異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第105話お母さん! 王戦への出場が... ...。
王様になりたくないヴァ二アル・パス。
王様になりたくないヴァ二アル・ハンヌ。
本当にこの国大丈夫か??
「ぐおおお!!!」
コモドドラゴンのように足をばたつかせるハンヌを落ち着かせようと総掛りで押さえつける鈴音や護衛の者たち。
しかし、こいつらどうしてこんな奴支持しているのだ?
いくら王子だからと言っても、流石に見限られてもいいレベルだぞ。
「兄さん! 落ち着いて!」
見るに見かねたヴァ二アルは醜態を晒す兄に声をかける。
「これが落ち着いていられるか!!! パスが王位継承戦に出られなければ俺が王様になっちまう!!!」
「王位継承戦には出ます!」
力強い言葉で一歩前に出るヴァ二アル。
それを見たハンヌはジタバタするのを止め、子犬のような潤んだ瞳で。
「本当? でも、どうやって... ...」
「僕は花島と結婚しました! 王位継承権は花島に移管します!」
「そうか... ...」
それを聞いて落ち着きを取り戻したかのように思えたハンヌだったが一瞬で我に返り。
「______!? 結婚だと!?!?」
騒然とする周囲。
ハンヌは目を見開き、頭を抱え、大声で驚きを表現していた。
「そうです! 僕は花島を愛しています!」
大勢の前で愛している宣言をした直後、ヴァ二アルは民衆の影に隠れていた俺をグイッと表舞台に引き上げる。
矢面に突き出された俺は、気の利いた一言もカッコイイ台詞も言えず、ただただ「あ、どうも」と言いながら会釈をする事しか出来なかった。
「こっ・こ・こ・こいつとけけけけけけ・結婚!?」
「そうだよ!」
「は・ハハハ... ...」
あまりにもショックだったのかハンヌは色を失った花のように萎れていく。
「しかし、そんな特例認める訳には行かない!!!」
「そうだ! そんなの前例がない!」
ハンヌを護衛していた者達は声を揃え、ヴァ二アルに王位継承権がない事を主張。
まあ、ハンヌが王になればそれを護衛する自分達も恩恵を受けられるからライバルを蹴落とすのは当然の事か。
と俺は護衛達に冷ややかな目を送る。
「前例のない事だから何だ!?」
ヴァ二アルはいつになくムキになり、声を張り上げる。
「そうやって昔気質なことを言っているから国は変わらないんだ! 確かにこの国は僕の祖父の時代から豊かになった! みんなそれは知っている! だけど、この国は平和過ぎた! 外には敵だっている! 攻めて来る可能性もある! 敵が攻めてきた時に君たちは身を! 家族を守る事が出来るか!?」
「ちょっと待ってくれ! 話をすり替え... ...」
「話をすりかえている訳じゃない! 僕はこの国の本質の話をしている!」
「... ...」
あまりの熱のこもった演説に黙る護衛達。
人を一言で黙らせるなんて確かに王というか人の上に立つ才能はヴァ二アル・パスの方があるらしい... ...。
ただ、彼は王位を継承しない。
王位を継承したらシルフに継承権を譲ってしまうのだ。
ヴァニアルの発言に何も言えなくなった護衛隊は「まぁ、当日になれば結論は明らかだ」と言って王宮に戻っていき、民衆達も散っていく。
「で、実際のところどうなんだ? いけるのか?」
ヴァニアルは「いけるいける」と言っていたが不安は残る。
改めて確認すると今まで強気だったヴァニアルは下を向きながら。
「どーでしょ?」
えー。
今更かよー。
その発言を聞き、今まで暗い雰囲気になった事がないこのメンバーが初めて気まずい空気になった。
「え......。ちょ、ここまで来て?」
完全な天下取りモードだったシルフも両の手で八の字を描くようにして慌てている。
そりゃ、そうだ、三週間も国を開けてわざわざ来たのに何の成果も無しに帰るのだから。
「いや! まだ分からん! まだ分からんぞ!」
才蔵がフォローするも尚更、シルフを苛立たせたのか睨まれ、脱水されたTシャツのように萎れてしまった。
「あのー。先程は助けていただきありがとうございました」
「なに!?」
シルフが振り向くとそこには先程、店主から救ったロストの子。
「へへへ。どうやら、お困りのようですね」
手を猫のようにマゴマゴとし、昭和の商いのような事を言ってくる。
「ちっ! 助けてあげたんだからあっちに行きなさい! 助けられた事を後悔させるわよ!」
ホワイトシーフ王国の王様は大分、虫の居所が悪いようだ。
「その問題、僕が解決いたしましょ」
この少年、何か自信ありげだ......。
吉と出るか凶と出るか。
この少年にかけてみても......。
「うるさいガキ邪魔だ」
と一度助けた少年の言葉をシャットアウトし、シルフは少年の顔面を鷲掴みし、綺麗なアイアンクローをお見舞いした。
王様になりたくないヴァ二アル・ハンヌ。
本当にこの国大丈夫か??
