私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!

ちょこぱい

地球の歴史



 星の坂高校女子寮の玄関に着いた。


 玄関の前には先生兼寮母の木崎さおり(25才)が眉間にシワを寄せ立っていた。
 「あなた達何処に行っていたの!入学式も途中で居なくなって!心配したのよ」


 「先生申し訳ありません、あの騒ぎで咲良が気分を悪くしてしまい、私が咲良を保健室に連れて行こうと思ったのですが、保健室まで騒々しくなってしまいそうだったので、駅前近くの公園で休んでいました、連絡を忘れて申し訳ありませんでした」




 「そうだったのね、あんな騒ぎになってしまったのも学校側の対応が悪かったのもある、なにより咲良さんの体調に気付けなかった私の責任でもあります。あなた達には申し訳ないと思ってます」




 木崎先生は深々と頭を下げてくれた。私はそんな謝ってもらおうなんて微塵も思っていなかった。事前に、人が沢山来るなんて学校側も想定していなかっただろうし、学校側も急いで対応していたがそれも無理がある。もみくちゃになった入学式会場から逃げ出した私が悪い、たぶん担任であった木崎先生は、学校側から監督責任者として叱られたかもしれない。




 「ところで、あなた達の足元にいる小さな生き物はどうしたの?」


 「この子は、トラ吉と言います、私とレイカで飼いたいのですが、許可して貰えませんか?」


 「この寮は知っての通り、ペットを飼うことが出来る珍しい寮です。ただ、それなりの条件があります。先ず、ペットの種類、飼いたい理由、ペットを責任もって飼うことが出来る生徒かどうか」


 「それらをクリアしたら、健康チェックと予防接種。あと、一番大切なのが、不妊処置ね。それらを済ませた書類を提出してからの許可になります」


 「今回は、もう連れてきてしまったから、特例処置で寮内に入れても構いませんが、部屋の外に出さない事、明日には必要書類を揃えて提出するように」


 「分かりました、ありがとうございます」


 私はトラ吉を抱き抱えると、レイカと一緒に部屋に向かった。部屋は2人部屋で、もちろん相方はレイカだ。そして今日からは 、部屋の住人が1匹増える。


 トラ吉は部屋に入るなりそこら中を嗅ぎ回り、私のベッドに座った。


 《さて何から話そうかニャ》


 「ちょっと待ってよ、身体中に埃まみれだからシャワー浴びてからにしようよ」


 「そうね、トラも洗ってあげるから一緒に入るのよ」


 「ボクは綺麗だから遠慮しとくニャ》


 「ダメよ!汚いわ」


 「いやニャ!」


 レイカは逃げ回るトラ吉を追いかけ回しているが、なかなか捕まらないので、私も参戦してやっと捕まえてお風呂に入った 。


 《虐待ニャ!動物愛護団体に訴えるニャ、洗い方が雑過ぎるニャ、人間のシャンプーで洗われたニャ、あれじゃキューティクルが悪くなるニャ、熱いニャ!毛が焦げてるニャ!温度を下げてゆっくりするニャ!レイカは雑だニャ!それじゃ見ためが良くても彼氏は出来ないニャ!咲良に変わるニャ!》


