命集めの乱闘〈コスモコレクトロワイアル〉

風宮 詩音

第7話 優秀なカラクリと命結晶

「本当にこんなちっこいので大丈夫なの?」


「心配は無用っす。小型無人探査収集機C-30。通称シーさんはめちゃくちゃ有能っす。それにヨッさんもいますから。やられることはないと思いますよ。」
龍郎さんは本当に心配性だ。まったく俺の可愛い可愛いメカたちはみんな有能なのに。シーサンは完成したばかりで初実戦だけど、人型戦闘機 B-43は何度か実戦経験もある。
「そこまで心配なら、ヨッさん兄もつけます?」
ヨッさんと同じ人型戦闘機でありその兄弟機B-44。といってもそこまで弟との差はない。


「そうね。もし壊されたら嫌だものね。」


※※※


白を基調とし弟はエメラルドグリーン、兄は赤いラインが特徴的な2つの人型戦闘機。その間にいるのはキャタピラにアーム、背中には集めた結晶を入れる箱を備えている収集機。それを乗せた輸送船は間もなく旧ソ連ことロシアの上空に到着する頃だった。輸送船が周りの怪しげなヘリコプターを認識したのとそのヘリコプターが火の玉のようなものを撃ったのは同時だった。その玉、そこまで大きくはないけど速い。それなりの反射神経の人でも避けるのは難しいかもしれないくらいだった。しかしその玉を金子が作った特製人工知能を積んだ輸送船は余裕を持って避けた。それだけでなく、ヘリコプターへの反撃もした。撃った弾は実弾ではなくエネルギー弾のようなものだった。1発目でプロペラの大半を焼き切り、続く2発目は運転席に向かって打つ。それも少し時間をあけて。プロペラ損傷による機体の傾き、それによりパイロットは焦りはじめる。続く2発目が自分に向かって飛んできてるとなればさらに焦り、そのまま体制を立て直すこともできず墜落する。落ちたヘリコプターは損傷が激しいが燃えることはない。しかしパイロットの皮膚はどんどん溶けていっている。この暑さ、なぜか生物にしか効果がないのだ。しかも墜落したヘリコプター自体の爆発もない。ということはこの場所、あらゆる炎系の力は作用せず、生物にのみ暑さが伝わる、らしい。
(これなら暑さ対策は必要なかったかもしれないっすね。)
金子は心の中でつぶやく。そのまま輸送船は地面に近づいていきある程度のところで止まる。後ろのハッチが開き2つの人型戦闘機とその半分くらいの高さのキャタピラ収集機が飛び降りていく。2つの人型の機械はある程度の高さまで落ちたところで背中から青い炎を出して、キャタピラ収集機は後ろの少し大きめのプロペラを使って、落下速度を緩める。しかしあるところを過ぎたところで炎は勝手に消えた。と、そこで人型の機械の背中にもプロペラが現れる。
(こっちも念のためつけておいてよかった。)
なんて考えているうちに3体の機械はまもなく着陸する頃だった。


※※※


キャタピラ収集機C-30は黙々と結晶を集める。それを阻止しようとするヘリコプターを人型戦闘機B-43、B-44は連携して次々と倒していく。(ビーさん兄ことB-44は正確にはビーさんよりも後に作られたので弟なのだが、性能のことや体格からB-44が兄になっている。)ビーさん兄が遠距離攻撃でプロペラを壊し墜落させる。そこをビーさんが得意の近接攻撃で仕留める。それを時々輸送船が援護する。こうすることでヘリコプターはその異形の大砲のようなもの(のちにわかったことだがこれは魔術砲といって形のあるものを生み出す魔術によって作られたもの、例えば火の玉なんかを撃ち出すものらしい。)を発砲することなく次々と墜落していく。だが敵もこれをいつまでも許してくれるとは思わない。


「ちょっと、金子ちゃん!なんかヘリの大群きたわよ!」


やっぱり。輸送船に取り付けられたカメラの映像を見ていた龍郎さんから報告が入る。


「もう結構集まったしそろそろ引き上げてもいいかもしれないっすね。」
話しながら金子は4つの我が子に指示を出す。輸送船以外の3機には空を飛ぶことはできない、せいぜい落下速度を緩めるのが限界。なので輸送船は一度着陸しなくてはならなかった。乗り込む時、輸送船は当然ながら攻撃することができず3つの機体のうち戦える2機も乗り込む時を狙った攻撃には対処しにくい。画面越しに4機の見ている光景を見る金子と龍郎さんの会話は自然となくなっていた。


※※※


なんとか大群の射程に入る前に脱出はできたものの、いつ追いつかれるかわからない状況、金子も龍郎さんも気はまったく抜けない。どこまで追ってくるんだ、と言いたくなるくらいしつこかったヘリコプターの大群も北海道が見えてくる頃には引き返していった。そのまま3機を乗せた輸送船は無事金子&龍郎さんの基地に戻ってきた。


「まったく、この子たちにはいつもハラハラさせられるわ〜」
龍郎さんは緊張から解放されていつも以上に気が抜けている感じだった


「まあでも、そこが可愛いんですけどね。」


「まあ、悪くないかもね。ところであれの必要数は集まったの?」


「もちろんですよ。ちょっと調整したらすぐ使えますよ。」


「ならそろそろ、アタシの出番ってことね。ククク…。」
結構悪役っぽい言い方だけど声の感じと一人称のせいでとてつもないコレジャナイ感がある気がする。

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