーグにしようかなぁ」


 「やったー、ティア お母さんのハンバーグ大好き!エヘヘヘヘヘヘ」


 「ティアも手伝ってくれる?」


 「うん!ティアも手伝うぞ!」


―――――――  3年前


 「もう一度だ!」


 薄暗い実験室、強化ガラス越しに見えるのは液体が満たされた円柱の容器に白銀の髪をした幼い少女が浮かんでいた。


 「少し休ませてあげたら・・・」


 「ダメだ!最近数値が下がっている 、こんなの上に提出出来ないだろうが!もう一度だ!」


 男はデスクを殴ると、また装置を稼働させた。


 女には容器に浮かぶ少女の表情が苦しそうに歪んで見えた。


 ・・・・・・もう、、、うんざりだ


―――――――― 1ヶ月後


 「No.30001号だが、不適格の為、廃棄処分にする、所定の手続きをしろ」


 女に投げ出された紙には、あの時容器に入れられた少女の顔写真が貼られていた。


――――――――  30分後


 「起きて、No.30001号」


 「・・・はい」


 「逃げるわよ」


 「・・・?」


 女は少女を抱き抱えると、急いで研究所の外に停めてある車に乗り込んだ。


 「・・・・今日のお勉強は?」


 「今日も明日も、これからずっとお勉強はおやすみよ」


 「・・・・はい」


――――――――  2年後


 「お母さん!ハンバーグ凄く美味しいぞ」


 「ウフフ、ティアが手伝ってくれたから美味しく出来たのよ」


 研究所からティアを連れ去って2年が経った。私はこの子をティアと名前を付け、私の子供として育てている。あれから組織の追っ手はなかった。


 「お母さん、私が作ったハンバーグ食べてないぞ・・・美味しくなかった?」


 ティアが一生懸命作ってくれた不格好なハンバーグを一口食べた。


 「ウフフ、もう少しお勉強しましょうね、でもとっても美味しいわ」


 ティアは少し膨れっ面になった。


 「いつか、お母さんより美味しく作れるようになるぞ!」


―――――――


 「まさか!この数値は本当ですか!?」


 男は手渡されたデータを見て驚愕した。そして、そこには、少し成長した白銀の髪をした少女の写真とNo.30001号と記載されていた。


 「泳がせてた甲斐があったわね、これから回収に行くわ」


 白衣の女はうっすら笑みを浮かべた。


――――――― あの日のショッピングモール


 「今日はティアの誕生日だから好きなの買って良いわよ」


 「わーい!やったのだ!」


 無邪気に喜ぶティアだが、ティアにとって誕生日は・・・・


 「走らないで!はぐれたら・・・!!!」


 「久しぶりねぇ、ルナ」


 「アキナ主任!!ティア!逃げてーー!」


 「え!?お母さん?」




 

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