 「言ってくてるじゃない!私のどこが雑なのよ!シャンプーだって私が使ってる高級品よ、彼氏だって作れないんじゃなくて、作らないだけよ」


 レイカは、嫌がるトラ吉にドライヤーを当てているが、注文の多いトラ吉となんだか言い合いになっている。


 埃まみれだった体を洗い流しお風呂から出ると、気分がスッキリしせいか、モールでの出来事を落ち着いて思い出すことが出来た。


 言葉をしゃべる猫、巨大なネズミとの戦闘があった。なにかが起ころうとしている。


 「トラちゃん、なんで喋れるの?」


 ドライヤーから逃げるように咲良の元へやってきた。


 《ボクらが人間の言葉を喋れるようになったのは、人間との戦争に負けたからなんだニャ》


 「人間との戦いって!動物達と戦争の歴史なんて聞いたことが無いわよ」


 《君達が思っている人間とボク達が思っている人間は少し違うニャ、君達で言うところの神様がボク達が言う人間ニャ、ボク達はアギスと呼んでいるニャ》


 《地球に最初に住んでいたのは、昆虫と動物達ニャ、長い年月をかけ文明を発展させて、今の人間達より高度な文明になっていたニャ》


 「ちょっとまってアギス?、人間より前に昆虫と動物の文明?信じられないわ」


 《アギス達に関しては僅かな痕跡が人間の歴史にも見れるはずニャ、ただ、動物や昆虫達の文明はアギスとの戦いに負けて完全に抹消されたニャ、残された動物や昆虫は、抵抗する力を奪われ、アギスに利用又は補食されるだけの生物になったニャ》


 「私達、人間は何処からきたの?」


 《人間はアギス達によって、アギスに似せて作られた生命体ニャ、猿がいくら長い年月をかけても人間まで進化するなんて有り得ないニャ、そして、アギス達の代わりに地球の支配を任せられたのが人間ニャ》


 《それから、長い時間が流れても、力を奪われても、動物や昆虫は、いつか地球を奪い返すことを子孫代々に語り継いできたニャ、そして、彗星が、アギス達から封印された力を解放したニャ 今日のあの出来事は、先走った強硬派の一部の仕業だと思うニャ》


 地球の誕生から現在までを365日で表すと、生命誕生まで3ヶ月、それから7ヶ月で多細胞生物に進化する。恐竜の誕生が12月12日、滅亡が26日およそ2週間、人類誕生が12月31日午前7時だとすると文明誕生が23時56分位らしい。人類は誕生してまだ1日も経っていないにも関わらず、地球上の頂点に君臨している。もしダーウィンの進化論が正しいなら恐竜達はどらくらい進化したのだろう。昆虫達は更に進化していてもおかしくないはず。短い期間で、人類が生物の頂点に君臨するために、何かしらの力が働いたと考えた方がしっくりくる。その力というのが、トラ吉が言うアギスで、地球上に先に発展していた文明を滅ぼしたと言うことなのだろう。


 「トラちゃん、アギス達は何処から来て、何処へ行ったの?」


 《月に乗って地球にきたニャ、何処へいったかは分からないニャ》


 スケールが大きすぎて私達の手に収まりきれない気がしてきた。しかも、遥か昔に起こった大きな戦争が、また起ころうとしているということだ。


 「トラちゃん、このままだと大きな戦争が起きちゃうの?」


 《今のところ、穏健派が強硬派を押さえている状況だニャ、ただ、人間に虐げられてきたもの達の数のが圧倒的に多いから、時間の問題ニャ》


 「戦ったらどっちが勝の?」


 《今回は、彗星による力の解放と咲良やレイカみたいな能力が備わっている者が多いニャ、アギスが介入してくる前に、地球上の人間はほぼ全滅するニャ》


 「昆虫や動物達にも能力があるのね……」


 数の上でも圧倒的に負けてる上に能力までも備わっている者がいる。人類側に勝ち目は無いと思った。


 「トラちゃん、私達にこんな大事な事を話して大丈夫なの?」


 《ボクは、仲間達の気持ちもわかるけど、人間達も大好きニャ、どっちかの敵になるなんて出来なかったニャ、だから逃げてきたニャ》


 多分、人間と関わりを持った生物達の中には、トラ吉のように戦いに参加したくない者も少なからずいるのだろう。人間側にだって話せば分かる人だっているかもしれない。


 「レイカどうしたらいいんだろう?」


 「私だって分からないわよ」


 考えてみても分からないけど、考えずにはいられない。逃げる?何処に?永遠に逃げるの?
戦う?死ぬかもしれない、相手の数が多すぎる
。眠くなってきた、今日はいろんな事が起きたので体力的にも精神的にも限界なのだろう。レイカも考え疲れたのか、ベットに倒れるように寝ていた。レイカに布団を被せて私もベットに入ると、トラ吉が枕元に来た。


 《巻き込んでごめんニャ》


 「また明日話しましょ」


 私はやさしくトラ吉の頭を撫でると、深い眠りに落ちた。


 

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