命集めの乱闘〈コスモコレクトロワイアル〉
第14話 思考放棄と快適空間
朝起きて結晶に手を合わせる。
そのまま1時間ほどの朝稽古。
朝食はリーシャさん手作り。
午前中は勉強。
昼食は自分の仕事。
午後、家の中でできる稽古。涼しくなってきたら外で稽古。
夕食(もちろんリーシャさん手作り)を食べる。
ちょこっと勉強して寝る。
こんな生活が20日くらい続いた。
面倒ごとはもうこりごりと外出はほとんどしていないからだ。
外へ出る時は買い物と高校の転入試験の時くらいだった。
星嵐学園。ザ・平均なその高校の転入試験は夏休み、みっちり勉強させられた桐真蒼太には楽勝だった。
家に帰ったら不安そうな顔のリーシャさんにピースサインをしたのを覚えている。
兎にも角にも2人はのんびりまったりと夏休みを過ごしていた。
※※※
「リーシャさ〜〜ん。涼しいですね〜〜。」
緩みきった今にもとろけそうな声。
「そうじゃな〜〜。」
全く同じ感じの声。
「リーシャさ〜〜ん。魔術って便利ですね〜〜。」
桐真蒼太は改めて自身の得意属性が氷でよかったなと思う。
「そうじゃな〜〜。」
蒼太の魔術を応用した快適空間でリーシャさんの脳は完全に機能を停止してしまったようだった。しかしそんなこともこの涼しさの前ではどうでもよかった。そしてかろうじてまだ機能している頭はある考えを思いつく。
すなわち、今なら何言っても大丈夫なんじゃないか、と。
「リーシャさ〜〜ん。この前お皿1枚割っちゃいました〜〜。」
「そうか〜〜。」
予想通り、今なら何を言っても怖くない。しかし念のため。
「リーシャさ〜〜ん。コスモクリスタルについてのニュース新聞に載ってましたよ〜〜。」
これが通ればリーシャさんの脳は完全に考えることをやめているという仮説が正しいことが証明されるっ!
「ほぉぉ〜〜。そうk………。はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
しかし、世の中はそこまで単純ではなかった。
「な、なぜ……。メディアは完全に買収されているはず。」
驚くリーシャさんにとりあえず今日の朝刊を渡す。そういえばいつも新聞とか荷物とか届けてくれる,,お隣さん”をまだ見たことがない、一体どんな人なのだろう。しかしそんな小さな疑問はこの快適空間の前ではただのチリ。一瞬で頭の隅へと行ってしまった。
「なるほど!だいたいわかった。」
新聞を一通り読んだリーシャさんが急に声をあげる。この涼しさにまったりウトウトとしていた蒼太は現実に呼び戻された。
「うぅぅ。急に大きな声上げないでくださいよぉ。」
寝ぼけた声を無視してリーシャさんは続ける。
「つまりな。要約に要約を重ねてすんごく簡単にするとな。日本は平和すぎる、世界はこんなに争ってるんだから日本も争えよ、って感じじゃ。」
寝起きの蒼太にもわかる。とりあえずろくでもないことだけは。
「すみません、寝起きでもわかるようにお願いします。」
「じゃあメディアがどこに買収されてるかは覚えているか?」
「確かリプテダイトって会社の社長の…」
「 高岡 博志じゃ。まあ正確にはそいつの使いじゃな。んで高岡の目的はクリスタルを巡って争いを起こさせ世界を混乱させつつさらに多くのクリスタルを集めようってことじゃろな。でも。」
「日本は平和だった。」
やっと目覚めた頭で答える。
「そう日本人は争わなかった。もちろん公になってないだけで小さな争いは幾つかあるだろうが、公にならないレベルじゃ。大したことはないじゃろう。」
「つまりそれに呆れた高岡が世界の現状を見せつけて少しでも争いを起きやすくしたかったと。」
思考力はもう完全に復活していた。
「まあ日本じゃ銃も刀も持ち歩けないからあんまり影響はないじゃろうがな。」
それを聞いて安心した蒼太は そうですか  とだけ答えた。
それを聞いたリーシャさんは微笑み、そして「それより…」と続けた。
「どうしたんですか?」と尋ねる自分の顔もなんだか微笑んでいるような気がした。
あぁいけないいけない。ロリコンにはならないと決めているんだ。蒼太はそう心の中で何度も唱えた。
「いやな、最近わしのお気に入りの皿が1枚なくなっていたんじゃよ。」
その言葉を聞いた瞬間そうたの表情はギクッという音が聞こえそうなほど一瞬で凍りついた。
「さっき、お皿を割っちゃった、って聞こえたんじゃがの〜〜。今謝ればゆるs…」
「ちょっと待った。どうせ謝っても絶対そのあとなんかあるでしょう?修行2倍とか!お皿を割ったことは謝ります。でもそのあとなんかしようとしたら……。」
「しようとしたら……?」
ゴクリ、唾を飲む音がリーシャさんから聞こえる。
「この快適空間は今後一切作りませんよ?」
リーシャさんの表情がまるで昭和の少女漫画のショックを受けた時のようになる。
「ちっ!まだ子どもだと侮っていたわい。我が弟子よなかなかやりおる。」
2人は睨み合いながらも内心この状況をどこか楽しんでいた。そうこんなことで争っていられるということはそれだけ平和だということ。
2人は内心わかっていた、きっとこれから辛い戦いが起こることを。自分たちの目的を達成するためにはそれを避けることはできないということ。
