私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

035★エリカとアルファードのファーストコンタクト


※文中に必要な時は入れますが、それ以外は、この回から、団長・副団長を抜いて書きます。


 エリカの言葉に、アルファードは、ピキッと一瞬固まってしまう。

 〔はぁ~…最初のひと言が…
  美少年かぁ~……

  う~ん…オスカー達に
  言われるのと違って

  好きな女に言われると……
  キツイな………

  でも…顔だけでも
  気に入ってもらったと
  思えば………

  頑張るんだ…俺〕

 せっかく、エリカの目覚めに間に合わせる為に頑張ったんだからと、気持ちを切り替えて、アルファードは苦笑する。

 「エリカの甲冑は
  オスカーに手伝わせて
  俺が、脱がせた

  その方が、身体に
  負担が無いと思ったから……」

 アルファードは、やましい気持ちは無いと言う意味で言う。
 が、エリカの思考は別のところにあった。

 〔うわぁ~……こうして
  マジマジと見ると…

  本当に、すっごい
  美少年だわ

  大事なことだから
  2度いうわ

  すっごい美少年よ
  まさに王子様

  見るからに王道の
  キラッキラの銀髪に

  銀を帯びた
  紫紺色の瞳なんだもん

  ラノベの挿絵…
  ううん…違うわ

  コレは、乙女ゲームの…
  スチル? かしら?

  いや、オープニングの
  一場面的………

  ……きゃ~い……
  眼の保養よ…眼福よ

  そう思ってみると
  まわりの人達も凄いわぁ~〕

 「あっ…うん…ありがとう………
  えーとぉ…シルファードを……」
 
 そう言うエリカの言葉を途中で切ってアルファードが、再度苦笑して言う。

 「シルファードは
  エリカにあげるよ

  それと…その甲冑も
  エリカのモノだよ

  騎士服の着替えも…
  戻ったら、全部あげる

  それを着るヤツが……
  また…入団するとは
  思えないから………

  それと、エリカ
  俺のことは
  アルと呼んでくれ………

  アルファードは
  数人いるから………」

 〔えっ…うっそぉ~…

  いきなりファースト
  呼びどころか

  愛称呼びですか?
  マジですか?

  いや、嬉しいけど………
  でも、こういうのって
  後からドボン……

  ここは、愛称呼びは
  辞退した方がイイかな?〕

 「でも、団長さんなのに………
  それに…甲冑や騎士服と違って
  シルファードは……」

 「そんなコトを言うと……

  くすっ……シルファードが
  項垂れてしまうよ

  ほら…エリカ…アレを
  見てそう言うの?」

 アルファードの言葉で、ルシファードを振り返ったエリカは、愛らしくコテンと小首を傾げる。

 「えっ? …あれ? えっ? 
  シルファードどうしたの?」

 そう言うエリカの視線の先では、立派な体躯の馬が、うなだれていた。

 「クスクス……シルファードは
  エリカを、主に選んだのに………

  いらないって
  言われるかもって……

  思ったんだよ…
  だから…側に行こう」

 アルファードはそう言って、エリカをひょいっと抱き上げる。
 流石に、美少年でも団長だけあって、小揺るぎもしない。

 「えっえぇ~…ちょっ…
  ちょっとぉ…待ってよぉ~
  エリカって重いんだよぉぉ」

 〔意識のある状態で
  お姫様抱っこは……

  とんでもなく
  恥ずかしいのよぉ~……

  マジ、勘弁して下さい……
  羞恥プレーは……いやぁぁ~……〕

 顔を恥ずかしさに赤らめるエリカに、アルファードはにっこりと笑って言う。

 〔とにかく、エリカは
  俺の聖女だって
  アピールしないとな

  聖女と確定した
  力ある女を

  自分達の血統に入れようと
  虎視眈々と狙っている
  家は多いからな〕

 「クスクス……軽いよ…
  甲冑を着けた負傷した

  騎士達を抱き上げて
  運ぶのに比べれば…

  エリカなんて…
  羽根のように軽いよ

  なんと言っても…
  俺より小さいから

  抱き上げるのも
  簡単だし………

  それに…良い匂いが
  するしね」

 恥ずかしいセリフをさらりと言うアルファードに、エリカはなんとか降ろしてもらおうと、一生懸命に訴えようとするが………。

 「でっでもね………」

 そんなエリカの言葉を聞く気の無いアルファードは、くすくすと上機嫌で笑いながら運んで行く。

 「ほら…シルファードってば………
  エリカに拒否されたと思って………
  ぐったりしているんだよ

  見るからに…
  がっくりしているの判るだろ

  う~ん…生きる気力が
  無くなった感じかな…」

 アルファードの言葉に、エリカは困ったような声を上げる。

 「そんなぁ~……」

 拒絶されたと思い、とうとう力なくうずくまってしまったシルファードの側へと運んだアルファードは、視線を向けながら言う。

 「これでも?」

 生気まで薄くなったように感じるシルファードを見て、エリカは心配そうに言う。

 「シルファード…大丈夫なの?」

 エリカの言葉に、アルファードは先刻の出来事を口にする。

 「コイツは、俺が呼んでも
  来なかったんだ」

 〔まったくとは思うが………
  よくやった、シルファード……

  聖女の心を射止めるとは……
  馬じゃなかったら………〕

 内心を綺麗に隠しているアルファードの顔を見上げて言う。

 「えっ…嘘でしょ?」

 〔やだわぁ~…本当に
  美少年なんだもん

  お兄ちゃんよりも
  綺麗だからドキドキする……

  じゃなくて…シルファード
  大丈夫かな?〕

 びっくりするエリカに、アルファードが首を振って言う。

 「森の奥にいた
  キメラとサラマンダーを

  討伐に行くから
  来いって意味で

  指笛で呼びかけたのに………

  ウェンデール…
  俺が今回騎乗してきた馬…は
  直ぐに答えたんだけどさぁ…………

  エリカを乗せて来た
  シルファードは
  いななきすらしなかった………」



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