私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

027★魔法騎士団・団長様まで一直線……団長と恵里花の交信


 オスカー副団長の苦笑いに気付かず、恵里花は聞く。

 「団長さんは
  どれぐらいの位置に
  いるのかしら?

  その【拡声魔法】の
  有効範囲は?」

 恵里花の質問に、オスカー副団長は隊長の位置を確認しつつ応える。

 「団長の【拡声魔法】は
  半径3キール(=3km)の
  範囲まで

  遮蔽物の有無にかかわらず
  声を届けるコトが出来ますし

  私達の魔力を
  かなりの距離から感知します

  感知出来る範囲は
  未だに、教えてもらって
  いませんが………」

 オスカー副団長の説明に恵里花は頷く。
 そして、恵里花に説明した後、オスカー副団長は普段よりも大きな声を出す。

 その時、恵里花は、今まで判らなかった魔力というモノを唐突に感じた。
 その為に、オスカー副団長が、団長と同じ【拡声魔法】を使ったことが判った。

 『団長…マイケルの
  一隊100名と

  神官を25名と
  魔法使いを10名と

  団長が会いたがっていた
  聖女様を連れて着ました…』

 ※【拡声魔法】を使っているという意味で『』を使っています。

 オスカー副団長が、状況の説明をすると、すかさず団長からの命令が聞こえる。

 『オスカー…助かったよ
  これで…負傷者も……

  ギデオンやレギオン
  マクルーファも助かる…
  ありがとう…

  ってコトで……
  さっさと回収に来い

  それと、森の中には……

  キメラとサラマンダーが居る

  負傷者が近くにいるんで…
  大きな魔法が使えない

  早く来てくれ……

  聖女殿は
  治療用のテントで
  待機して欲しい』

 自分に対して気を使ってくれる、まだ見ぬ団長に興味が湧いた恵里花は、無意識で【拡声魔法】を使って応えていた。

 『私は、戦えます
  たぶん、神様の加護で
  かなりの魔力もあります

  攻撃魔法も治癒魔法も
  使えると思いますので…………

  貴方を迎えに参ります』

 〔うふふふ……不思議…
  呼吸をするように
  魔力が使えるなんて………

  もしかして
  これってアレかしら?

  そう、俗に言う
  チートとかいうモノ……

  これなら、もしかして
  アレも使えるかしら?〕

 そんなコトを考える恵里花に、団長のちょっと躊躇ためらいが入った返信が来る。

 『聖女殿…
  俺達の為に………

  危ないコトを
  しないでくれ……

  負傷者が居なければ……
  キメラもサラマンダーも
  簡単に倒せるから…

  オスカー…聖女殿を
  止めてくれっ』

 最後の方には懇願が入っていたが、オスカー副団長は、これまでの恵里花の行動力と強い意思力と慈愛に、内心で無理っと呟く。

 〔もしここで
  団長の指示に従って

  姫君を置いてなんて
  行ったら…………

  まず、間違いなく
  勝手に1人で

  救助に向かって
  しまいますよ

  この姫君はとても
  行動的ですからね

  連れて行った方が
  まだマシです〕

 そう考えたオスカー副団長は、断定的な内容で団長へと返信する。

 『無理です…
  私は援軍でしょう?

  だったら…
  姫君を連れて

  団長のもとに行きます

  ええ…ご命令通り…
  あいつ等を連れて

  直ぐに行きますから…
  安心してください』

 オスカー副団長のつれない?返信に、慌ててもう一度何かを言おうとするが…………。

 『おい…俺の…
  チッ…新手か………』

 そこで団長の声が途絶えたので、新たな魔物が出現したと判った恵里花は、シルファードにスッと音も無く騎乗した。
 それに続いて、オスカー副団長も飛び乗った。
 勿論、騎乗と同時に指示を出す。
 
 「マイケル、お前は
  隊長として

  魔法使いの
  サーチを待って
  負傷者の救出をしろ

  私とフェリックス
  クリストファー

  それに
  ジャスティーは

  姫君と一緒に
  団長のもとに向かう

  姫君…よろしいですか?」
 
 「はい」
 
 恵里花が、頷くとオスカーは魔法で作られた白い鳥に再度魔法を掛ける。
 どうやら、探す対象を団長に書き換えたらしい……。

 なお、ここに来るときは、中央騎士団と魔法騎士団の作った野営地(救護テントや休息テントと騎士の交代を指示する仮本部が、置かれている場所です。

 王城から離れているので、騎士団が魔力でサーチし易いように設置した魔法陣を目指すように設定したんです)を目標に飛んでいましたので………。

 白い鳥が、団長目指して飛び上がると、恵里花を先頭にオスカー達は駆けてて行った。







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