私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

067★情報交換と物々交換はとても大事です


 別の場所で、マクルーファは、撤収作業の進み具合を確認しながら、リーガルとこの後のことを話していた。

 「リーガル、どうするんだ?
  今回は、皇帝領のドランに帰還するのか?」

 マクルーファの質問に軽く首を振って、リーガルが答える。

 「いや、帝都の中央騎士団本部に
  顔を出すことになっている」

 中央騎士団及び東域騎士団、西域騎士団、南域騎士団、北域騎士団は、それぞれ皇帝領内にある都市に、それぞれ本拠地を置いている。
 中央騎士団はドラーン、東域騎士団はドゥーラ、西域騎士団はゴーラン、南域騎士団はアーラン、北域騎士団ニューラに騎士団支部という名称の本部があるのだった。

 「珍しいな、リーガル、お前は
  ドラーンの中央騎士団の方が本部だって
  何時も言っているくせに…………」

 そんなセリフに、リーガルはニッと笑って言う。

 「ドラーンが、中央騎士団の
  本部なのは、確かさ………

  でも、今回は《召喚》された聖女候補を
  ウチも預かることに成っているから……

  顔合わせに戻る必要があるんだ………
  団長のシャルル様も…魔物討伐が終わったら
  帝都に帰還する予定になっているからな」

 「へぇ~第4皇子のアーダベルト様に
  任せるんじゃないのか?」

 「アーダベルト様は、隊長でしか無いんだ
  聖女候補の世話をするには、力不足だろう

  だから、アントワーヌ公爵家の跡取りである
  シャルル様が、世話した方が良いだろう」

 「随分とロコツなんだな」

 「継承権第2位の皇子なのに
  《召喚》時に、団長になっていない方が
  悪いんじゃないか?

  俺や副団長のリヒテルも侯爵の
  跡取りなんだから………
  チャンスは平等にって思っても当然だろ?」

 「まっ、確かにな
  俺だって、公爵家の跡取りだし
  オスカーだって、その気になれば
  公爵家の跡取りだしな」

 「今回は、王位継承権を持っている皇子で
  騎士団の団長に成っているのは
  アルファード様だけだから………

  いずれは…この国の皇帝に成る方だから
  流石に有能だよな…聖女候補様も……
  皇妃に相応しい姫君だと思うしな

  マクルーファ…お前は…
  他の聖女候補を狙うのか?」

 「いや、俺は、姫君以外に興味は無い
  何の意味も無いと判っていても………

  この尻尾を捕らえて…それはそれは…
  嬉しそうに笑ったコトを忘れるなんて
  出来ないんだ

  ダメなら…姫君とアルファード様の
  いずれ誕生なさる姫を娶れるように頑張るさ」

 「ああそうだな…聖女候補の産んだ姫君も
  膨大な《魔力》を秘めていることが
  多いからなぁ………

  今回の中に、性女様がいないことを祈るよ」

 「そうだな……どっちにしても
  全ての聖女候補と顔つなぎはしておく
  必要があるからなぁ」

 「どんな容姿で、どんな性格なのか?
  《魔力》はどの程度あるのか?
  って思うと会うのが楽しみだ」

 「そうだな…ってのは、ここまでで………
  魔物の肉は足りているか?」

 「分けてくれるのか?」

 「本当に足りないんだったらな」

 「実は、全然足りてない
  今回は、やたら強いのばかりだったんで

  倒すのに精一杯ってモノが多かったから
  肉としては、ダメダメだったんだ
  …だから…欲しい」

 「では、必要な分を取れ
  俺の【魔倉庫】出してやる
  良く見て選べよ」

 「助かったぁ…この辺とこれと………」

 リーガルは、ひとしきりマクルーファの【魔倉庫】の中身を指差して、魔物の肉を大量に手に入れた。
 そして、魔物の肉を自分の【魔倉庫】に入れて行った。
 出してもらった魔物の肉の対価を、リーガルはマクルーファに聞いた。
 
 「マクルーファ、今回の肉の対価は?」

 「美味しい果物と木の実が欲しいですね
  姫君はお菓子が作りたいと
  何度も言っていましたから」

 「わかった…中央騎士団の騎士達に
  それぞれの家の自慢の果物と木の実を
  用意させる…それで良いか?……」

 「良いですよ」

 「助かる……ウチは、魔法騎士団ほど
  肉が余っているわけじゃ無いから」
 
 「確かにな…では、中央騎士団も
  帝都に帰還するんだな
  俺達の後から付いて来いよ」

 「わかった、後から付いて行くよ」

 「んじゃ、出発時に………」

 情報交換と物々交換の約束と打ち合わせ?を終えたマクルーファとリーガルは所属する騎士団に戻る為に別れた。
 そして、天幕などの後始末が終わると帝都へと出発するのだった。

 なお、神官達や魔法使い達は、魔法騎士団の中に紛れ込んでいた。
 それは、エリカの側にいたかったという微妙な?思いからだった。







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