異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第76話お母さん! ゴーレム幼女覚醒!
◆ ◆ ◆
ゴーレム幼女が放った攻撃は魔女であるブラックに直撃し、瀕死状態で横たわる花島に駆け寄りそっと抱きかかえるシルフ。
まるで、シーツにしわが寄るように湾曲した床は攻撃対象であったブラックを包みこむようにして一点に集まり、塊となっている。
「そういえば、あなたが居たのを忘れていたわー」
カマキリの卵のように楕円状をした石の塊の中心からブラックの笑い声。
ゴーレムの幼女は腕を組み、外見とは不釣り合いにどっしりと構え、自身のペットである花島に重傷を負わせた張本人が現れるのを眉間をしわを寄せながら待っている。
「いい加減、幼稚な遊びは止めるみそ。お前の狂言は聞き飽きたみそ」
「まあまあ、300年ぶりに面と向かって再会するんだから少しはお話しましょうよ」
否定的な言葉を並べるゴーレム幼女とは対照的なブラック。
感情的であることに間違いはないのだが、ゴーレム幼女の様相は落ち着いているように見える。
「そう。では、さよならー」
今まで石の塊から発せられていた声は今度はゴーレム幼女の背後から聞こえる。
ゴーレム幼女はその状況になることを予見していたのか、背後から聞こえる別れの言葉に微動だにせず、「ふうっ」と一息吐き、全身を石でコーティングした。
「まあ! 素敵な衣装! それ、どこで売っているのー?」
ゴーレム幼女を包み込んだ石柱はまるでスライムのようにうねりを見せ、術式をかけた当人の型に合うように変形。
顔や頭以外はまるでウエディングドレスのようなひらひらとした服のように変わる。
全身を石で包まれたゴーレム幼女に危機感を感じたのか、ブラックは横っ飛びをして間合いを取り、ふざけた態度をゴーレム幼女に向ける。
「お前の戯言に付き合うような感情は今は持ち合わせてないみそ。悪かったな。裏切り者」
「あら~。それはミーレとレミーに向けてー? それとも、300年前の出来事を起こした私に向けて?」
ブラックは右手を頬に当て、恍惚とした表情をゴーレム幼女に向ける。
「どっちもみそ」
「しつこい魔女ね~」
「... ...」
傍からしてみればそれは他愛ない会話をしているように見えるが、実際、二人はお互いに牽制し合い、攻撃の隙を伺っている。
リズの魔力を借りて挑んだ花島を瞬殺するほどの力を保持したブラックに攻めをすることを許さないゴーレム幼女も相当な力を隠し持っているのは容易に想像できた。
ゴーレム幼女がブラックと対峙している隙にシルフは瀕死の花島に対して、治癒魔法を使い、治療を施す。
予想していたよりも花島は重傷なのか、シルフの額には焦りから大粒の汗が。
「花島!!! 帰ってきなさい! ここで死んだら許さないわよ!」
花島を想ってか、シルフは感情的な言葉をぶつけ、それを聞いたブラックはゆっくりと言葉を紡ぐ。
「エルフの王と双対の魔女、そして、異界から来た人間。フフッ。奇しくも前の時と構図と同じになったわねー。ね? レイン?」
「... ...その名前は捨てたみそ。今はゴーレムという種族で、名は持たないと決めているみそ」
「あなた、つまらなくなったわねー」
「そういうお前は変わらず卑しいみそ」
「ふふふ」
「... ...」
緊迫した空気を飲み込んだのはゴーレム幼女であった。
「... ...あらら。やっぱり、ここでは私の分が悪いわねー」
床がまるで触手のようにブラックの足元に絡みつき、身動きが取れない状態。
が、ブラックは焦る様子もなく、淡々とした口調を続ける。
「確か、ゴーレムは岩石等の鉱物を変形させる力を持った種族だったはず... ...。これはまるで意思を持つかのようね。石だけに」
「ここは私の能力で作った場所みそ。一つ一つ岩石に魔力を注入しているみそ」
ブラックの洒落に微動だにせず、腕組みした姿勢を崩さないゴーレム幼女。
魔力の量であればブラックの方がゴーレム幼女よりも強大であるが、ここはゴーレム幼女が作ったマンション。
地の利というのは勝負事の世界では実力さえも凌駕する。
そこに飛び込むブラックは実力的には申し分ないのだが、少し頭を使うという事が苦手のようだ。
いや、ブラックの軽率な行動を非難するよりも、ペットである花島をこんな姿にしたかつての旧友と対峙して、こんなにも落ち着いているゴーレム幼女の精神の強さを賛辞すべきか。
「ブラック。私は怒っているみそ」
「私を殺すのー?」
「殺さない。お前を壊すみそ」
腕を組みながらゴーレム幼女の足元がまるで水上でホバリングしているかのように浮き上がり、ゴーレム幼女の右手に石の触手が纏わりつき、グニャグニャとした歪な形をした剣が生成される。
「あらら。少しマズイかな~」
言葉とは裏腹にブラックはひょうひょうとした態度を崩さず、防御する素振りも見せない。
普通の人間であればその姿に臆するのだが、ゴーレム幼女は浮いている床に乗ったまま、拘束しているブラックに突撃する。
