庭には、
10話 怪人
前方には、全身が古錆びた鉄のような焦げ茶色の怪人が空中に浮いていた。
身長は大人の二倍くらいある。
その柔らかそうな硬そうな身体に乗っかっている、ロケットのような頭には5つの目が紅く光っていた。
「人型のフレンカーパーか、なかなか見ないタイプだな。」
笠井さんは鋭い視線でふよふよと浮かぶ人型のフレンカーパーを観察している。
「そうなんですか?」
「フレンカーパーは何かしら現存する、或いはしていた生き物に類似した容姿をとることが多いが人間の形をしたやつは見たことがない。」
「まぁ、いかにも危なそうなヤツですし、さっさと済ませちゃいましょうよ。」
「いつでも対応できる準備しておけ!」
「はい!」
俺の心の中では少年の頃のわくわくがよみがえっていた。
チートではないけど超常的な能力も使える。
悪の怪人と戦い世界を救う、正義のヒーロー!
「まずは……。」
笠井さんは、まず怪人を鋭い視線で凍らせる。文字通り氷付けにした。
かに思えたが、次の瞬間氷が砕かれ怪人は何事もなかったように浮いている。
「笠井さんの氷が!」
「ちっ!」
笠井さんは再度凍らせようと試みるが、またすぐに氷は砕かれる。
「……そうか、凍っていないのか」
少しあってから、笠井さんは何か察したように言った。
「どういうことですか?」
「あれを見てみろ」
笠井さんは怪人の方に視線を促す。
見てみると、怪人の身体の後ろにもう一本腕のようなモノが生えていた。
うねうねと動いている、どうやら飾りなどではなく独立した器官であるようだ。
まるで尻尾のように。
「アレだけ凍っていなかったんですね」
「そうらしい、私の能力は全身を凍らせないと、本来の力を発揮しないんだ」
すると、蚊帳の外におかれたのに腹が立ったのか、怪人が両腕を伸ばして振り下ろしてきた。
「っ!腕がっ!あいつゴ○ゴ○の実の能力者か!?」
氷で防御しながら笠井さんが何か余計なことを口走っているが。
「そんなこと言ってる場合ですか……」
俺は笠井さんに呆れながらも、振り下ろされる腕に右手で触れてループさせることで身を守った。
「僕を無視するな……」
「渚名、お前今、私に口答えしたか?あとで覚えとけよ!」
「チームワークの欠片もないですね。」
「おい、僕を無視するな……」
「渚名、私はお前を無視なんてしていない。」
「あの、さっきから話してるの俺じゃないです。」
「じゃあ、誰だ?」
「まさか、そんなわけないですよね?」
まさか……まさかね……。
そう思いながらも、俺と笠井さんは恐る恐る怪人に目を向ける。
振り下ろされた腕は元の長さに戻され、一呼吸おいてから、怪人は[ 話し始めた ]。
「やっと気付いたか……。では、単刀直入に聞こう。時間の翠眼(ときのすいがん)はどこだ?」
話し出したと思ったら、いきなり質問か。
それに時間の翠眼?
なんだそれは、初耳だ。
そもそも誰に対しての質問だ?
