冬の稲妻

ブラックベリィ

046★その発言、嫌がらせ?


 雅美が顔を顰めて、秀人の背中の傷に怖々と触れる。
 その感触を感じた時、秀人は反射的にお礼を言ってしまう。

 「ん? ……雅美
  ありがとうな」

 突然、秀人にお礼を言われて、雅美は面食らう。

 なんで? 怒って当然なのに?
 それとも……新手のいやがらせ?

 もしかして、別れたい女の子でもいるのかな?
 秀人君ってば……なんか……変? ……謎?

 「はぁー?」

 雅美が内心でグルグルしていることに、気が付かない秀人はご機嫌だった。
 だから、秀人は振り返って、にっこり笑う。

 「これで、適当に
  女と手ぇー切る事が出来る
  サンキューな雅美」

 ははは……やっぱり……新手の嫌がらせだぁ…………。
 ボク、そんなに悪いことしたのかなぁー…………。

 カミナリが怖くってギャーギャー悲鳴をあげて……。
 1人で居るのがイヤになって…………。

 寝ている秀人君を起こして…………。
 抱きついて…………。

 ガンガン……何度も……引っかいて……。
 肩も背中も…………。
 酷いコトしてるわ…………。

 心の中で、自分のしたことを、指折り数えた雅美は、失敗をした子犬のようにうなだれる。


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