BEST・TRUMP

仮宮 カリヤ

心雄 ガリヴァー 2

「今私の名を呼んだのは、貴様か?」


まさか、この人が、救世七雄のガリヴァー?


確かに体の周りから威圧感やらオーラやらが溢れ出ている。


「は、はいそうですけど・・・・・?」


その威圧感に少し退きながら答えた。


「では、これをやったのは貴様か?」


そう言ってガリヴァーは、扉の前の廊下の方を指差した。


そこには、トウヤがここに来るときに失神させておいた何人もの見張りがたおれていた。


これは、何か言われてしまうのだろう。
だが、嘘を見抜かれてしまいそうな気がしたので、ここは素直に言うことにした。


「・・・はい。僕がやりました」


「ふむ・・・・」


そう言ってガリヴァーは何か考えていたようだったが、トウヤを見たときに決断したようだった。


「貴様、私と戦え」


「・・・・へ?」


ん? 戦え?


まさか他国に来て早々こんな事態になるとは、思っても見なかった。


すると、トウヤの意思関係なしに、ガリヴァーはトウヤに触れ、こう唱えた。


「【疑似世界ミラーズ】」


そのあとには、トウヤ達はその場にはいなくなってしまっていた。


「トウヤー!?」










        ~~~~~~~~~~~










目を覚ますと、トウヤはおかしな空間の中にいた。
周りは正方形の白いパネルに囲まれているというだけの、空虚な空間。
その空間を眺めていると、目の前にガリヴァーが現れた。


少し警戒してしまったが、すぐに警戒を解く。
ガリヴァーも手に持っていたトウヤの荷物を投げて渡した。


「これは貴様の私物だろう? まさか手ぶらで戦う気だったのか?」


「いや、戦う気もないんですが・・・」


だが、ガリヴァーはやる気満々のようで、更にトウヤを抜かして話を進めた。


「すまんな。このスキルは最近手にいれたもので、構築が出来ていない。だが、ここなら思うように戦える。私もな」


「いや、だから・・・・」


俺は横に何か気配がして、すぐに横に避ける。


すると、やはり危険な物だったようで爆発音と煙が近くで起きる。


煙が晴れた先には、小さなクラゲが一匹だけいた。


こいつが、今のを?


すると、いつの間にかトウヤの周りは、クラゲに囲まれていた。


上の方を見ると、ガリヴァーが大きなクラゲに乗ってトウヤを見ていた。


「なぁ知っているか? クラゲを最初に発見したのは私なんだ。私の【クラム】がクラゲだったようでな」


そんな雑談が終わると、ガリヴァーは俺を見下していった。


「少しはやる奴と思っていたが、拍子抜けだな。『爆』」


そう言うと、辺りのクラゲ達はトウヤに向けて激しく爆発し出した。
辺りに爆発による煙が立ち、よく周りが見えない。


「ふぅん、なるほど」


そう言ってクラゲを後ろに行かせた。


「少しはやるようだな」


後ろでクラゲから爆発が起こり、下に落下したのは、隠れていたのかトウヤだった。


しかし、今度はガリヴァーの死角から銃声が聞こえた。
どうやらクラゲに乗って進んでいるようだ。
だが、トウヤの姿は一切見えない。しかも下にも一人倒れているのだ。
ガリヴァーの反射神経も凄まじいもののようで、持っていたメスで銃弾を弾いていた。


「・・面白い。それが貴様のスキルか。私も少々本気で行くぞ」


ガリヴァーはクラゲの上に立ち、左手を掲げて唱えた。


「我が使い魔に命ず。我の前の敵に天罰を与え給え」


そして左手を目の前に振り下げた。


「シャングリラ!!」


すると、何もない筈の空間に曇り空が架かり、雷が落ちる。
その後一瞬で雷は止み、曇り空から太陽の光が射し込む。
そして空から現れたのは、正しく黄金に光るドラゴンだった。


「分かるか? これが貴様と私の、埋められない差だ」

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