異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
204話お母さん! 母と魔女⑦
______曾爺さん自室______
「あ? そんな訳あるかい。ボケ」
「......ですよね~」
ブラック以外の能力者で思い付くと言ったら曾爺さんしか思い浮かばず、俺はブラックを連れて曾爺さんの自室に流れ込み、事情を説明したが「ボケ」の一言で終了した。
「そもそも、俺がお前らを呼び出す理由がない」
「曾孫に会いたかったとか?」
「あ?」
曾爺さんはあからさまに嫌そうな顔でこちらを見る。
いや、曾孫にそんな顔しないで下さいよ。
「怜人~。心当たりはない~? 私、ここだと魔法も使えないみたいなのよ~」
魔法が使えない事はさすがのブラックも不安を感じているのだろう。
「心当たりね~」
曾爺さんは部屋にある薪ストーブの元に近づき、燃えている炎に向かって右手に持っていた葉巻を近づけ火を点け、口に咥える。
白髪の老人が葉巻を吸っていると何だかカッコイイ。
葉巻をふかす曾爺さんの姿に見惚れてしまった。
「そもそも、能力者って奴はそんなに多くいるもんなのか?」
「私達の世界では当たり前にいるけど、この世界だと少ないんじゃないかしら~」
「少ないね......。俺は、自分以外の能力者って奴に会った事も無ければ聞いた事もないな」
「まぁ、怜人の場合は”大剣ブラス”を取り込んで、強制的に能力者になったっていうちょっと特殊なパターンだったからね~」
大剣ブラスを取り込んで能力者になった?
曾爺さんは異世界に行った時に能力を付与されたとかいうパターンじゃないのか?
「そういえば、曾爺さんはどうやって異世界に行ったの?」
「あ? 知らん。気が付いたら異世界にいた」
「え? 気が付いたら? 特殊な方法とかで行ったんじゃなくて? ほら、何かの科学の実験とか、蔵にある謎の本を読んだとか」
「なんだそれ。俺の場合は飼ってた犬を散歩している時に急に道に空いた穴に落ちたんだよ」
「道に空いた穴?」
「そう。でっけえ穴。1間くらいあったんじゃねぇか?」
「......マジ? 俺と一緒じゃん」
葉巻をふかしながら穴に落ちたと説明する曾祖父さんが何か急に子犬のように愛おしく思えた。
「まぁ、俺の爺さんも子供の時にやたら耳の長い生き物がいる世界に行ったとか言う人だったからな。もしかしたら、俺たちの家系は代々異世界との関わりが深いのかもな」
「そうゆう事あるの?」
ブラックに話を振る。
「そうねー。ユスフィアとこちらの世界は相対の関係にあって行き来出来る魔法や能力はあるわー。ただ、それが世襲されることはないわ~」
あっさりと能力が引き継がれるという事実は否定された。
ただ、同じ血筋の人間がたまたま異世界に行くとは考えにくい。
「”異世界に行く”という能力があったとするよな。その能力が例えば能力者の死後も継続し続けるってパターンだとどうだ?」
「なるほどね~。それだと可能性はあるわね~。毒や麻痺系の能力は能力者が死んでも消えないから~」
「ほう。だとすると、俺と爺さんは先祖の誰かに異世界に行くように運命付けられていたとなるな」
「そうなるわね~。ただ、100年以上も継続し続ける能力なんて今まで聞いた事ないわ~。そんな力の持ち主がこちらの世界に存在していたらユスフィアにも影響があったはずよ~」
「う~ん。マジか......」
”異世界に行く”という能力者がいたという線もそれだとなさそうだ。
現在の状況を作りだした人物の特定をしようと、無い頭をフル回転させていると曾爺さんがポツリと一言零す。
「そもそも、お前らは本当にブラックと俺の曾孫なのか?」
何だこの爺。
ついにボケちまったのかよ。
何の脈絡もない発言に若干呆れていると、ブラックは手を叩き。
「あ~。なるほど。なるほどね~」と一人で納得をし始めた。
「おい! 何か分かったのか!?」
「ええ~。分かったわ~」
ブラックは満面の笑みで俺を見やる。
やっと、ここから帰れるのか。
安堵の気持ちに心が満たされた瞬間______。
「え......? お前、何を______」
「ちょっと、あなた死んで~」
暗くなる視界、ブラックの手刀が俺の腹に突き刺さり、腹からは大量に血が溢れ、内臓からは嗅いだことのないような嫌な臭いが鼻腔をついた。
