1話 child mother＜お母さんは子供！＞

2056年8月23日。蒼海市で1つの生命が誕生した

「ママーどこー？」
昼間の忙しい時間帯。ちょうど今は人が1番行き来していて混み合う時間帯である
「こ…ち…よ…トラ！」
微かだが自分を呼ぶ声が聞こえた
人混みのせいでよく聞こえないためどこから呼ばれているのかまったくわからない
「ママー！パパー！こっちに来てよー！」
叫んだが返事がなかった
だんだん不安になってきて泣いてしまいそうだった

「見つけた！シトラちゃんパパがきたよー！」

とつぜん後ろから抱きかかえられた
「パパー！」
ようやくパパに会えて安堵あんどした
「ささっもう帰ろうかーママもあっちで…あれ？」
「ママいないね」
「もーまったくーいい歳こいてママも迷子になったかー世話が焼けるママだねー」
「さっきから後ろにいるんだけど…」
不意に後ろから声を掛けられた
「ママー！ママー！」
「はいはいママですよーまったく心配かけさせないで欲しいわ」
「とりあえずここを抜けようか」
「ええ、そうね」
そう言って随分小柄なママは人混みをかき分けながら進んでいこうとするが今にも押し倒されそうになっていた
「もーやっぱり世話が焼けるママだなー」
「えっ！？ちょ、ちょっと！」
パパは私を抱きかかえたまま、ママも抱きかかえた
「うひょーハーレムハーレム〜」
「ママも抱っこされてる〜」
「ちょ、ちょっと降ろしなさいよ！あなた！」
ママは必死に抵抗するがパパは降ろさなかった
なんとか人混みを抜けようやくママは降ろしてもらえたようだ
「ささっ早く家に帰ろうか日が沈むと寒くなるからねー」
「うん！早く帰ってシトラの誕生日会するのー！」
騒がしい家族は楽しそうに帰路についた

2062年8月23日。今日は私、シトラ=アポカリプスの誕生日なのだ！