庭には、

古宮半月

6話 出会い

地震の騒ぎから、3日後の12月30日とある村。


冬休みの宿題に少し手をつけてはゲーム、また少し宿題をするとゲームの繰り返し、疲れると睡眠。

今、まさに昼寝という極上の睡眠真っ最中。
暖房を消して少し寒い部屋で布団にくるまり、ぬくぬくと、炬燵に入る猫のような気持ちだった。

「うぅ、お腹すいた。でも、出たくない…。」

布団の中でもぞもぞとしていたが、バッと起きあがり、意を決したような表情をした白髪混じりの少女。


「腹が減っては戦はできぬ!」

そう宣言すると、布団から出てまず薄暗い部屋に昼の光を入れるため、カーテンを開ける。
急な光に目を刺されながら、目をごしごしする。

「ん?」

もう一度目をごしごしする。
やはり、汚れではない。

目の前に真っ白な怪物が見える。

「変なの……。」

奇抜なオブジェクトか何かだと考え直した。

まだ寝ぼけてるんだ、そう思い目を覚ますため顔を洗ってさっぱりしようかと、部屋を出るためにドアを開けた。

「え?」

思わず一歩外に出ると、
眼前に広がる見たこともない景色。
乾いた風が白っぽいショートヘアーを撫でていく。
その風のせいか、ドアは勝手に閉まっていた。



「えぇ~!!」

何!?どこ!?これは、あれか、電ライナーが通るのか!私の夢が叶うのか!?

「そこのお嬢さん、こんなとこで何してんの?」

「ひっ!」
殺される!私の人生はここまでか!

「大丈夫だよ、人間だよ。無害な人間だよ。」

恐る恐る声の方を見ると、20代後半くらいのポニーテールの女性がいた。
キレイな人だ。

とりあえず今の状況を把握しないと。

「あ、あの、ここは誰ですか?」

「?」

しまった、焦りすぎて質問がぐちゃぐちゃに。

「いえ、あの、ここはどこですか?」

「ここは、こっち側、来なくてもいい場所。」

「来なくてもいい場所?」

「そう、それはね、~かくかくしかじか、ということだ。」

「なるほど、で、何故私なんです?」
幸いアニメやらラノベやら、に最近興味があってよく見ていたので、案外スッと話を呑み込めた。

「半ランダムってところだな。」

「はんらんだむ?」
氾濫したダムだろうか?

「えっと、半分ランダムってこと。つまり、半分は偶然で、もう半分は必然。」

「その必然の方が気になるんですけど。」

「君みたいな迷子は、つい最近もう一人いたんだがそいつにも当てはまった、ある共通点があるんだ。」

「共通点?」

「そういえば君、AB型らしいね。」

「ひっ!私の血が!」
今度こそ終わりだ!

