命集めの乱闘〈コスモコレクトロワイアル〉

風宮 詩音

第5話 2人目の記憶と焼け野原

時間は戻り7月16日


暗い部屋、そこらじゅうに積まれた分厚い本、徐々に赤い光を失っていく床の魔法陣、複雑な表情の銀色長髪の幼女。眼を開けると色々なものが見えた。ただ、何か違和感も感じる。眼だけで感じているわけではない、眼、鼻、耳、そして身体全身で違和感を感じる。特に銀色長髪の幼女から。と、その時幼女は何かを決心したようだった。そしてその小さな口を開いた。


「え…と、とりあえず記憶は消えているわけだから はじめまして。わしの名はリーシャ・アルバス。よろしく。」


なんか見た目にあわず すごくおばあちゃんみたいな喋り方だった。リーシャはそのまま数分前までの俺、桐真きりま蒼太そうたのこと、今の世界のこと、なぜこんなことになっているのかなど、色々な事を教えてくれた。


「え……と、とりあえずいくつか質問いいですか?」
気になることが多すぎる。


「なんじゃ?」


「悪魔って、魔術って、どういうものなんですか?」


「悪魔族ってのは魔力と武力に優れた種族で飛行も可能。悪魔族には闇、炎、氷属性の魔術が得意な一族がいるんじゃ。あ、ちなみに属性は炎、水、風、雷、氷、光、闇、無の8種類に分けられておる。で、お主は氷属性が得意な悪魔のようじゃな。」


「な、なるほど。」


「んで、魔術ってのは…なんて説明したものか…。う〜む。お、そうじゃ、お主魔法は知っているな。あれはあくまで世界のことわりによって決められたことしかできない。しかし、魔術は使い手によっては理を超えることも可能。というものなんじゃが、わかったか?」


「は、はぁ。なんとなく。魔術は魔法の上位互換ってかんじ…ですか?」


「うむ、そんなかんじでいいぞ。」


リーシャさんはそのまま「それでな。」と続ける。
「お主には、わしの弟子になってもらう。弟子になり一人前の魔術師になり、命結晶コスモクリスタルを集めてもらう。集めればお主の幼馴染を蘇らせることができる。」


「は、はい!」


※※※


7月25日 例の現象から9日


「固有魔術…ってなんですか?」
暇なのでよく師匠リーシャさんの本を読むのだが、聞いたことがない言葉を見つけた。


「ま〜た勝手に人の本を読んで…。んで、なんじゃっけ?ああ固有魔術か。固有魔術ってのはちょっと特殊な魔術での簡単に言えば魔術界の異能力じゃな。その人にしか使えない他とは違う魔術。お主も興味があるのか?」


「ま、まあ。」


「ならちょっと試験してみるか。お主が固有魔術を持つにふさわしいか。」


※※※


試験と言っても蒼太はただ本に手を乗せているだけだった。明らかに魔法の本って感じの本だった。リーシャさんが何かを言うと赤く光る。そのまま何かを感じ取っているようだった。


「ふむふむ…素質はあるな。あとは修行次第じゃな〜。明日から修行増えるぞ〜。」


※※※


時は戻り8月2日


蒼太とリーシャはいつも通り修行に明け暮れていた。その時太陽とはあきらかに違う赤い光が路地裏を照らした。2人は急いで屋根に登る。南、北西、北東の空に大きくていくつも重なった魔法陣があった。そこで一瞬魔法陣が一層赤く光る。次の瞬間、とてつもない轟音とともに地ひびき。


「あれは…もしや…」
リーシャさんが今までに見せたことのない真剣な表情でつぶやく。


「なにが起こったのかわかるんですか?」


「〈三角陣爆破トライアングル・エクスプロージョン〉炎属性の禁忌タブー魔術マジックじゃ。」
禁忌……魔術…だと…。


「ちなみにそれってどんな魔術なんですか…?」


「空中に三角形型に魔法陣を配置、その後その真下を大爆破!ってかんじじゃな。多分方角的に旧ソ連が半壊か3、4割が焼け野原。カナダも半壊。オーストラリアは全壊じゃろうな。」
リーシャさんは平然と言った。


「は、はぁぁ!は、半壊…ぜ、全壊ぃぃ。」


「まあ色々と不便なところもあるがな。例えば術者は三角形の中心にいなくてはならない、とかな。じゃがこれはこれで爆撃された人らには悪いが得かもしれんな。なにせ自分の手を汚さずに命結晶を集められるのだからな。」


「い、いや。どうせこの爆撃した人に全部持ってかれるんじゃないですか?」


「まあそうなったら奪いに行くしかないがな。」


「結局戦うんじゃないですかぁ〜」


「ほれほれ、しゃんとせい!そんなんじゃ奪える結晶も奪えんぞ〜」


※※※


もし勘付かれたら厄介だと思い、わざわざ空中で発動して正解だった。三角形型の綺麗な爆破も見ることができたのだし。ヘリコプターから地上を見下ろしながら50代くらいの紳士はそんなことを考えていた。


「さて、あとは回収だな。回収班は爆破地に進入可能になり次第回収を急げ。」


ヘッドホン型の通信機に紳士は指示を出す。


「了解です。社長!」
その言葉をしっかり聞き終わると同時に社長と呼ばれた紳士は通信機をはずす。紳士が社長を務める会社、リプテダイトは表向きは有名食品会社だが裏の顔もある。魔術結社なんて呼ばれ方もしているそれは日本が本拠地でありながら本場のローマやイギリスも恐れる力を持っているという。その社長、高岡 博志ひろしはこの界隈なら知らぬ人はいないであろう有名人。


なぜなら炎属性最上級の魔術師だからだ。

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