そのまま1時間ほどの朝稽古。
朝食はリーシャさん手作り。
午前中は勉強。
昼食は自分の仕事。
午後、家の中でできる稽古。涼しくなってきたら外で稽古。
夕食(もちろんリーシャさん手作り)を食べる。
ちょこっと勉強して寝る。
こんな生活が20日くらい続いた。
面倒ごとはもうこりごりと外出はほとんどしていないからだ。
外へ出る時は買い物と高校の転入試験の時くらいだった。
星嵐学園。ザ・平均なその高校の転入試験は夏休み、みっちり勉強させられた桐真蒼太には楽勝だった。
家に帰ったら不安そうな顔のリーシャさんにピースサインをしたのを覚えている。
兎にも角にも2人はのんびりまったりと夏休みを過ごしていた。
※※※
「リーシャさ〜〜ん。涼しいですね〜〜。」
緩みきった今にもとろけそうな声。
「そうじゃな〜〜。」
全く同じ感じの声。
「リーシャさ〜〜ん。魔術って便利ですね〜〜。」
桐真蒼太は改めて自身の得意属性が氷でよかったなと思う。
「そうじゃな〜〜。」
蒼太の魔術を応用した快適空間でリーシャさんの脳は完全に機能を停止してしまったようだった。しかしそんなこともこの涼しさの前ではどうでもよかった。そしてかろうじてまだ機能している頭はある考えを思いつく。
すなわち、今なら何言っても大丈夫なんじゃないか、と。
「リーシャさ〜〜ん。この前お皿1枚割っちゃいました〜〜。」
「そうか〜〜。」
予想通り、今なら何を言っても怖くない。しかし念のため。
「リーシャさ〜〜ん。コスモクリスタルについてのニュース新聞に載ってましたよ〜〜。」
これが通ればリーシャさんの脳は完全に考えることをやめているという仮説が正しいことが証明されるっ!
「ほぉぉ〜〜。そうk………。はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
しかし、世の中はそこまで単純ではなかった。
「な、なぜ……。メディアは完全に買収されているはず。」
驚くリーシャさんにとりあえず今日の朝刊を渡す。そういえばいつも新聞とか荷物とか届けてくれる,,お隣さん”をまだ見たことがない、一体どんな人なのだろう。しかしそんな小さな疑問はこの快適空間の前ではただのチリ。一瞬で頭の隅へと行ってしまった。
「なるほど!だいたいわかった。」
新聞を一通り読んだリーシャさんが急に声をあげる。この涼しさにまったりウトウトとしていた蒼太は現実に呼び戻された。
「うぅぅ。急に大きな声上げないでくださいよぉ。」
寝ぼけた声を無視してリーシャさんは続ける。
「つまりな。要約に要約を重ねてすんごく簡単にするとな。日本は平和すぎる、世界はこんなに争ってるんだから日本も争えよ、って感じじゃ。」
寝起きの蒼太にもわかる。とりあえずろくでもないことだけは。
「すみません、寝起きでもわかるようにお願いします。」
「じゃあメディアがどこに買収されてるかは覚えているか?」
「確かリプテダイトって会社の社長の…」
「 高岡 博志じゃ。まあ正確にはそいつの使いじゃな。んで高岡の目的はクリスタルを巡って争いを起こさせ世界を混乱させつつさらに多くのクリスタルを集めようってことじゃろな。でも。」
「日本は平和だった。」
やっと目覚めた頭で答える。
「そう日本人は争わなかった。もちろん公になってないだけで小さな争いは幾つかあるだろうが、公にならないレベルじゃ。大したことはないじゃろう。」
「つまりそれに呆れた高岡が世界の現状を見せつけて少しでも争いを起きやすくしたかったと。」
思考力はもう完全に復活していた。
「まあ日本じゃ銃も刀も持ち歩けないからあんまり影響はないじゃろうがな。」
それを聞いて安心した蒼太は そうですか  とだけ答えた。
それを聞いたリーシャさんは微笑み、そして「それより…」と続けた。
「どうしたんですか?」と尋ねる自分の顔もなんだか微笑んでいるような気がした。
あぁいけないいけない。ロリコンにはならないと決めているんだ。蒼太はそう心の中で何度も唱えた。
「いやな、最近わしのお気に入りの皿が1枚なくなっていたんじゃよ。」
その言葉を聞いた瞬間そうたの表情はギクッという音が聞こえそうなほど一瞬で凍りついた。
「さっき、お皿を割っちゃった、って聞こえたんじゃがの〜〜。今謝ればゆるs…」
「ちょっと待った。どうせ謝っても絶対そのあとなんかあるでしょう?修行2倍とか!お皿を割ったことは謝ります。でもそのあとなんかしようとしたら……。」
「しようとしたら……?」
ゴクリ、唾を飲む音がリーシャさんから聞こえる。
「この快適空間は今後一切作りませんよ?」
リーシャさんの表情がまるで昭和の少女漫画のショックを受けた時のようになる。
「ちっ!まだ子どもだと侮っていたわい。我が弟子よなかなかやりおる。」
2人は睨み合いながらも内心この状況をどこか楽しんでいた。そうこんなことで争っていられるということはそれだけ平和だということ。
2人は内心わかっていた、きっとこれから辛い戦いが起こることを。自分たちの目的を達成するためにはそれを避けることはできないということ。
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