異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第60話お母さん! 魔法少女達の過去①
◆ ◆ ◆
目を開けるとそこはどこかの家の中だった。
ほこり臭い空間。
部屋の隅の天井には蜘蛛が堂々と巣を作っていて、電気も通ってなく、小指程の火が灯った蝋燭が今にも壊れそうなテーブルの上に置かれている。
そして、目の前には椅子に座る小さな少女。
年齢は5歳くらいだろうか。
赤毛の可愛らしい少女は自分の身の丈に合っていない椅子に浅く腰掛けて、両足をブラブラとさせている。
木製の小さなフォークを右手に持ち、キッチンの方に目を向けている。
キッチンに立つのは若くて綺麗な女性。
振り返り「もう出来るから良い子で待っててね」と優しい口調で少女に語りかける。
そういえば、先程から良い匂いが漂う。
どうやら、食事を準備している途中のようだ。
____バタバタバタバタ... ...。
後ろから足音が聞こえ、振り返ると暗がりから金色の目をした少女が現れ、ぶつかりそうになる。
「____うわっ」
ダメだ!
避けきれない!
避ける事よりも受け止める事を前提に意識を切り替え、少女を支えようと手を出した。
すると、少女は俺にぶつからず、俺の中を通り抜けて行く。
煙の中を突き抜けるようで痛みもなく、違和感もない。
俺はここでこの世界に対して一つの仮説を立てた。
夢の中の世界... ...?
いやいや!
今まで見た夢でこんなにリアルな夢は見た事はないし、匂いやホコリっぽさ、はたまた、温度や湿度まで感じる。
こんなにリアルな夢なんてあるか!?
「お母さん! 見て! 食べ物!」
少女が持つ手には小さな子熊。
子熊は死んでいるのか不明だが、首根っこを鷲掴みされている為、身動きが取れない様子。
どうやら、若い綺麗な女性は二人のお母さんのようだ。
お母さんは後ろを振り返り、金色の目をした少女の頭にポンと手を置く。
「ミーレ。食べる為に動物を殺してはダメよ。その子のお母さんもきっと心配しているわ」
「えー!!! 折角、採ってきたのに!!!」
椅子に座っていた赤毛の少女も同調し。
「私もお肉食べたーい!!!」
お母さんは困った顔をしている。
ミーレ... ...。
魔法婆と同じ名前。
同じ瞳。
赤毛の少女もどことなく魔法少女に似ている。
「はっははは! 二人ともお母さんを困らせてはいけないぞ!」
男の声が俺の後ろからしたと思うと、振り返る間もなく俺を再び、突き抜けて行った。
おいおい!
そんな、自由に人さまの体を通り抜けるんじゃないよ!
抜けるなら通行料払え!
「あ! お父さん! おかえりなさい!」
「おかえりなさーい!!!」
二人の少女は声を合わせて元気に父の帰りを祝福。
お父さんは甲冑を着けていて、髭を生やしたワイルド系。
傭兵か何かをしているのだろうか??
「あなた、おかえりなさい。ミーレが子熊を捕まえたみたいで... ...」
お母さんはお父さんにミーレの行動を相談した。
お父さんは膝まづき、ミーレの目線と自身の目線を合わせ。
「ミーレ。その子にもお母さんやお父さんがいるんだ。ミーレはお母さんとお父さんと離れ離れになったら悲しいだろう?」
「うん。悲しい... ...」
「絶対に嫌だ!!!」
椅子に座る赤毛の少女も呼応するように大きな声を出す。
お父さんは赤毛の少女をみてニコリと笑い。
「レミーもそう思うだろ? じゃあ、この子をどうすればいいか分かるね?」
「食べる!!!」
「丸焼きだー!!!」
「えー!!! いやいや、森に返してあげようよ!」
「あ・そっか! でも、お肉食べたい!」
「丸焼きだー!!!」
もう、二人の少女の目は骨付き肉が瞳に映りこんでいる。
よだれを垂らして、我慢出来ない様子だ。
お父さんは、思っていた反応と違ったようで苦笑い。
そして、その様子を見たお母さんが戸棚の奥から瓶に入った丸い粒を取り出し。
「じゃあ、お肉の変わりに今日は”ロゼッテ”を食べましょう」
「ロゼッテ!?」
「やったー!!!」
二人の少女は戦時中の子供のように豆にハシャグ。
”ロゼッテ”と言われる小さな粒はどうみても小豆。
そんなにテンションが上がる程、おいしそうには見えない。
「ロゼッテなんてよく手に入ったな」
お父さんはお母さんに不思議そうに聞いた。
「ええ。リズがくれたのよ」
「リズ? あの森の奥に一人で住んでいる婆さんか?」
「えっ? お婆さん? 若い綺麗な女性よ?」
「あれ? そうだったっけか? 俺が、小さな頃は婆さんだったぞ」
「私が知っているリズは若い人よ。私達と同年代くらいかしら?」
「その婆さんの孫か何かじゃないのか?」
「うーん。どうかしら... ...」
二人の話は何かかみ合っていない様子だ。
まあ、親の躾が厳しかった俺としては良く知らない婆さんだか、お姉さんから貰ったものを食うのかよ。
と二人の危機管理能力に唾を吐きたくなった。
「早く食べよう!」
「ロゼッテ! ロゼッテ!」
まあ、よく分からないがとりあえず、お腹も減ったし、飯にしよう。
といった様子で4人は食卓を囲んだ。
そして、もちろんそこにはロゼッテという小さな豆が並んだ。
目を開けるとそこはどこかの家の中だった。
ほこり臭い空間。
部屋の隅の天井には蜘蛛が堂々と巣を作っていて、電気も通ってなく、小指程の火が灯った蝋燭が今にも壊れそうなテーブルの上に置かれている。
そして、目の前には椅子に座る小さな少女。
年齢は5歳くらいだろうか。
赤毛の可愛らしい少女は自分の身の丈に合っていない椅子に浅く腰掛けて、両足をブラブラとさせている。
木製の小さなフォークを右手に持ち、キッチンの方に目を向けている。
キッチンに立つのは若くて綺麗な女性。
振り返り「もう出来るから良い子で待っててね」と優しい口調で少女に語りかける。
そういえば、先程から良い匂いが漂う。
どうやら、食事を準備している途中のようだ。
____バタバタバタバタ... ...。
後ろから足音が聞こえ、振り返ると暗がりから金色の目をした少女が現れ、ぶつかりそうになる。
「____うわっ」
ダメだ!
