Behind the door

小鳥遊\\u3000星

第一章 始まり

 それは、暑い夏の日だった。俺は太陽の陽射しをさけるためカフェに入っていた。
「そろそろ帰らねーとな。」
いわゆるニートをしている俺は朝から壊れてしまった携帯用ゲーム機のカセットを買いに行っていたのだ。まあ、‘正確には壊れてしまった’ではなく“壊されてしまった”なのだが。昨日、俺の数少ない友達の家で遊んでいたときの事だった。後ろからバキバキっと音がして振り返ってみるとその家で飼っていた犬が、俺の大切なカセットをケースごと噛み砕いていたのだ。しかも三枚も…涙が出そうでしたよ、本当に。まあ、終わった事だ。話を戻そう。
 会計を済ませてカフェを出た。カフェのクーラーで涼しんでいたため、ぶっ倒れそうなくらい気温差があった。
「あー。だから外は嫌いだ。」
愚痴を言いつつ家に帰った。
「ふぅー。到着!」
久しぶりに外に出たため体力が衰えたなと思いつつ自分の部屋の扉を開けた。
「………ん?!」
あれ、おかしい。おかしいぞ。久しぶりに外に出たから暑さに耐えれず頭がおかしくなったのか?!
 目の前には異世界転送系アニメでよく見る風景があった。
「あれ、映画の撮影でもしてるのかな?って無いよなここ俺ん家だし。って事は………本物の異世界転送かーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
生きてきたなかでこんなにも声を出したことは無いであろうというくらい大声で叫んでいた。そしていつの間にか普通よりかなり上であろう緑色の髪の美少女が耳を塞いでたっていた。
「そんなバカみたいに叫ばないでくれる?」
「すいません。」
口は悪いがやはり美少女だな。
「あら、そんなにじろじろみて、私のこと可愛いと思ったでしょう!!」
「い、いや…。」
やっぱりさっきの‘普通よりかなり上であろう美少女’というのは撤回することにする。
「やっぱり思ったのね! 思ったのね!!」
 その美少女は訴えかけるようにこっちを見てきた。
はぁ~。これはゲームあるあるの‘はい’と“いいえ”があるのに、‘はい’を選ばないと一生続くヤツじゃん!仕方ない。
「はい、はい、思いましたよー。」
「うわーやっぱりか。キモ!!」
あー。嫌いなタイプだ。こういうのアニメで見てても腹が立つやつだ。よし、無視しよう。
「図星です~。やっぱりキモいですね。クスクス。」
すんごいぶん殴ってやりたい。少なくとも美少女と分からなくしてやりたい。
「まあ、いいわ。さっそくあなたに使命を与えるわ。」
「いやいや使命とかはやいだろ。展開が早すぎるよ! まず、この異世界に転送させた理由とかだろ。普通。」
「あら、キモニートさん。異世界だなんてよく気付いたわね。」
「おいおい。キモニートはねえだろ!」
「あら、間違っているかしら。クスクス。」
くそ!!ぶん殴ってやりたい……。
「まあ、いい。何故転送させた?」
「何となく。かな~~。」
「……殴っていいか?」
「いいわけないじゃない!! しかも、私は美少女よ。あなたみたいなキモニートが触ったらけがれるじゃない!」
あー。めんどくさい。
「まあ、話を戻そう。何故転送させた理由が無いのに俺に使命を与えないといけないんだ?」
「あなたとしゃべってると疲れるから正直に話すわ。“使命を与える”とでも言えばあなたみたいなアニメ好きのキモニートはのせられて私の思い通りに動くと思ったのよ! ということで、使命を与えるわ。」
あれ、あれあれ、とっさに殴ってしまった。生きていたなかで誰も殴った事もないのに人生初の相手が女の子でしかも美少女という凄くいけないことをしてしまった。
 美少女の方をみると美少女が泣いている。
さすがに殴るのは駄目だよな…。
「なぁ…。」
「こんな世界一素晴らしい美少女を殴るとは、男として最低よ!」
あ、やっぱり謝らなくてよっかたよ。
「あら、謝らないのね。ならもういいわ。あ、でもこれだけは渡しといてあげるわ。」
 そう言って美少女は 異世界アニメでよくみるお金が入ってそうな小袋を落とした。
「べ、べ、別にあなたを助けたいからじゃないんだからね!」
そう言って美少女は消えていった。そう、消えていった。
「えーーーーー!!! 消えていったじゃねーよ!!! ……まあ、思ったよりいいやつなのかもしれないな。」 
 そう言って小袋を開けた。これでお金じゃなければ美少女見つけだして怒鳴り付けてやったのだがどうやらこの世界のお金のようだ。

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