俺が知らないんだから、残るは、笠井さんだけに決まっている。
「…………」
当の本人は黙りこんでしまっている。
笠井さんが口を開かないこと自体珍しいのに。
「あの、笠井さん?」
「…あ、ああ、すまない。どうやら、あいつはそもそもフレンカーパーじゃないらしい。おい!どんな能力か知らないが、能力を解いて姿を現せ!」
「僕の質問に答えろ」
怪人なんかに同意するのも嫌だが、
俺も時の翠眼とやらが気になる。
「…………」
しかし、笠井さんは答えない。
答えたくないことなのだろう。
「おい!僕の声が聞こえないのか?もう一度だけ聞いてやる、時間の翠眼はどこだ?」
「…………」
……やはり笠井さんは、答えない。
彼女の目は焦点がどこにあるか分からない、遠くをただ眺めていた。
しびれを切らした怪人はまたも両腕を長く伸ばし、今度は左右から挟むように大きく振り下ろした。
「笠井さん!……ぐっ」
右方向から来た、つまり怪人の左腕はループさせて防ぐことができたのだが、笠井さんは遠くを見つめたままだ。
寸前のところまで来た怪人の右腕は、そこで止まった。
辺り一面が氷結の世界と化していた。
怪人は右腕だけでなく尻尾の器官も含め、全身が凍っていた。
「あの子は、渡さない」
笠井さんの目はいつもより鋭い視線で、凍り付いて地面に落ち、長い腕は衝撃で折れた怪人を睨んでいた。
それから、ゆっくりと歩み寄り、怪人のもとへ着くと、顔を踏みつけながら見下すような体勢で数秒。
能力を解いて、氷から怪人の顔が姿を現すと、まず、第一声は
「お前らをまとめてるリーダーは誰だ?」
「僕の質問にっ」
「誰だ?」
笠井さんは氷の氷柱を怪人の首に軽く当ててから同じことを質問した。
すると、怪人はあっさりと答えた。
答えになっていないが、応えた。
「アスバ様はここにはいない。会いたいなら、そっちから足を運んでこい」
「アスバ?そいつがリーダーか?なら、今どこにいる?」
「さぁな、……影本っ!!」
怪人はそう叫ぶと、地面に溶けていくように、いや、影に吸い込まれるように、
「また会おう」そう言い残して、消えてしまった。
残ったのは、地面に向けて氷柱を突き立てる笠井さんの姿のみであった。
──────────────────
そして、例の喫茶店のソファーに座り。
笠井さんは少し休憩してから、話してくれた。
「私は前に言ったよな、人類を守るのは2番目だって」
「はい、確か虫が嫌いでそっちの方が一番の」
「いやいや、ただ虫が嫌いで滅ぼしたいとは言ったが、それを1番の目的だとは言ってないさ」
「じゃあ、本当の1番の目的は……何ですか?」
「……時間の翠眼、あの子を守るためさ」
どうやら、その子、時間の翠眼を守ることが彼女がここにいる理由らしい。
発言している文の句点を無くしてみたのですが、あるのと、ないの、どちらが読みやすいでしょうか?
身長は大人の二倍くらいある。
その柔らかそうな硬そうな身体に乗っかっている、ロケットのような頭には5つの目が紅く光っていた。
「人型のフレンカーパーか、なかなか見ないタイプだな。」
笠井さんは鋭い視線でふよふよと浮かぶ人型のフレンカーパーを観察している。
「そうなんですか?」
「フレンカーパーは何かしら現存する、或いはしていた生き物に類似した容姿をとることが多いが人間の形をしたやつは見たことがない。」
「まぁ、いかにも危なそうなヤツですし、さっさと済ませちゃいましょうよ。」
「いつでも対応できる準備しておけ!」
「はい!」
俺の心の中では少年の頃のわくわくがよみがえっていた。
チートではないけど超常的な能力も使える。
悪の怪人と戦い世界を救う、正義のヒーロー!
「まずは……。」
笠井さんは、まず怪人を鋭い視線で凍らせる。文字通り氷付けにした。
かに思えたが、次の瞬間氷が砕かれ怪人は何事もなかったように浮いている。
「笠井さんの氷が!」
「ちっ!」
笠井さんは再度凍らせようと試みるが、またすぐに氷は砕かれる。
「……そうか、凍っていないのか」
少しあってから、笠井さんは何か察したように言った。
「どういうことですか?」
「あれを見てみろ」
笠井さんは怪人の方に視線を促す。
見てみると、怪人の身体の後ろにもう一本腕のようなモノが生えていた。
うねうねと動いている、どうやら飾りなどではなく独立した器官であるようだ。
まるで尻尾のように。
「アレだけ凍っていなかったんですね」
「そうらしい、私の能力は全身を凍らせないと、本来の力を発揮しないんだ」
すると、蚊帳の外におかれたのに腹が立ったのか、怪人が両腕を伸ばして振り下ろしてきた。
「っ!腕がっ!あいつゴ○ゴ○の実の能力者か!?」
氷で防御しながら笠井さんが何か余計なことを口走っているが。
「そんなこと言ってる場合ですか……」
俺は笠井さんに呆れながらも、振り下ろされる腕に右手で触れてループさせることで身を守った。
「僕を無視するな……」
「渚名、お前今、私に口答えしたか?あとで覚えとけよ!」
「チームワークの欠片もないですね。」
「おい、僕を無視するな……」
「渚名、私はお前を無視なんてしていない。」
「あの、さっきから話してるの俺じゃないです。」
「じゃあ、誰だ?」
「まさか、そんなわけないですよね?」
まさか……まさかね……。
そう思いながらも、俺と笠井さんは恐る恐る怪人に目を向ける。
振り下ろされた腕は元の長さに戻され、一呼吸おいてから、怪人は[ 話し始めた ]。
「やっと気付いたか……。では、単刀直入に聞こう。時間の翠眼(ときのすいがん)はどこだ?」
話し出したと思ったら、いきなり質問か。
それに時間の翠眼?