避けきれない!
避ける事よりも受け止める事を前提に意識を切り替え、少女を支えようと手を出した。
すると、少女は俺にぶつからず、俺の中を通り抜けて行く。
煙の中を突き抜けるようで痛みもなく、違和感もない。
俺はここでこの世界に対して一つの仮説を立てた。
夢の中の世界... ...?
いやいや!
今まで見た夢でこんなにリアルな夢は見た事はないし、匂いやホコリっぽさ、はたまた、温度や湿度まで感じる。
こんなにリアルな夢なんてあるか!?
「お母さん! 見て! 食べ物!」
少女が持つ手には小さな子熊。
子熊は死んでいるのか不明だが、首根っこを鷲掴みされている為、身動きが取れない様子。
どうやら、若い綺麗な女性は二人のお母さんのようだ。
お母さんは後ろを振り返り、金色の目をした少女の頭にポンと手を置く。
「ミーレ。食べる為に動物を殺してはダメよ。その子のお母さんもきっと心配しているわ」
「えー!!! 折角、採ってきたのに!!!」
椅子に座っていた赤毛の少女も同調し。
「私もお肉食べたーい!!!」
お母さんは困った顔をしている。
ミーレ... ...。
魔法婆と同じ名前。
同じ瞳。
赤毛の少女もどことなく魔法少女に似ている。
「はっははは! 二人ともお母さんを困らせてはいけないぞ!」
男の声が俺の後ろからしたと思うと、振り返る間もなく俺を再び、突き抜けて行った。
おいおい!
そんな、自由に人さまの体を通り抜けるんじゃないよ!
抜けるなら通行料払え!
「あ! お父さん! おかえりなさい!」
「おかえりなさーい!!!」
二人の少女は声を合わせて元気に父の帰りを祝福。
お父さんは甲冑を着けていて、髭を生やしたワイルド系。
傭兵か何かをしているのだろうか??
「あなた、おかえりなさい。ミーレが子熊を捕まえたみたいで... ...」
お母さんはお父さんにミーレの行動を相談した。
お父さんは膝まづき、ミーレの目線と自身の目線を合わせ。
「ミーレ。その子にもお母さんやお父さんがいるんだ。ミーレはお母さんとお父さんと離れ離れになったら悲しいだろう?」
「うん。悲しい... ...」
「絶対に嫌だ!!!」
椅子に座る赤毛の少女も呼応するように大きな声を出す。
お父さんは赤毛の少女をみてニコリと笑い。
「レミーもそう思うだろ? じゃあ、この子をどうすればいいか分かるね?」
「食べる!!!」
「丸焼きだー!!!」
「えー!!! いやいや、森に返してあげようよ!」
「あ・そっか! でも、お肉食べたい!」
「丸焼きだー!!!」
もう、二人の少女の目は骨付き肉が瞳に映りこんでいる。
よだれを垂らして、我慢出来ない様子だ。
お父さんは、思っていた反応と違ったようで苦笑い。
そして、その様子を見たお母さんが戸棚の奥から瓶に入った丸い粒を取り出し。
「じゃあ、お肉の変わりに今日は”ロゼッテ”を食べましょう」
「ロゼッテ!?」
「やったー!!!」
二人の少女は戦時中の子供のように豆にハシャグ。
”ロゼッテ”と言われる小さな粒はどうみても小豆。
そんなにテンションが上がる程、おいしそうには見えない。
「ロゼッテなんてよく手に入ったな」
お父さんはお母さんに不思議そうに聞いた。
「ええ。リズがくれたのよ」
「リズ? あの森の奥に一人で住んでいる婆さんか?」
「えっ? お婆さん? 若い綺麗な女性よ?」
「あれ? そうだったっけか? 俺が、小さな頃は婆さんだったぞ」
「私が知っているリズは若い人よ。私達と同年代くらいかしら?」
「その婆さんの孫か何かじゃないのか?」
「うーん。どうかしら... ...」
二人の話は何かかみ合っていない様子だ。
まあ、親の躾が厳しかった俺としては良く知らない婆さんだか、お姉さんから貰ったものを食うのかよ。
と二人の危機管理能力に唾を吐きたくなった。
「早く食べよう!」
「ロゼッテ! ロゼッテ!」
まあ、よく分からないがとりあえず、お腹も減ったし、飯にしよう。
といった様子で4人は食卓を囲んだ。
そして、もちろんそこにはロゼッテという小さな豆が並んだ。
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