BEST・TRUMP
王様とはなにか 3
「もうやめて、大人しく国に帰るのですよ。命は残すですよ」
そう言うと、男はニッと笑った。
「じゃあ、そうさせてもらいまーす」
男はとことこと歩いていってしまった。
かと思うと、途中で足を止めてココの顔を見た。
「『この世界』では、認めた奴に名を教えるらしいからな。俺はセンバシラ=コータローだ。お前は?」
「ココですよ。名字は無いのですよ」
それを聞くと、コータローはまた愉快そうに歩いていってしまった。
「どうかその甘さが、お前の命取りにならないことを祈ってるぜぇ?」
ココの背後の、コータローが落とした毒がもぞもぞと動き始めた。
だが、ココはそれに気付けていない。
するとその毒は、ついにココを襲った。
そうして、コータローは足を止めて、わくわくしながら結果を待った。
やっちゃったかなああぁぁ!?
コータローが振り向くと、ココはその場に突っ立っていた。
コータローは毒で倒れていないことに驚いたが、それよりも驚くべきことは、ココの側にいる人物。それは…………。
「こんな浅はかな罠で敵を仕留めようなど、甘い考えを持った奴もいるのだな」
「えぇ、よく見ると学力も低そうです」
それは、救世七雄の一人、心雄のガリヴァーその人だった。
なんでここにいぃぃ!?
ガリヴァーはメスを持っており、毒もそれで消したようだ。
ガリヴァーはココに近付いて心配した。
「貴様、大丈夫か? 怪我は放っておけんぞ」
ココは首を縦に降った。
「いや、大丈夫ですよ。それよりも………」
ココはコータローがいた通路に視線を移したが、そこにはもうコータローの姿は無くなってしまっていた。
「必要ない。それよりも、そこの小僧の身が心配だ」
ガリヴァーはクラムのもとへ近付き、屈み込んで毒の状態を観察した。
「ふむ、これは液状の毒の様だな。であれば………」
ガリヴァーは立ち上がって、魔力を放出した。
すると、幾つものクラゲがガリヴァーの周りに現れた。
「私のクランが有効だな」
クラゲはクラムを取り囲むと、毒がどんどん吸われ、掠れていた呼吸ももとに戻った。
クラムは生き返ったのである。
「す、凄いのですよ………」
そうココがガリヴァーに感嘆の声を隠せずにいると、リラがココに近付いた。
「それが、ガリヴァー様ですから」
ガリヴァーがクラムを大きくなったクラゲに乗せると、ココたちはガリヴァー邸に戻った。
「ど、どうしたんだよココ! その姿………」
俺に言われると、ココは申し訳なさそうに頭を下げた。
「黙っててごめんですよ」
話を聞くところによると、ココは獣人族という種族らしく、あの猫の姿には自由に変化できるらしい。
俺の母とは親友の関係にあり、俺の面倒を任されていたんだそうだ。
「でも、トウくんが人を嫌ってたから、ずっとあの姿のままでいたのですよ。そしたらなんかはぐれちゃうし、やっと着いたらトウくん、新しく友達作っちゃってるし………ココ、寂しかったのですよ!」
そう言ってココは俺に抱き付いた。
その高さは俺の腰くらいで、小ささを感じさせた。
「なんか、まるでお母さんだねぇ」
アイリスが面白そうに俺を見た。
いや、あんまり面白くないが。レオはクラムの看病に尽くしちゃってるし、大変なことになってたんだなって思う。
そうしていると、ココは俺から離れてしまった。
「ココですよ! これからは、ココも仲間なのですよ!」
そう言うと、俺たちはココを抱き締めた。
「「大歓迎だよ!」」
こうして俺達に、ココという一人の仲間が加わった。
コータローは大きな屋敷の中を歩いていた。
目の前には少しばかりの階段があり、大きな玉座に赤毛の女の子が座っていた。
玉座の前で足を止めると、コータローは膝をついて、女の子へ敬意の意を示した。
「エリザベス様、ご報告申し上げます」
エリザベスは了承し、コータローも快く報告を始めた。
「奴等は、心雄のガリヴァーさえ仲間につけておりました。あえなく脱出者も一人しか排除できず、申し訳ありません」
すると、エリザベスは玉座を下り、階段を下り出した。
「心雄のガリヴァーか、問題ない。我々の敵ではないさ」
そう言って、エリザベスはコータローを通り抜け、扉の方へ歩いた。
それを疑問に思い、コータローはエリザベスに問う。
「エリザベス様、どちらへ行かれるのですか?」
そう言うと、エリザベスはふっと笑って答えた。
「少し入浴の時間にしようと思ってな」
そう言ってエリザベスは扉を開けて行ってしまった。
「………やっぱ堅苦しいのは性に合わねぇな……」
そう言うと、男はニッと笑った。
「じゃあ、そうさせてもらいまーす」
男はとことこと歩いていってしまった。
かと思うと、途中で足を止めてココの顔を見た。
「『この世界』では、認めた奴に名を教えるらしいからな。俺はセンバシラ=コータローだ。お前は?」
「ココですよ。名字は無いのですよ」
それを聞くと、コータローはまた愉快そうに歩いていってしまった。
「どうかその甘さが、お前の命取りにならないことを祈ってるぜぇ?」
ココの背後の、コータローが落とした毒がもぞもぞと動き始めた。
だが、ココはそれに気付けていない。
するとその毒は、ついにココを襲った。
そうして、コータローは足を止めて、わくわくしながら結果を待った。
やっちゃったかなああぁぁ!?
