異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第58話お母さん! 魔法少女と婆と戦います!
【ゴーレムマンション内部・隠し階段】
足が遅い俺をホワイトが肩に担ぎ、階段を登ろうととしたが断念。
肩に担ぐとちょうど、俺の背中が上の階段に擦れてしまう為、ホワイトは急遽、俺を自身の胸に押し当てた。
緊急時でホワイトも無我夢中だったのだろう。
この状況の不自然さにホワイトは気付いていない。
男なら一度は大きなオッパイに全身を埋めてみたいという願望がある。
かく言う俺も、その一人。
初めの内は柔らかくて、良い匂いがして、暖かくて、このまま昇天してしまうかと思ったが、有酸素運動を続けるホワイトの胸には次第に汗が溜まり、全身が汗でベトベトになってしまった。
うん。
オッパイに包まれるってあんまり良いもんじゃないな... ...。
「はあはあ... ...。花島! 扉があるよ!」
螺旋階段の終わり付近に木製の扉がある。
恐らく、最上階へ続く扉だろう。
「よし! ぶっ壊して侵入だ!」
「分かった!」
ホワイトは木製の扉にショルダータックルを浴びせ、粉々に破壊。
扉だけでなく、扉周辺の壁も同時にぶち抜き、大きな開口が出来る。
粉塵が舞う中、暗い部屋は吹き抜けから漏れた光によって照らされ、周囲の状況が目視できる。
【ゴーレムマンション内部・最上階】
窓がない部屋には松明の明かりが灯り、40帖ほどある空間はがらんとしていて生活感はない。
確かここは居住用の部屋としていなかった。
最上階という事もあり、魔法少女、魔法婆、ゴーレム幼女と俺で与える部屋の振り分けを決める際にみんながこの最上階を希望した為、争いにならないようにこの最上階は結局、空き部屋となっていた。
如何にも中ボスみたいなやつが魔法少女と魔法婆を連れて瞬間移動したのだから、RPGとかの法則に従い、最上階にいると予想したのだが... ...。
「お・おい。だ・誰もいないじゃないか!」
「え? あ、そうだね。別にここにいるなんて一言も言ってないけど」
「な・なんだよ! そ・その態度は!」
「だってそうじゃない! 俺だって、分かんねえよ! お前こそ、そこらへんの泥でも食って”対話”とか言う能力であいつら探せよ! 俺を頼るな!」
「た・対話で人を探せるか!」
また、つまらない事で喧嘩になってしまった。
どうやら、ホワイトの兄とは馬が合いそうにない。
この一件が一段落したら絶対に距離を置こう。
ごちゃごちゃ言っている、ホワイトの兄を無視していると、どこからともなく魔法少女の俺をバカにする声が聞こえてきた。
「あんた何も変わってないのね! そんなんだから、あたし達に見放されるのよ!」
「あ!? うっせえ! この人殺し未遂魔法少女! 早く姿見せろ! ぶっ潰してやる!」
ヤンキーっぽく巻き舌で魔法少女を威嚇すると、部屋の中央に大きな光の円が出現し、そこから魔法少女や元魔法婆が姿を現した。
久々に近くで二人の顔を見たが両方とも額には『M』の文字は刻まれていない。
しかし、ホワイト曰く、こいつらは操られているのだ。
「はあん? 私らをぶっ潰す? あんたに出来るってわ・け?」
魔法少女は腕組をして、悪い女を演じているかのように俺を見下す。
M気質の俺にはとんでもないご褒美だ。
早く唾かけてくれないかな... ...。
淡い期待を抱きながらも状況は最悪。
いくら巨人族の二人がいるからと言っても、あまりにも分が悪い。
魔法少女や元魔法婆は一応、上級魔法使いだ。
ホワイトの魔法を弾く能力でも上級魔法には効果がない。
絶対絶命。
「花島君。悪い事は言わないわ。あなたもハンヌ様に忠誠を誓いなさい」
元魔法婆は俺に優しく語りかける。
「悪いな。元魔法婆。あいつは声しか聴いていないけど、嫌いだ。あいつの下につくくらいだったら、エルフの王女様に顎で使われていた方がマシだね。オッパイでかいし」
「きんもっ!」
魔法少女は海辺で見つけたクラゲの死体を見るかのような目で俺を見た。
「そう... ...。残念ね。花島君とは仲良くしたかったのだけれど。それじゃあ、しょうがない... ...」
元魔法婆が表情を曇らせ、俯く。
俺の事を残念がっているのか?