「ぐおおお!!!」
コモドドラゴンのように足をばたつかせるハンヌを落ち着かせようと総掛りで押さえつける鈴音や護衛の者たち。
しかし、こいつらどうしてこんな奴支持しているのだ?
いくら王子だからと言っても、流石に見限られてもいいレベルだぞ。
「兄さん! 落ち着いて!」
見るに見かねたヴァ二アルは醜態を晒す兄に声をかける。
「これが落ち着いていられるか!!! パスが王位継承戦に出られなければ俺が王様になっちまう!!!」
「王位継承戦には出ます!」
力強い言葉で一歩前に出るヴァ二アル。
それを見たハンヌはジタバタするのを止め、子犬のような潤んだ瞳で。
「本当? でも、どうやって... ...」
「僕は花島と結婚しました! 王位継承権は花島に移管します!」
「そうか... ...」
それを聞いて落ち着きを取り戻したかのように思えたハンヌだったが一瞬で我に返り。
「______!? 結婚だと!?!?」
騒然とする周囲。
ハンヌは目を見開き、頭を抱え、大声で驚きを表現していた。
「そうです! 僕は花島を愛しています!」
大勢の前で愛している宣言をした直後、ヴァ二アルは民衆の影に隠れていた俺をグイッと表舞台に引き上げる。
矢面に突き出された俺は、気の利いた一言もカッコイイ台詞も言えず、ただただ「あ、どうも」と言いながら会釈をする事しか出来なかった。
「こっ・こ・こ・こいつとけけけけけけ・結婚!?」
「そうだよ!」
「は・ハハハ... ...」
あまりにもショックだったのかハンヌは色を失った花のように萎れていく。
「しかし、そんな特例認める訳には行かない!!!」
「そうだ! そんなの前例がない!」
ハンヌを護衛していた者達は声を揃え、ヴァ二アルに王位継承権がない事を主張。
まあ、ハンヌが王になればそれを護衛する自分達も恩恵を受けられるからライバルを蹴落とすのは当然の事か。
と俺は護衛達に冷ややかな目を送る。
「前例のない事だから何だ!?」
ヴァ二アルはいつになくムキになり、声を張り上げる。
「そうやって昔気質なことを言っているから国は変わらないんだ! 確かにこの国は僕の祖父の時代から豊かになった! みんなそれは知っている! だけど、この国は平和過ぎた! 外には敵だっている! 攻めて来る可能性もある! 敵が攻めてきた時に君たちは身を! 家族を守る事が出来るか!?」
「ちょっと待ってくれ! 話をすり替え... ...」
「話をすりかえている訳じゃない! 僕はこの国の本質の話をしている!」
「... ...」
あまりの熱のこもった演説に黙る護衛達。
人を一言で黙らせるなんて確かに王というか人の上に立つ才能はヴァ二アル・パスの方があるらしい... ...。
ただ、彼は王位を継承しない。
王位を継承したらシルフに継承権を譲ってしまうのだ。
ヴァニアルの発言に何も言えなくなった護衛隊は「まぁ、当日になれば結論は明らかだ」と言って王宮に戻っていき、民衆達も散っていく。
「で、実際のところどうなんだ? いけるのか?」
ヴァニアルは「いけるいける」と言っていたが不安は残る。
改めて確認すると今まで強気だったヴァニアルは下を向きながら。
「どーでしょ?」
えー。
今更かよー。
その発言を聞き、今まで暗い雰囲気になった事がないこのメンバーが初めて気まずい空気になった。
「え......。ちょ、ここまで来て?」
完全な天下取りモードだったシルフも両の手で八の字を描くようにして慌てている。
そりゃ、そうだ、三週間も国を開けてわざわざ来たのに何の成果も無しに帰るのだから。
「いや! まだ分からん! まだ分からんぞ!」
才蔵がフォローするも尚更、シルフを苛立たせたのか睨まれ、脱水されたTシャツのように萎れてしまった。
「あのー。先程は助けていただきありがとうございました」
「なに!?」
シルフが振り向くとそこには先程、店主から救ったロストの子。
「へへへ。どうやら、お困りのようですね」
手を猫のようにマゴマゴとし、昭和の商いのような事を言ってくる。
「ちっ! 助けてあげたんだからあっちに行きなさい! 助けられた事を後悔させるわよ!」
ホワイトシーフ王国の王様は大分、虫の居所が悪いようだ。
「その問題、僕が解決いたしましょ」
この少年、何か自信ありげだ......。
吉と出るか凶と出るか。
この少年にかけてみても......。
「うるさいガキ邪魔だ」
と一度助けた少年の言葉をシャットアウトし、シルフは少年の顔面を鷲掴みし、綺麗なアイアンクローをお見舞いした。
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