コータローが振り向くと、ココはその場に突っ立っていた。
コータローは毒で倒れていないことに驚いたが、それよりも驚くべきことは、ココの側にいる人物。それは…………。
「こんな浅はかな罠で敵を仕留めようなど、甘い考えを持った奴もいるのだな」
「えぇ、よく見ると学力も低そうです」
それは、救世七雄の一人、心雄のガリヴァーその人だった。
なんでここにいぃぃ!?
ガリヴァーはメスを持っており、毒もそれで消したようだ。
ガリヴァーはココに近付いて心配した。
「貴様、大丈夫か? 怪我は放っておけんぞ」
ココは首を縦に降った。
「いや、大丈夫ですよ。それよりも………」
ココはコータローがいた通路に視線を移したが、そこにはもうコータローの姿は無くなってしまっていた。
「必要ない。それよりも、そこの小僧の身が心配だ」
ガリヴァーはクラムのもとへ近付き、屈み込んで毒の状態を観察した。
「ふむ、これは液状の毒の様だな。であれば………」
ガリヴァーは立ち上がって、魔力を放出した。
すると、幾つものクラゲがガリヴァーの周りに現れた。
「私のクランが有効だな」
クラゲはクラムを取り囲むと、毒がどんどん吸われ、掠れていた呼吸ももとに戻った。
クラムは生き返ったのである。
「す、凄いのですよ………」
そうココがガリヴァーに感嘆の声を隠せずにいると、リラがココに近付いた。
「それが、ガリヴァー様ですから」
ガリヴァーがクラムを大きくなったクラゲに乗せると、ココたちはガリヴァー邸に戻った。
「ど、どうしたんだよココ! その姿………」
俺に言われると、ココは申し訳なさそうに頭を下げた。
「黙っててごめんですよ」
話を聞くところによると、ココは獣人族という種族らしく、あの猫の姿には自由に変化できるらしい。
俺の母とは親友の関係にあり、俺の面倒を任されていたんだそうだ。
「でも、トウくんが人を嫌ってたから、ずっとあの姿のままでいたのですよ。そしたらなんかはぐれちゃうし、やっと着いたらトウくん、新しく友達作っちゃってるし………ココ、寂しかったのですよ!」
そう言ってココは俺に抱き付いた。
その高さは俺の腰くらいで、小ささを感じさせた。
「なんか、まるでお母さんだねぇ」
アイリスが面白そうに俺を見た。
いや、あんまり面白くないが。レオはクラムの看病に尽くしちゃってるし、大変なことになってたんだなって思う。
そうしていると、ココは俺から離れてしまった。
「ココですよ! これからは、ココも仲間なのですよ!」
そう言うと、俺たちはココを抱き締めた。
「「大歓迎だよ!」」
こうして俺達に、ココという一人の仲間が加わった。
コータローは大きな屋敷の中を歩いていた。
目の前には少しばかりの階段があり、大きな玉座に赤毛の女の子が座っていた。
玉座の前で足を止めると、コータローは膝をついて、女の子へ敬意の意を示した。
「エリザベス様、ご報告申し上げます」
エリザベスは了承し、コータローも快く報告を始めた。
「奴等は、心雄のガリヴァーさえ仲間につけておりました。あえなく脱出者も一人しか排除できず、申し訳ありません」
すると、エリザベスは玉座を下り、階段を下り出した。
「心雄のガリヴァーか、問題ない。我々の敵ではないさ」
そう言って、エリザベスはコータローを通り抜け、扉の方へ歩いた。
それを疑問に思い、コータローはエリザベスに問う。
「エリザベス様、どちらへ行かれるのですか?」
そう言うと、エリザベスはふっと笑って答えた。
「少し入浴の時間にしようと思ってな」
そう言ってエリザベスは扉を開けて行ってしまった。
「………やっぱ堅苦しいのは性に合わねぇな……」
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