冬の稲妻
009★怯えられる困るんです
あーあ、雅美のやつ、正気なら絶対しない事をしてくれる。
ふむ、あのトラウマより、カミナリの方が怖いか?雅美。
幼さの滲む雅美に、秀人は内心でクスッと微笑いながら、優しい声で囁くように言う。
「ほら、寝ろよ」
雅美は秀人の声にほっとして、目を閉じようとするが、タイミング悪く(良く?)ゴロゴロと再びカミナリの音がする。
次の瞬間、秀人の寝室をパッと照らす程の光をもって、暗い夜空を稲妻が駆け巡る。
途端に、雅美き泣き叫ぶ。
「キャー………イャァー…
秀人君…こわいぃー………」
一声叫ぶと雅美は、秀人にがっちりとしがみついた。
その姿は、子犬というよりは、毛を逆立てた子猫だった。
当然、無意識のうちに、爪を立てて思いっきり、ガリガリと引っかいていた。
が、雅美も秀人もそんなことを気にしてはいなかった。
秀人は、しっかと抱きつく、子猫のような雅美の背中をポンポンと叩きながら、思考をめぐらす。
うーん、何か煩いなぁ…………どうしたら、カミナリでこんなに怖がれるんだ?
なんか怖がる理由でもあるのかなぁ?
「雅美、まだ、怖いか?」
その質問に、雅美は涙を溜めてコクコクと頷く。
泣く姿は可愛いけど…………でも、流石にここまで脅えてると………なんか、可哀想だなぁ…………。
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