冬の稲妻
016★再びカミナリ…幸せの時間は続かない
雅美が身を乗り出すように不思議そうに尋ねても、秀人は珍しくはっきりとは答えない。
「うん、ちょっと………
ごめんな、言えない…」
はぁー…流石になぁー…言ったら、雅美が離れちまうだろうし……内容が内容だもんなぁ……。
困った顔をする秀人に、雅美は首を傾げつつも、それ以上は追求しない。
「別にいいけど…………」
そう言えば、秀人君って拳銃で撃たれた傷あったもんね。
アメリカって……銃撃戦みたいなの? って、テレビよくやってるもんねぇー…………。
でも、ちゃんと克服してるんだ。
秀人君って凄いなぁ…………僕も、頑張るもん。
雅美が、ぼんやりとしている間に秀人は、都合が悪くなった事もあって、毛布をかけ直して言う。
「さっ、寝るぞ、雅美」
「うん」
秀人の言葉に雅美は秀人の腕を枕にして、そのまま幸せな気分で眠ろうとした…………が、そこにカミナリの音が。
ゴォー……ゴロゴロ………ズゥズゥーン
室内を稲光が照らし、雷鳴が鳴り響いたと同時に、雅美がビクッと身体を震わせて叫ぶ。
「キャー………」
次の瞬間、再び毛を逆立てた子猫と化して、バリバリッバリバリッと掻き毟る。
「雅美」
秀人に名前を呼ばれ、掻き毟ったことを非難されたと思った雅美は、シュンとして謝る。
「あ、ごめんね」
コメント