異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。

とっぱな

第68話お母さん! 魔法少女達の過去⑨

◆ ◆ ◆


塔の破壊した後の兵士の動きはキツネが獲物を見つけた時のように素早く、国中の兵士や傭兵達をけしかけ、隣国への侵攻を開始。
魔女の結界がまさか破られると想定もしていなかった隣国は波のように自国の領土に侵攻する軍隊を防ぐことが出来ず、防戦一方。そういった初動の遅れも影響してか、隣国が白旗を振るのに三日もかからなかった。
それから兵士はミーレとレミーに「まだ、悪い魔女が捕まらない」と嘘をつき、周辺にある国々の防波堤でもある魔女の結界を破壊させ、次々と領土を拡大。
国の中でも相当な権力を持ち始め、影の実力者として暗躍していった。


◆ ◆ ◆
□ □ □


「おい! いつになったらリズの呪いは解けるんだ!」
「もう、爆発させるのも飽き飽き!」


ミーレとレミーは兵士に初めて声を掛けられた橋の上で、兵士に向かって不満をぶつける。


「あと少しなんだ... ...。あと少しでリズが救えるんだ... ...」


「この間も同じ事言ってた!」
「その前もそのまた前もだ!」


カシャカシャと甲冑を揺らしながら政治家のような脆弱な弁明を述べる兵士をミーレとレミーは問い詰める。



「ふう。ここが潮時か... ...」

銀の甲冑の中から深いため息と諦めの言葉を零した兵士はミーレとレミーに向かって、先程の言葉をより強調した表現に言い換える。


「本当に。これで本当に終わりだ」


ミーレとレミーの横を通り過ぎる。
兵士がどこかに逃げると思ったのかミーレとレミーは兵士を引き留めようと声を掛けると兵士は二人の声に振り返ることなく。


「いいから付いて来い」


と言葉を乱雑に投げかける。

「なんだその態度は!!!!」
「... ...」


まるで自分たちを神のように奉っていたにも関わらず、急にそっ気のない態度を取った兵士を一喝したのだが、レミーは兵士の激変ぶりに何かを察し、興奮気味のミーレを制止する。


兵士はミーレの言葉に耳を貸すことなく暗い森の中に消えていく。


「なんだあいつ!」


「ミーレ... ...。何か嫌な予感する」


「... ...まあ、確かに。あいつに命令されるのは嫌だけど付いて行ってみる?」


「うん。この先にはリズの家もあるし」


そして、二人は顔を見合わせ、どこからともなく現れた恐怖心を忘れようと手をつなぎながら森の奥まで歩みを進めた。

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