なんだそれは、初耳だ。
そもそも誰に対しての質問だ?
俺が知らないんだから、残るは、笠井さんだけに決まっている。
「…………」
当の本人は黙りこんでしまっている。
笠井さんが口を開かないこと自体珍しいのに。
「あの、笠井さん?」
「…あ、ああ、すまない。どうやら、あいつはそもそもフレンカーパーじゃないらしい。おい!どんな能力か知らないが、能力を解いて姿を現せ!」
「僕の質問に答えろ」
怪人なんかに同意するのも嫌だが、
俺も時の翠眼とやらが気になる。
「…………」
しかし、笠井さんは答えない。
答えたくないことなのだろう。
「おい!僕の声が聞こえないのか?もう一度だけ聞いてやる、時間の翠眼はどこだ?」
「…………」
……やはり笠井さんは、答えない。
彼女の目は焦点がどこにあるか分からない、遠くをただ眺めていた。
しびれを切らした怪人はまたも両腕を長く伸ばし、今度は左右から挟むように大きく振り下ろした。
「笠井さん!……ぐっ」
右方向から来た、つまり怪人の左腕はループさせて防ぐことができたのだが、笠井さんは遠くを見つめたままだ。
寸前のところまで来た怪人の右腕は、そこで止まった。
辺り一面が氷結の世界と化していた。
怪人は右腕だけでなく尻尾の器官も含め、全身が凍っていた。
「あの子は、渡さない」
笠井さんの目はいつもより鋭い視線で、凍り付いて地面に落ち、長い腕は衝撃で折れた怪人を睨んでいた。
それから、ゆっくりと歩み寄り、怪人のもとへ着くと、顔を踏みつけながら見下すような体勢で数秒。
能力を解いて、氷から怪人の顔が姿を現すと、まず、第一声は
「お前らをまとめてるリーダーは誰だ?」
「僕の質問にっ」
「誰だ?」
笠井さんは氷の氷柱を怪人の首に軽く当ててから同じことを質問した。
すると、怪人はあっさりと答えた。
答えになっていないが、応えた。
「アスバ様はここにはいない。会いたいなら、そっちから足を運んでこい」
「アスバ?そいつがリーダーか?なら、今どこにいる?」
「さぁな、……影本っ!!」
怪人はそう叫ぶと、地面に溶けていくように、いや、影に吸い込まれるように、
「また会おう」そう言い残して、消えてしまった。
残ったのは、地面に向けて氷柱を突き立てる笠井さんの姿のみであった。
──────────────────
そして、例の喫茶店のソファーに座り。
笠井さんは少し休憩してから、話してくれた。
「私は前に言ったよな、人類を守るのは2番目だって」
「はい、確か虫が嫌いでそっちの方が一番の」
「いやいや、ただ虫が嫌いで滅ぼしたいとは言ったが、それを1番の目的だとは言ってないさ」
「じゃあ、本当の1番の目的は……何ですか?」
「……時間の翠眼、あの子を守るためさ」
どうやら、その子、時間の翠眼を守ることが彼女がここにいる理由らしい。
発言している文の句点を無くしてみたのですが、あるのと、ないの、どちらが読みやすいでしょうか?
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