冬の稲妻
013★どうして、そこでタバコ?
雅美の方は、秀人に抱き締められたのが嬉しくて、その胸に子猫のように、すりすりと頭をなすり付ける。
擦り付ける胸があることに安心した雅美は、更に楽しそうに当時を思い出しながら言う。
「うん、ヒロシ君って
とっても優しいんだよ
ただ、それで
火が怖いっていうのはね
ケダモンだっつて
『俺はケダモノじゃない』ってね
小学校四年生なのにね
無理やりタバコを
吸おうとしたんだよ」
短絡思考なやつ…………つーか、そこで、なんでタバコを吸うになるんだか?
まっ…雅美の幼馴染だからな………有る意味、似たり寄ったりの精神構造なのかもなぁ…………。
雅美の言葉に、即座にそう思ったが、何のコメントも入れずに黙って頷き、話しの続きを聞く。
「でね、先生に見付かってね……
『先生が、お前
そんな事しなくたって
そのうち慣れるようになる』
って言うの
煙草を怒るんじゃなくてね
やってる意味
知ってるもんだから
必死で宥めてたの」
雅美の頭を撫でながら、秀人は頷く。
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