命集めの乱闘〈コスモコレクトロワイアル〉

風宮 詩音

第1話 遅刻少年と生徒を守った少女

学校自体はあまり好きだとは言えない。


でも友達との何気のない会話、いつも授業が脱線してしまうおしゃべり好きな先生の話、準備から終わりまで全部楽しい行事。


家にいれば何もせずただただ暇をつぶしてしまう。


それに比べれば時間を忘れられる学校は嫌いじゃない。


それに……仲が良くて幼馴染で女子で年も同じというなんか一歩踏み出せば発展しそうな人までいる。


あれ?以外と俺学校楽しんでね?ふと考えるのをやめ、ずっと下を向いていたせいで少し痛くなっている首をもみながら前を見てみるとちょうど乗っている電車は走り始めたところだった。あと何駅だったかなと扉の上の液晶画面を見てみると………




降りなくてはならない駅をちょうど出たところだった。一瞬固まってそして我に帰る。今月3回目の出来事にため息を吐きながら桐真きりま 蒼太そうたは次の駅からの長距離走に備え足首を回した。


学園最寄りの駅から学園までは歩いて3分かかるかかからないかの距離だがその1つ先の博物館前の駅から学園までは歩いて1時間。しかし蒼太の平均ちょい上の足なら1日の6割の力を使うことで30分くらいで行ける!はず……



腕時計のストップウォッチモードを起動して改札を出た瞬間スタートのボタンを押しそれとともに走り始める。今日は運良く駅前の横断歩道の信号がちょうど青に変わった。


※※※


先月道を間違えたと思ったらたまたま見つけた近道の路地裏を通り学園の裏に出る。


ストップウォッチは現在28分48秒。始業のチャイムまで残り6分と12秒。そこから門まで約30秒、門から教室まで約2分、残り3分42秒。


今日も余裕(?)で教室に到着。いつもならしまっている教室の扉もちょうど人が出てきたおかげで開いている。蒼太は昔から妙なところで運がいい。と、そこに



「あ〜!まったく!ま〜た遅刻してる!私が一緒に行ってあげないとちゃんと学校来れないの?蒼太は!」


「せ、席に着いた瞬間説教かよ未来みく…。」


こいつが幼馴染の千里せんり未来みく。す〜〜〜〜ぐ説教するけどしっかりしてていいやつだ。


「まったく!蒼太そういうとこ昔から変わらないよね。」


「うんうん。つまりそれって俺は変わりなく平和に過ごしてるてことだよな。」


「いやいや!少しは変わらないとダメだから!」


朝から強烈なツッコミをしたところでチャイムがなったので未来は自分の机に戻っていく。それから2分。
(あれ?今日は先生遅いな。あの時間だけは破らない先生が遅れるなんてきっとよっぽどのことがあったんだr


「emergency《エマージェンシー》!emergency《エマージェンシー》!」


けたたましい警報音とともに流れてきた放送は緊急事態を知らせるもの。


「emergency《エマージェンシー》!emergency《エマージェンシー》!これは訓練ではない!繰り返すこれは訓練ではない!現在学園に脱獄犯、霧崎きりざき浩二こうじをリーダーとする集団。合計5人が侵入した。繰り返す脱獄犯5人が学園に侵入した。教師は直ちに戦闘用意!生徒は教室の扉を閉めそこを絶対防衛ラインとし各自協力して脱獄犯の確保が終わるまで身を守れ。繰り返す教師は戦闘用意。生徒は教室の扉を絶対防衛ラインとし脱獄犯の確保が終わるまで協力して身を守れ。」




教室はすぐに大騒ぎ。しかしここですぐに指示を出してくれるのが学級委員の白神しらがみ桔梗ききょう


「みんな、落ち着いて!指示通り身を守ろう!近距離、守備型は扉の近くに!遠距離、支援型は距離を置いて!氷系統の技かなんかで扉を固められる人はお願い!」


すかさず何人かが扉に駆け寄り、手をふれると一瞬で扉を凍らせた。氷系統の異能力だろう。


近くではいつでも鞘から抜けるように刀を構えている女子、SF世界にありそうな白を基調とした大きな銃を構える男子、その他個々の武器を皆構えた。




そう、ここは普通の学園ではない。魔法使い、剣士、さむらい、銃や鎌などの特殊な武器を使うもの、そして特殊な能力を持つものなどを育てる学園。名を私立星嵐学園しりつほしあらしがくえんという。


そしてこのクラス、まだ入学して3ヶ月だからいまいちみんなの実力はわからないけど結構優秀らしい。これは俺が出る幕もないかな。そんなことを考えているとどんどん外の銃声が大きくなってくる。


蒼太は変なところの運はいいがそれ以外は基本的にその日の変なところでの運による。変なところで運がめっちゃいいと運勢最悪、変なところでの運が良くないと運勢通常なのだ。今日、やけに変なところでの運が良かったのを思い出し少し緊張する。


(ま、まあ扉は凍らせたし近くには守備型がいるし大丈夫だろ。)


そのうちにも銃声と足音はどんどん大きくなっていく。


(…ん?なんか焦げ臭いような…)


と、大きな銃声とともに扉は燃え、氷はどんどん水に変わっていく。いち早く異変に気付いたおかげで大丈夫だったが他の人は何が起きたのかわからないような感じで動きが止まっていた。


扉があった場所は大穴が開き地面は氷だった水でびしょ濡れだ。異変には蒼太だけでなく未来も気付いていた。


そして彼女の能力である、超防御壁スーパーデフェンスウォールを発動しつつ教室の中の誰よりも扉の近くに飛び出していた。超防御壁スーパーデフェンスウォールは自分の周りにダイナマイトでも傷つかない半透明な球体状の壁を作り出す能力だ。


飛び出した瞬間まだみんなは何が起きてるのか理解できていないようだったが扉を木っ端微塵こっぱみじんにした張本人は手にした異形の銃を1発だけ放った。異形の銃の正体はショットガン。


しかし弾は炎をまとっていた。そして超防御壁スーパーデフェンスウォールに当たった瞬間それなりに強い爆発が起こった。がさすがは超防御壁スーパーデフェンスウォール、銃から放たれた弾も爆発もしっかりと防いだ。


さすがに状況を理解したみんなが緩んだ武装を元に戻す頃には蒼太は手を伸ばせば未来に触れられるくらいの距離にいた。まあ実際は超防御壁スーパーデフェンスウォールのせいで触れられないのだが。と、その瞬間 超防御壁スーパーデフェンスウォールが急に消えた。


体重を少しでも後ろにかけてなかったら前に倒れるところだった。しかしなぜ急に消えたのか。





未来を見てみると………。未来の背中から灰色の石のようなものが突き出ていた。


(あ、あれは異能殺しの剣……。)


異能殺しの剣はあらゆる特殊な能力を無効化する剣。しかしあれは世界に数本しかないしそもそも悪用されないよう何重もの仕掛けや警備員によって守られていたはず。そんなことを考えているうちにも未来の制服はどんどん赤黒く染まっていく。未来を刺した男は剣を未来から抜くとこちらを見て気持ち悪い笑みを浮かべていた。しかしちょうどそこにきた先生たちによって捕らえられた。


急いで未来に近寄った。しかし未来はもう息をしていなかった。

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