「あ? そんな訳あるかい。ボケ」
「......ですよね~」
ブラック以外の能力者で思い付くと言ったら曾爺さんしか思い浮かばず、俺はブラックを連れて曾爺さんの自室に流れ込み、事情を説明したが「ボケ」の一言で終了した。
「そもそも、俺がお前らを呼び出す理由がない」
「曾孫に会いたかったとか?」
「あ?」
曾爺さんはあからさまに嫌そうな顔でこちらを見る。
いや、曾孫にそんな顔しないで下さいよ。
「怜人~。心当たりはない~? 私、ここだと魔法も使えないみたいなのよ~」
魔法が使えない事はさすがのブラックも不安を感じているのだろう。
「心当たりね~」
曾爺さんは部屋にある薪ストーブの元に近づき、燃えている炎に向かって右手に持っていた葉巻を近づけ火を点け、口に咥える。
白髪の老人が葉巻を吸っていると何だかカッコイイ。
葉巻をふかす曾爺さんの姿に見惚れてしまった。
「そもそも、能力者って奴はそんなに多くいるもんなのか?」
「私達の世界では当たり前にいるけど、この世界だと少ないんじゃないかしら~」
「少ないね......。俺は、自分以外の能力者って奴に会った事も無ければ聞いた事もないな」
「まぁ、怜人の場合は”大剣ブラス”を取り込んで、強制的に能力者になったっていうちょっと特殊なパターンだったからね~」
大剣ブラスを取り込んで能力者になった?
曾爺さんは異世界に行った時に能力を付与されたとかいうパターンじゃないのか?
「そういえば、曾爺さんはどうやって異世界に行ったの?」
「あ? 知らん。気が付いたら異世界にいた」
「え? 気が付いたら? 特殊な方法とかで行ったんじゃなくて? ほら、何かの科学の実験とか、蔵にある謎の本を読んだとか」
「なんだそれ。俺の場合は飼ってた犬を散歩している時に急に道に空いた穴に落ちたんだよ」
「道に空いた穴?」
「そう。でっけえ穴。1間くらいあったんじゃねぇか?」
「......マジ? 俺と一緒じゃん」
葉巻をふかしながら穴に落ちたと説明する曾祖父さんが何か急に子犬のように愛おしく思えた。
「まぁ、俺の爺さんも子供の時にやたら耳の長い生き物がいる世界に行ったとか言う人だったからな。もしかしたら、俺たちの家系は代々異世界との関わりが深いのかもな」
「そうゆう事あるの?」
ブラックに話を振る。
「そうねー。ユスフィアとこちらの世界は相対の関係にあって行き来出来る魔法や能力はあるわー。ただ、それが世襲されることはないわ~」
あっさりと能力が引き継がれるという事実は否定された。
ただ、同じ血筋の人間がたまたま異世界に行くとは考えにくい。
「”異世界に行く”という能力があったとするよな。その能力が例えば能力者の死後も継続し続けるってパターンだとどうだ?」
「なるほどね~。それだと可能性はあるわね~。毒や麻痺系の能力は能力者が死んでも消えないから~」
「ほう。だとすると、俺と爺さんは先祖の誰かに異世界に行くように運命付けられていたとなるな」
「そうなるわね~。ただ、100年以上も継続し続ける能力なんて今まで聞いた事ないわ~。そんな力の持ち主がこちらの世界に存在していたらユスフィアにも影響があったはずよ~」
「う~ん。マジか......」
”異世界に行く”という能力者がいたという線もそれだとなさそうだ。
現在の状況を作りだした人物の特定をしようと、無い頭をフル回転させていると曾爺さんがポツリと一言零す。
「そもそも、お前らは本当にブラックと俺の曾孫なのか?」
何だこの爺。
ついにボケちまったのかよ。
何の脈絡もない発言に若干呆れていると、ブラックは手を叩き。
「あ~。なるほど。なるほどね~」と一人で納得をし始めた。
「おい! 何か分かったのか!?」
「ええ~。分かったわ~」
ブラックは満面の笑みで俺を見やる。
やっと、ここから帰れるのか。
安堵の気持ちに心が満たされた瞬間______。
「え......? お前、何を______」
「ちょっと、あなた死んで~」
暗くなる視界、ブラックの手刀が俺の腹に突き刺さり、腹からは大量に血が溢れ、内臓からは嗅いだことのないような嫌な臭いが鼻腔をついた。
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