私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

030★アルファード団長のお仕事はまだまだ終わらない



 オスカー副団長の命令に、4人の側近達はそれぞれ精霊魔法の初級の上位魔法《水鏡》を使う為に、必要な魔法【ウォーターボール】を無詠唱で空中に浮かべた。

 その水球に、次の魔法【ウォーターミラー】をやっぱり無詠唱で掛けた。
 すると、水球に魔法使い達が映る。

 一方魔法使い達は、自分達の作った水球に、フェリックス達が、割り込んできたことに気付く。
 その水球の中から魔法使い達を代表して、オーギュストが発言する。

 「無事、アルファード様達と
  合流できたようですね

  ところで、先ほど
  大きな魔力が、2回も
  発動しましたけど………

  発動したのは
  聖女様でしたね

  いったい…
  何をしたんですか?」

 その問い掛けに、オスカー副団長はすげなく答える。

 「その情報を
  答える許可を

  団長より
  いただいていない」

 オスカー副団長の様子に、追求しても無駄をすぐに悟ったオーギュストは、あっさりと話題を替える。

 「そうですか、では
  負傷者の位置情報を
  映し出します」

 それを確認し、オスカー副団長は次々と指示を出す。

 「私とドナルドは
  中央騎士団を……」

 「では、こちらです…………」

 「私とジャスティーは
  魔法騎士団を……」

 「それでは、こちらを…………」

 「皆さんに
  提示した情報は

  既にマイケル隊長に
  与えましたので

  現在は小隊ごとに
  負傷者の元に
  向かっております」

 「戦闘中の者はいるか?」

 「現在はありません」

 「そうか…助かった…
  ありがとう……」 

 側近達が魔法使い達と会話している間に、オスカー副団長は同格の副団長マクルーファと会話していた。

 「随分と酷い状態だったな
  そんなに魔物が
  出たのか?」

 「ああ…森の奥から…
  そりゃ~もう…次々と……

  まるで、何かに
  追い立てられるように……

  どんどんこちらに
  走って来るんだ

  数の暴力? 勢い? に
  負けたという表現が
  1番しっくりくるな

  ところで…
  こんなところで
  のんびりと

  話している状況じゃ
  ないんだが……

  まだ…森の奥にいる
  キメラとサラマンダーは
  処理していないんだから………」

 森の奥に居た片付けるのが大変な大物を思い出し、憂い顔でそう言うマクルーファ副団長に、オスカー副団長がとてもイイ顔で言う。

 「それは、団長を
  たきつければ良いから…

  安心しろ………直ぐに
  討伐してくれる」

 その表情を見たマクルーファ副団長が、ちょっと嫌そうな表情で言う。

 「オスカー…お前…また…
  腹黒いコトを…
  計画しているな

  俺は…疲れているんだ
  巻き込むなよ…
  頼むから………」

 「大丈夫だ…なに
  直ぐに終わるさ

  そこで…のんびりと
  見学していろよ…」

 オスカー副団長は、どこか不安そうな表情のマクルーファ副団長をその場に残して、アルファード団長の元に戻った。

 そして、大きな治癒の力を使ったことで、気絶したエリカを抱き締めてご満悦なアルファードと、物珍しい生き物を見る瞳でエリカを見詰めている、双子と見紛う異母兄弟のギデオンとレギオンに話し掛ける。

 「アルファード様
  ちょっとだけ
  よろしいですか?」

 「なんだ?」

 「その姫君は
  愛しいですか?」

 「ああ、愛しい…
  俺のものにしたい

  なんと言っても
  可愛いし…優しいし

  早く甲冑を脱がせて………

  柔らかい身体を
  抱き締めたい

  さっさと結婚したい
  俺だけのものにしたい………」

 切々と想いを零れ落とすアルファード団長に、オスカー副団長はとてもイイ顔で言う。

 「そうですか………
  そこまで…
  惚れ込んでいただけると…

  姫君を確保して…
  ここまで連れて来た
  かいがあります」

 オスカー副団長の言葉に、アルファード団長も、似たようなイイ顔で言う。

 「有能なお前を
  帝都に置いているから
  俺は安心して出撃できる」

 「褒めても
  何も出ませんよ

  と、与太話しは
  ここまでです

  先程…アルファード様が
  言っていた

  キメラとサラマンダーを
  サクッと討伐して下さい

  その間に、姫君を
  貴方のテントに
  寝かせておきます

  勿論、寝辛い
  甲冑その他は

  脱がせておきますから………

  さっさと仕事して下さい
  わかりましたね」

 有能なオスカー副団長の言葉に、アルファード団長は、その言葉に肩を竦める。

 「はぁ~わかった
  討伐してくる
  それでイイんだろ?」

 了承したからと言って、そこで手を緩めるオスカー副団長ではない。
 そう、すかさず追い討ち?というか、追加の要求をしっかりする。

 「はい…それと…
  書類の決裁が
  溜まっていますので………

  帰ったら…ガンガン
  仕事して下さいね

  そうしないと姫君と
  一緒にいれませんよ」




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