と思い一瞬気を抜いてしまった。
すると、俺の完全に視野の外から火の玉が「ゴーッ」と音を立てて、飛来。
視界に捉えた時には既に顔のすぐ近く、避ける事も出来ないような距離。
火の玉の熱が伝わる。
なんだよ。
もう、ゲームオーバーかよ... ...。
と思うヒマもなく、死を直感した俺は反射的に目を閉じる事しか出来なかった。
_____数秒経ち。
目を閉じていたが、自分の頭は吹き飛んでいない。
吹き飛んでいないという事を認識出来ているから、それは理解出来る。
火の玉が飛んできた方向に首を回すと、大きな手が俺の顔を守るように大きく手を広げている。
後ろを振り返ると、ホワイトが額に汗を垂らし、苦痛の表情を浮かべていた。
「間一髪だったね... ...」
足元を見ると、溶岩石のようなゴツゴツした石が煙を上げて転がっており、それを素手で受け止めたホワイトの掌は皮がめくれて赤くなっている箇所や真っ黒く焦げついている箇所がある。
周囲には牛や豚を焼いた臭いとは明らかに異なる臭いが立ち込め、背中に悪寒を感じた。
「ホワイト!? 大丈夫か!?」
「平気! 平気! 少し、熱かったけどね!」
こんな酷い火傷は生まれて初めて見た。
恐らく、黒く焦げ付いている箇所に一番最初に炎を纏った石が当たり、それが跳ね返り赤くなっている箇所に更に当たったのだろう。
赤くなっている箇所は掌の中で転がり、人差し指の第一関節から小指の付け根までをただれさせている。
少し熱かった?
絶対に嘘。
ホワイトは俺に気を遣わせまいと気丈に振る舞ってるに違いない。
「残念ね... ...。一瞬で終わらせてあげようと思ったのに... ...」
元魔法婆は不満そうな表情をして、こちらを見やる。
その瞳は完全に人を殺す冷徹な色を浮かべていた。
「じゃあ、少し遊んであげようかしら」
_______逃げろ!!!
本能的に感じ取るのは魔女の殺意。
俺の脳内には危険信号が出されるが、恐怖から足が動かず、ただただ震える。
魔法少女や魔法婆が操られていると聞いてはいたが、どこか楽観的な考えだった。
適当にやっておけば、いつものように何とかなる。
そんな気持ちがあった。
だが、現実は違う。
凍り付く空気。
揺れる灯篭。
駄目だ... ...。
もう、あいつらを助けようなんか考えちゃいけない。
その甘い考えを突かれる。
見透かされる。
あいつらは本気で俺達を殺しに来ている。
それに対して、俺達はサバイバルゲームをするかのような気持ちでここに来てしまった。
「う・うう... ...」
瞬間的に大きなストレスを感じた俺の体は少しでも、それを和らげる為に大粒の涙を流させた。
しかし、死から逃れられる訳ではない。
恐らくこの涙は、確実な死が到来する事を悟り、痛みを感じないように分泌した麻薬のようなもの。
最後の手向けにと、魂に長年連れ添った体が選別をくれたに過ぎない。
「大丈夫よ。まだ、殺してあげないんだから」
元魔法婆がトイレの詰まりを直す棒のようなものを天に掲げると、俺達を取り囲むように空間に小さな穴が無数に空き、そこから、再び、火の玉が俺達目がけて飛んでくる。
死を覚悟した俺の体はその場を動く事を拒否した。
足が遅い俺をホワイトが肩に担ぎ、階段を登ろうととしたが断念。
肩に担ぐとちょうど、俺の背中が上の階段に擦れてしまう為、ホワイトは急遽、俺を自身の胸に押し当てた。
緊急時でホワイトも無我夢中だったのだろう。
この状況の不自然さにホワイトは気付いていない。
男なら一度は大きなオッパイに全身を埋めてみたいという願望がある。
かく言う俺も、その一人。
初めの内は柔らかくて、良い匂いがして、暖かくて、このまま昇天してしまうかと思ったが、有酸素運動を続けるホワイトの胸には次第に汗が溜まり、全身が汗でベトベトになってしまった。
うん。
オッパイに包まれるってあんまり良いもんじゃないな... ...。
「はあはあ... ...。花島! 扉があるよ!」
螺旋階段の終わり付近に木製の扉がある。
恐らく、最上階へ続く扉だろう。
「よし! ぶっ壊して侵入だ!」
「分かった!」
ホワイトは木製の扉にショルダータックルを浴びせ、粉々に破壊。
扉だけでなく、扉周辺の壁も同時にぶち抜き、大きな開口が出来る。
粉塵が舞う中、暗い部屋は吹き抜けから漏れた光によって照らされ、周囲の状況が目視できる。
