私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

005★とりあえず、人心掌握成功

 ソレを見た騎士達の口からぽろぽろと、不安気な言葉が零れ落ちる。

 「まさか」

 「王城を護る結界が
  壊れているのか?」

 「なぜ、王城の庭に魔物が
  出現出来るんだ?」

 「結界が壊れた気配は
  しないのに?」

 騎士達の発言に対して、恵里花は思いついた原因をさらりと口にする。

 〔あぁ…やっぱり…
  混乱しちゃったか

  ここはたぶんでも
  理由が必要よね

  ゆるぎ無いモノが
  崩れた時には

  すがるモノや
  言葉は必要だものね〕

 「たぶんだけど……
  壊れたわけじゃないと思うわ

  異世界から
  聖女候補の召喚をする為に

  この王都を護る為の結界の一部に
  呼び込む為の穴を開けた状態に

  なっているんじゃないかと
  思います

  でも、神官様達も魔法使いの
  皆さんも

  魔力を使い果たしてしまい

  サーチする魔力も
  無い状態になったから

  気が付かなかったので
  はないでしょうか?

  それと聖女候補の召喚の魔法を
  となえていないといっても

  この場に居る騎士様も神官様方も
  魔法陣に魔力を吸われて

  サーチの機能が
  働かない状態になり

  結界の異常に
  気が付かなかったのでは
  ないでしょうか?

  だって、おおもとの結界は
  正常に機能しているんですから…」

 恵里花の発言にオスカー達はなるほどと思い頷いた。

 「……確かに…穴が開いていると
  表現してもイイでしょう…」

 〔ヨシ、恵里花の言うコトを
  信用したわ

  この状態になったら、OKね

  ここで、たたみ込むように
  指示すれば

  恵里花の思うとおりに…
  騎士様達をこき使えるわ

  だって…急がないと
  倒れた神官様達が

  使い物にならなくなるかも………
  最悪…死ぬんですもの……たぶん

  何としても、助けたい
  命に代わりは無いんだから…

  それに…パパの……

  『恩は売れるときに、高く売れ』

  って、言葉に従っておけば
  間違いないし……

  この異世界での味方を作りたいし…
  頑張れ…恵里花……〕

 「あと、この部屋から
  外に出ないで行ける
  窓の無い部屋はありますか?」

 内心では、ちょっとダークな恵里花だったが、慌てふためいている騎士達には、その表情が爽やかな聖女に見える。
 だから、素直に、恵里花に応える。

 「あります」

 欲しかった答えをもらった恵里花は、にっこり笑って命令する。

 「では、倒れた方達や
  顔色の悪い方達を
  その部屋に運んで下さい

  私の持つ荷物の中には
  甘味が入っていますから……

  試してみる価値が
  あると思います

  なんと言っても
     かいを渡っているので

  かいの狭間に存在している
  エネルギーが

  濃縮のうしゅくされて入っている
  可能性があります

  失われた魔力を補給できるかも…
  できるだけ、急いでください」

 恵里花の極自然にみえる命令に、オスカーは従った。

 「そうですね
  お前達、とりあえず
  倒れている者から

  隣りの部屋へ運べ

  あの部屋に窓は無いからな

  魔力に余裕のある者は
  ここを死守ししゅ
  アレを撃退しろ

  戦闘が無理と思う者は
  倒れた者達を運べ………」

 「「「「「はい」」」」」

 良い子のお返事?をした騎士達と倒れた神官達などと一緒に恵里花は部屋から出て行った。

 なお恵里花の荷物は…………。
 リュックサックもスーツケースも、騎士達が運んでいったのは確かなコトだった。
 その時の会話は、こんな感じだった。

 恵里花の大荷物に気が付いていたオスカーが言う。

 「姫君
  そのような荷物を運ぶのは
  我等に任せて下さい」

 「えっ…荷物を持ってくれるの?」

 「か弱い女性に
  こんな荷物を運ばせるのは

  騎士として
  恥ずかしいコトですから」

 「ありがとう」

 恵里花のスーツケースを、オスカーがあっさりと取りあげた。
 その部下のフェリクスが、恵里花のリュックサックに手をかける。

 「姫君、腕を……
  これは…私が持ちます

  もしまた、何か大きな物を
  運びたいと思ったのなら
  我等に…………」

 「ありがとう」

 恵里花は騎士達の親切に嬉しくなって、笑って御礼おれいを言ったのだった。








コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品