ゴーレム幼女が放った攻撃は魔女であるブラックに直撃し、瀕死状態で横たわる花島に駆け寄りそっと抱きかかえるシルフ。
まるで、シーツにしわが寄るように湾曲した床は攻撃対象であったブラックを包みこむようにして一点に集まり、塊となっている。
「そういえば、あなたが居たのを忘れていたわー」
カマキリの卵のように楕円状をした石の塊の中心からブラックの笑い声。
ゴーレムの幼女は腕を組み、外見とは不釣り合いにどっしりと構え、自身のペットである花島に重傷を負わせた張本人が現れるのを眉間をしわを寄せながら待っている。
「いい加減、幼稚な遊びは止めるみそ。お前の狂言は聞き飽きたみそ」
「まあまあ、300年ぶりに面と向かって再会するんだから少しはお話しましょうよ」
否定的な言葉を並べるゴーレム幼女とは対照的なブラック。
感情的であることに間違いはないのだが、ゴーレム幼女の様相は落ち着いているように見える。
「そう。では、さよならー」
今まで石の塊から発せられていた声は今度はゴーレム幼女の背後から聞こえる。
ゴーレム幼女はその状況になることを予見していたのか、背後から聞こえる別れの言葉に微動だにせず、「ふうっ」と一息吐き、全身を石でコーティングした。
「まあ! 素敵な衣装! それ、どこで売っているのー?」
ゴーレム幼女を包み込んだ石柱はまるでスライムのようにうねりを見せ、術式をかけた当人の型に合うように変形。
顔や頭以外はまるでウエディングドレスのようなひらひらとした服のように変わる。
全身を石で包まれたゴーレム幼女に危機感を感じたのか、ブラックは横っ飛びをして間合いを取り、ふざけた態度をゴーレム幼女に向ける。
「お前の戯言に付き合うような感情は今は持ち合わせてないみそ。悪かったな。裏切り者」
「あら~。それはミーレとレミーに向けてー? それとも、300年前の出来事を起こした私に向けて?」
ブラックは右手を頬に当て、恍惚とした表情をゴーレム幼女に向ける。
「どっちもみそ」
「しつこい魔女ね~」
「... ...」
傍からしてみればそれは他愛ない会話をしているように見えるが、実際、二人はお互いに牽制し合い、攻撃の隙を伺っている。
リズの魔力を借りて挑んだ花島を瞬殺するほどの力を保持したブラックに攻めをすることを許さないゴーレム幼女も相当な力を隠し持っているのは容易に想像できた。
ゴーレム幼女がブラックと対峙している隙にシルフは瀕死の花島に対して、治癒魔法を使い、治療を施す。
予想していたよりも花島は重傷なのか、シルフの額には焦りから大粒の汗が。
「花島!!! 帰ってきなさい! ここで死んだら許さないわよ!」
花島を想ってか、シルフは感情的な言葉をぶつけ、それを聞いたブラックはゆっくりと言葉を紡ぐ。
「エルフの王と双対の魔女、そして、異界から来た人間。フフッ。奇しくも前の時と構図と同じになったわねー。ね? レイン?」
「... ...その名前は捨てたみそ。今はゴーレムという種族で、名は持たないと決めているみそ」
「あなた、つまらなくなったわねー」
「そういうお前は変わらず卑しいみそ」
「ふふふ」
「... ...」
緊迫した空気を飲み込んだのはゴーレム幼女であった。
「... ...あらら。やっぱり、ここでは私の分が悪いわねー」
床がまるで触手のようにブラックの足元に絡みつき、身動きが取れない状態。
が、ブラックは焦る様子もなく、淡々とした口調を続ける。
「確か、ゴーレムは岩石等の鉱物を変形させる力を持った種族だったはず... ...。これはまるで意思を持つかのようね。石だけに」
「ここは私の能力で作った場所みそ。一つ一つ岩石に魔力を注入しているみそ」
ブラックの洒落に微動だにせず、腕組みした姿勢を崩さないゴーレム幼女。
魔力の量であればブラックの方がゴーレム幼女よりも強大であるが、ここはゴーレム幼女が作ったマンション。
地の利というのは勝負事の世界では実力さえも凌駕する。
そこに飛び込むブラックは実力的には申し分ないのだが、少し頭を使うという事が苦手のようだ。
いや、ブラックの軽率な行動を非難するよりも、ペットである花島をこんな姿にしたかつての旧友と対峙して、こんなにも落ち着いているゴーレム幼女の精神の強さを賛辞すべきか。
「ブラック。私は怒っているみそ」
「私を殺すのー?」
「殺さない。お前を壊すみそ」
腕を組みながらゴーレム幼女の足元がまるで水上でホバリングしているかのように浮き上がり、ゴーレム幼女の右手に石の触手が纏わりつき、グニャグニャとした歪な形をした剣が生成される。
「あらら。少しマズイかな~」
言葉とは裏腹にブラックはひょうひょうとした態度を崩さず、防御する素振りも見せない。
普通の人間であればその姿に臆するのだが、ゴーレム幼女は浮いている床に乗ったまま、拘束しているブラックに突撃する。
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