冬の稲妻
017★ちょっと自棄?
腕の中で項垂れる雅美に、秀人はちょっと溜め息を内心で付きつつも、優しい声で言う。
「……じゃなくってな…………」
その瞬間、再びカミナリがわりと近くに落ちたらしい音が響き渡った。
雅美はミィーミィーと泣きながら、秀人にしがみついた。
秀人が、震える雅美を抱き締めて、可哀想だと思っていたのは最初だけであった。
こう何度も何度も泣きながら、掻き毟られるのにも飽きてきたなぁ…………。
ああ、もう、うざったい。
流石に、こう何度も叫ばれると、秀人しても面倒臭くなる。
が、雅美が自分を見てくれないのはもっと嫌なので、ある方法を取る事にする。
「雅美」
柔らかな呼びかけに、はっとして反射的に小首を傾げながら応える。
「うん?」
「別のショックがあれば
寝れるよな」
秀人は、そう雅美に確認するように言う。
「う、うん」
雅美は秀人の言葉に、何が何だか解からないが、取り敢えず頷く。
「うん」
秀人は、眠りを促す為に、雅美の顎を取って軽い口付けをする。
帰国子女の秀人にとってはどうってことないことなので、そういう意味での躊躇はなかった。
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