「ごめんウソだよ、どうやら図星のようだな、実はその共通点がAB型なんだ。」

「驚かさないでください!」

何なんだこの人?
そんな疑問を浮かべていると、

10メートル程先の空から少年が降ってきた。

「うわぁ~~~~~」
叫びながら落ちてくる。


「危ない!」
私が駆け寄ろうとすると、腕を捕まれ止められた。

ポニーテールの女性は少年の方を睨んでいた。

心配そうに交互を見ていると、
なんと、大きな氷の滑り台が目の前に現れた。

しかし、空から落ちてくる男の子が滑り台の寸前で消えてしまった。

「???」

私は、まだ脳が追い付いていなかった。

しかし、ポニーテールの女性は、
「転移系か……。」
何か呟いている。

すると、ほぼ1秒後のこと、先の少年がまた同じように落ちてきた。

滑り台が少年を迎えにいくように受け止めると、するすると滑り台をすべって降りてきた。

「いったぁ!」

「大丈夫か、渚名くん?」

「え…?」

女性が手を差しのべるが少年は困っていた。
何故か少年の名前を知っているようだ。

「まぁだろうな、これやるよ。」
そういって胸ポケットからひとつの紫っぽいミサンガを取り出した。

「?」

「それを着けてみな。」

少年は疑いながらもミサンガを受け取り、言われた通りミサンガを腕に通した。
瞳孔が大きくなったり小さくなったり。
目をぱちくりさせ、とうとう目を閉じたままに。

と思っていると、急に目を見開いた。

「どうだ、思い出したか?恩人の顔を。」
そう、ポニーテールの女性が質問する。

少年は思い切り首を縦にふった。
それから「笠井さん……また、ご迷惑をおかけします。」と、頭を下げた。


それを蚊帳の外から見ていた私は未だに状況が掴めていない。

「あ、あの…」

「すまんすまん、君にもこれをあげよう。」

またも胸ポケットから出てきたミサンガ。
モ○スターボールみたいなノリで、オレンジ色のミサンガを渡された。

少しかわいいと思ってしまった私がいる。

「これを着ければいいんですか?」

「あぁ、もしもの時のためにな。渚名は、今体験したばかりだからわかってると思うが、最初に説明だけしておくと、そのミサンガを着けておけば、もし、またこっちに来てしまっても記憶が戻せるという代物だ。」

「よくわかりませんが、そういうものなんですね。」

「あぁ、そういうものだ。」
横から少年(渚名くん)が「俺の時も言っといて下さいよ!」とつっこみをいれていた。

「あの、もっと…。」

「?」

「もっと、知りたいです!」
その時の私の目はとてもキラキラしていただろう。
未知の世界、その響きが興味と興奮を加速させていく。

「そうか、じゃあ、まず自己紹介だな!」

自己紹介…。

「…。」

「じゃあ渚名、お前から。」

「は、はい。渚名一奈(なぎさな ひとな)、15歳です。餃子が好きです。一奈って読んでください。…やっぱり、渚名で。よろしくお願いします。」

「ぷっはっは!なんだそれ!」

「コミュ障なんで、勘弁してください。」

「そうかそうか、じゃあ次私がいこう。笠井未鈴(かさい みすず)だ。呼び方は自由でいいが、ミリンって呼ぶのだけは止めてくれ。あと、16歳だ。よろしくな!」

「まだ、それ言ってるんですか?」

「貴様、地獄を見たいようだな、文字通り!」



そんな楽しそうなやり取りを冷たい目で遠くから見ている自分がいる。

「じゃあ最後、お嬢さんどうぞ。」
未鈴さんにそう促され、自分の番が回ってきた。

私は…。
「私は、白髪染めの白髪に、白い虎で、白髪虎白(しらがみ こはく)です。16歳です。変な名前なんで、呼びやすいように自由に呼んでください。」

……。
自己紹介が嫌いだ。
その100倍自分の名前が嫌いだ。
その1000倍自分の親が、嫌いだ。

私は、何故か生まれつき髪の毛の色素が薄く、白っぽい色をしている。

最初は親も心配したそうだ。
しかし、特に身体に異常も無く、それがわかったときは相当喜んだそうだ。

そして、名前をつけるときに、この髪の色を欠点なんかに思わないで強く生きてほしいという思いから、この名前を選んだそうだ。

なんだよ虎って…。


「そっか、じゃあ虎白って呼ぶね。虎白の名前は変じゃないし、その髪も変じゃない、むしろ綺麗だよ。」

「っ!そんなの嘘だ…。」
渚名くんが急に変なことをいうのでびっくりしたが、そんなの嘘に決まってる。

「あ、いや、ごめん…。でも、本当なんだ…けど…。」

「……。そ、そんなこと言われても…。」
彼の声がだんだん弱くなっていくと、こっちも強く言えない。
こんなこと、言われたの初めてだった。

しばらくの沈黙…………。

「よし、これで自己紹介もできたな。みんないい名前してるじゃないか、大切にしとけ、それは本当に大切なものだから。」
沈黙を破ったのは未鈴さんだった。

「そ、そうですね。虎白もこれからよろしく。」
渚名くん、いや、一奈くんが未鈴さんの言葉に続く。

初対面なんだから、当たり前だけど、ぎこちないし、よそよそしいし、目も合わせられてないけど、
「よろしくね、一奈くん。」

だけど、何だかそれがおかしくって、

ほんとは、嬉しくって。

皆で笑いあった。
それが、私達の出会いだった。

「庭には、」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • さすらいの骨折男

    読ませて頂きました!いい話しに仕上がると思うので、これからも投稿頑張ってください!

    0
コメントを書く