私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

022★魔法騎士団の団長はどこでしょう?…後編


 恵里花が自分から魔法騎士団・団長のもとへ行くと宣言したので、オスカー副団長は、それはイイ顔でにっこりと笑った。
 心優しい恵里花の申し出に、その場に居た者達は全員感動していた。

 そして、彼等は、恵里花に付いて行きたいと思ってしまう。
 恐ろしいコトに、わんこ属性を持っていない神官達も魔法使い達も、恵里花に引っ掛かり、わんこと化した瞬間だった。

 きらきらとした瞳を自分に向ける男達を見て、恵里花は内心でちょっとなんなコトを思ってしまう。

 〔これは…間違いなく…
  恵里花のお願い命令
 
  嬉々として
  きいてくれた

  あの人達と同じ瞳を
  しているわ

  チャンスよ、恵里花
  この国のリーダーになれる

  ううん…裏で操るのよ…
  国盗り物語って感じで

  なんか…厨二病っぽくて
  面白そう…じゃなくって…

  まずは…団長様に会う

  その時…《結界》に
  穴が開いたままだと……

  直ぐに魔力量が多い
  団長様は《結界》を

  張り直す作業に
  入ってしまうわねぇ~

  それじゃなんか
  つまんないから………

  ここは、オスカー副隊長に
  提案命令してみましょう〕

 そう決意した恵里花は、オスカー副団長に、にっこりと笑って言う。

 「オスカー副団長
  私達聖女候補を

  異世界から呼んだことで
  《結界》に支障が出て

  魔物が出現しているので
  その《結界》の張り直しは………

  魔法師団と
  神聖魔法師団の人達に

  ガッツリと
  押し付けましょう」

 「…………」

 恵里花の言葉命令に、オスカー副団長は目を白黒させ黙っていたが、次の瞬間には、とぉぉ~ってもイイ表情になる。

 〔ここは
  部下に命令する
  パパみたいに

  冷たく見下した
  視線で言うのよ
  恵里花〕

 「勿論、言うセリフは………

  『この程度も
   出来ないのか?

   この無能者
   給料泥棒』

  って…かならず
  言ってね」

 〔あぁ…出来れば
  目の前でソレを

  やって欲しいくらいだわ

  無理ってわかっていても
  見たいなぁ~…

 …でも…それで…
  優しくて親切な

  オスカーさんの評判が
  落ちたら嫌だから

  アメとムチってコトで
  みんなに好評だった

  ホットワインを作って
  持って行ってもらおう

  それを飲みながら
  言ってもらうの……

  ああわくわくする…
  じゃないでしょ
  恵里花〕

 心の中の天使と悪魔にフラフラしながらも、恵里花は当初の目的である魔法騎士団の団長に会いに行く為に続けて提案する。

 「勿論、きちんと
  働く人には

  私が作った
  ホットワインとかアメを
  サボる人には……

  『魔法騎士団で
   実戦訓練………』

  って、言ってね」

 にっこりと笑って、恵里花はイイ顔で言う。

 〔だって、ここは
  異世界だから……

  パパもお兄ちゃんも
  居ないから
  寂しいんだもん

  オスカーさんは
  パパっぽい感じがするから…

  お兄ちゃんっぽい人が
  欲しいなぁ~………

  それが…魔法騎士団の
  団長様だったら………

  これからの毎日が
  寂しいって思わないで
  すみそうなんだけど………

  まっ会ってみないと
  始まらないかな?

  とにかく、会いに
  行く為にも

  そういう命令を
  してもらわなきゃ………〕

 オスカー副団長は、目の前の聖女恵里花に、自分の団長と会い通じるモノを感じて、にっこりと嗤った。

 「はい、お任せ下さい
  …姫君」

 それからのオスカー副団長は凄かった。
 いや、自分もさっさと団長のもとに、聖女恵里花を連れて行きたかったから…………。

 次々と指示を出し、恵里花のホットワインで魔力枯渇から復活し、わんこになった神官や魔法使いにも、騎乗の準備を指示した。







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