ママは乙女!

オンスタイン

7話 抱く思い

「ん、ふぁ〜」
微かに開いたカーテンから心地よい日差しがさす
今日は仕事は休みのためついつい長く寝てしまった
「シトラたちはもう出掛けたみたいね」
あの二人、特に艦長は大丈夫だろうか…この前はおじい様と話してきた際に腕を折られたという
だがあの男なら大丈夫そうだと安心しとりあえず起きて朝食をとることにした
リビングに行くと急いでいたのかシトラの脱いだ服がほったらかしになっていた
「もう…服くらい直しなさいよ」
服を拾い上げると横からおいしそうな匂いがした
テーブルには置き手紙と朝食が用意されていた
「テレサちゃんへ。オットー主教のところに行ってくるからちゃんと朝起きてお顔洗ってご飯食べて服着替えるとこまで一人でやるんだよ〜」
と置き手紙に書いてあった
「一人でって毎日、手伝ってもらってるみたいな言い方しないでほしいわね」
だが、早く起きたのなら起こして朝ごはんくらい食べさせればいいものの…
いや、寝かせておいてくれたのだ…
「…バカ」
照れくさくなったが冷めない内に朝食をとることにした
「い、いただきます…」
いつもなら三人で言ういただきますも今は一人で言うため少し寂しい…気もする
朝食を食べ終わり、ひとまずシトラたちが帰ってくるまでに一通りの家事を済ませておくことにした
いつもは艦長に任せっきりのため休みの日くらいはさすがに手伝おうという気になる
「たまには、母らしくひと仕事やるわよ!」
洗濯、掃除、食器洗いと順調にこなし見事すべて完了させた
「さすが私、やっぱりやれば出来る天才だわ〜」
こんな事、艦長やシトラの前では言えないが今は一人のため存分に自画自賛する
「あの子が大きくなるまでに立派な母にならなくちゃね」
そうなったらシトラが母親と間違われることになるのは考えないことにした。いや考えたくもない
「そうと決まれば今のうちにお料理の練習よ!」
張り切りながらキッチンに向かい腕を捲り上げるまくりあげる
「……えっ?」
捲り上げた腕に赤いアザが出来ていた
「……ウソよ…そんな…嫌」
そのアザが示す意味を感じ取ったテレサは泣き崩れてしまった
「……なんで…今なのよ…」

ガチャ
「一家の大黒柱オンスタインパパのご帰還だぞー!」
「シトラちゃんのごきかんだぞ〜!」
どうやらシトラたちが帰ってきたみたいだ

「まだ…まだダメなのあの二人を置いて…」


「…死ぬなんて…」

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