私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

050★材料OK鉄板も用意できました


 豊富な食材があると言うアルファードに、エリカは水球を見詰める。
 いや、そこに映る材料を………。

 そう今まで居た世界と、かならずしも材料が同じモノとは限らないので………。
 しつこいと思われても、料理を作るうえでの確認は必要だと思い、エリカは再度聞いてみることにした。
 
 「アル…本当に、この中に
  今言った材料があるの?」

 エリカの疑問はもっともなので、アルファードはちょっと小首を傾げて言う。

 「出してみようか?」

 〔実物を見せれば良いかな?
  実際、エリカの言うモノと同じか判らないし
  あぁ~…エリカの手料理早く食べたいなぁ~〕

 そんなコトを思いながら、アルファードは色々なモノを取り出して見せる。
 取り出された材料を見たエリカは、嬉しそうに笑う。

 「良かった、バニラシードが有って
  これが有れば色々なお菓子が作りやすいわ

  それに、こっちにカカオがあるなんて
  すっごく嬉しい

  でも…下処理の仕方を知らないから………
  カカオあるのに……ちょっと困ったなぁ……」

 材料を手に取り、自分が知っているモノとほぼ変わりないことを確認しつつ、カカオを見て残念そうに言うエリカに、アルファードが手に取って、自分が知っている食べ方説明する。

 「このカカオは、こうやって半分に割って
  中身を取り出して、粉砕するだけで
  そのまま使えるんだ

  コレは、寵愛の聖女様の為に、当時の皇帝が
  魔法使い達に色々と試すように
  命令して製法が判ったものだ

  チョコレートは栄養価が高くて美味しいから
  歴代の皇帝や皇族、魔法騎士団の騎士達や

  魔法師団の魔法使い達、神聖魔法師団の
  神官達などが、好んで食べていたんだ

  ただ、ここ30年ほどの間に
  砂糖が極端に手に入り辛くなってからは

  体調の悪い陛下や【治癒魔法】を使う
  神官達が優先的に食べているものだけど

  カカオは、つい見つけると収穫して
  保存するクセがあるから………

  それと、バニラビーンズも、その時
  皇帝が探し出したんだ」

 アルファードの説明に、エリカはなるほどと言う表情になる。

 〔あや…皇帝陛下って体調悪いのか……
  なのに、第1皇子が魔物討伐にひょいひょいと
  出されるのって………

  いや、今考えることじゃないよね………
  今は、美味しいこばんを作って食べることが
  最優先だもん

  あと、一応確認しておこう
  何時、誰が用意したか………〕

 内心では色々と思うことはあったが、エリカはそれを意識の隅に置き、とりあえずの確認をする。

 「へぇ~聖女様を愛していたんだねぇ~
  もしかして、マヨネーズとかも?」

 エリカの様子に気付くことなく、並べた食材を手にとりながら、アルファードは頷いて説明する。

 「ああ、マヨネーズ、コショウ
  ショウガなども、寵愛の聖女様だ

  たしか、トマトケチャップ、ソースなどは
  聖母な聖女様が欲しがったモノで………

  色々な種類の油は……えぇ~とぉ……
  慈愛の聖女様って感じかなぁ………

  確か、石鹸とかも聖女様が作ったって……
  ごめんこのぐらいしか覚えてないんだ

  詳しいコトを知りたかったら、神官か
  魔法使いに聞くとイイよ」

 アルファードの説明に、エリカは頷いてから聞く。

 「うん、わかった
  後で、他の聖女様達の話しを聞く時にでも
  食材の話しとかを聞いてみるね

  って、ことで、あとは、鉄板はあるかな?
  1番、重要なモノなんだけど」

 聞かれたアルファードは、エリカの要望に応えて出してみせる。

 「これか?」

 アルファードが、食材とは別の【魔倉庫】から出したのは、縦182cm横90cm厚さ3cmの鉄板だった。
 それを見て、何に使うかイマイチ想像出来なかったエリカが質問する。

 〔いや、確かに、鉄板だけど……
  料理に使うモノにしては………〕

 「アルファード、それって何に使うの?」

 「この鉄板は、ぬかるんだドロとかで
  足場が悪い場所を通る時に使うモノなんだ

  これには【無属性魔法=重量軽減】と
  【無属性魔法=浮揚】が
  掛かっているから…………。

  魔法でぬかるんだドロを固めても良いんだが
  戦闘前は、出来るだけ魔法を使いたくないから
  ってコトで、聖女様の提案で
  作られたモノのひとつだ」

 「ふぅ~ん…過去の聖女様って
  色々とやっていたんだねぇ………

  じゃなくって…これって………
  もっと、ペラッペラに出来る?
  流石に、コレじゃ厚すぎるから……」

 エリカの言葉に、どういう風に使うんだという質問も無しに頷く。

 「うん、出来る…やってみようか?」

 「うん、お願い」

 期待でキラキラする瞳に見とれたアルファードは、エリカの要望に応えようと、鉄板をふわりと持ち上げる。
 そして、魔法でエリカの言ったように、鉄板を薄く延ばし始める。

 「このぐらいか?」

 「もう少し薄くして」

 「これでイイか?」

 「うん」

 元の鉄板のサイズを考えると6倍ぐらいに縦に長くなっていた。
 もちろん、天幕の中いっぱいいっぱいの長さである。

 さすがに、そこまで長くなった鉄板を、何に使うのか知りたくなってアルファードが聞く。

 「これは、何に使うんだ?」

 〔あは…やっぱり聞かれるよね
  でも、かなり長さがあるから

  ちょっと大変かもしれないけど
  一度にいっぱい作れそう

  じゃなくて、こっちに存在しているかな?
  過去の聖女様達は作ったことあるかな?〕

 アルファードの質問に、エリカはにっこりと笑って言う。

 「お好み焼きを焼くの、それと焼き肉
  あと、ホットケーキもね」

 エリカの言葉に、聞いたことの無いごはんの名前だと思ったアルファードは、小首を不思議そうに傾げながら聞く。





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