【ゴーレムマンション内部・最上階】
窓がない部屋には松明の明かりが灯り、40帖ほどある空間はがらんとしていて生活感はない。
確かここは居住用の部屋としていなかった。
最上階という事もあり、魔法少女、魔法婆、ゴーレム幼女と俺で与える部屋の振り分けを決める際にみんながこの最上階を希望した為、争いにならないようにこの最上階は結局、空き部屋となっていた。
如何にも中ボスみたいなやつが魔法少女と魔法婆を連れて瞬間移動したのだから、RPGとかの法則に従い、最上階にいると予想したのだが... ...。
「お・おい。だ・誰もいないじゃないか!」
「え? あ、そうだね。別にここにいるなんて一言も言ってないけど」
「な・なんだよ! そ・その態度は!」
「だってそうじゃない! 俺だって、分かんねえよ! お前こそ、そこらへんの泥でも食って”対話”とか言う能力であいつら探せよ! 俺を頼るな!」
「た・対話で人を探せるか!」
また、つまらない事で喧嘩になってしまった。
どうやら、ホワイトの兄とは馬が合いそうにない。
この一件が一段落したら絶対に距離を置こう。
ごちゃごちゃ言っている、ホワイトの兄を無視していると、どこからともなく魔法少女の俺をバカにする声が聞こえてきた。
「あんた何も変わってないのね! そんなんだから、あたし達に見放されるのよ!」
「あ!? うっせえ! この人殺し未遂魔法少女! 早く姿見せろ! ぶっ潰してやる!」
ヤンキーっぽく巻き舌で魔法少女を威嚇すると、部屋の中央に大きな光の円が出現し、そこから魔法少女や元魔法婆が姿を現した。
久々に近くで二人の顔を見たが両方とも額には『M』の文字は刻まれていない。
しかし、ホワイト曰く、こいつらは操られているのだ。
「はあん? 私らをぶっ潰す? あんたに出来るってわ・け?」
魔法少女は腕組をして、悪い女を演じているかのように俺を見下す。
M気質の俺にはとんでもないご褒美だ。
早く唾かけてくれないかな... ...。
淡い期待を抱きながらも状況は最悪。
いくら巨人族の二人がいるからと言っても、あまりにも分が悪い。
魔法少女や元魔法婆は一応、上級魔法使いだ。
ホワイトの魔法を弾く能力でも上級魔法には効果がない。
絶対絶命。
「花島君。悪い事は言わないわ。あなたもハンヌ様に忠誠を誓いなさい」
元魔法婆は俺に優しく語りかける。
「悪いな。元魔法婆。あいつは声しか聴いていないけど、嫌いだ。あいつの下につくくらいだったら、エルフの王女様に顎で使われていた方がマシだね。オッパイでかいし」
「きんもっ!」
魔法少女は海辺で見つけたクラゲの死体を見るかのような目で俺を見た。
「そう... ...。残念ね。花島君とは仲良くしたかったのだけれど。それじゃあ、しょうがない... ...」
元魔法婆が表情を曇らせ、俯く。
俺の事を残念がっているのか?
と思い一瞬気を抜いてしまった。
すると、俺の完全に視野の外から火の玉が「ゴーッ」と音を立てて、飛来。
視界に捉えた時には既に顔のすぐ近く、避ける事も出来ないような距離。
火の玉の熱が伝わる。
なんだよ。
もう、ゲームオーバーかよ... ...。
と思うヒマもなく、死を直感した俺は反射的に目を閉じる事しか出来なかった。
_____数秒経ち。
目を閉じていたが、自分の頭は吹き飛んでいない。
吹き飛んでいないという事を認識出来ているから、それは理解出来る。
火の玉が飛んできた方向に首を回すと、大きな手が俺の顔を守るように大きく手を広げている。
後ろを振り返ると、ホワイトが額に汗を垂らし、苦痛の表情を浮かべていた。
「間一髪だったね... ...」
足元を見ると、溶岩石のようなゴツゴツした石が煙を上げて転がっており、それを素手で受け止めたホワイトの掌は皮がめくれて赤くなっている箇所や真っ黒く焦げついている箇所がある。
周囲には牛や豚を焼いた臭いとは明らかに異なる臭いが立ち込め、背中に悪寒を感じた。
「ホワイト!? 大丈夫か!?」
「平気! 平気! 少し、熱かったけどね!」
こんな酷い火傷は生まれて初めて見た。
恐らく、黒く焦げ付いている箇所に一番最初に炎を纏った石が当たり、それが跳ね返り赤くなっている箇所に更に当たったのだろう。
赤くなっている箇所は掌の中で転がり、人差し指の第一関節から小指の付け根までをただれさせている。
少し熱かった?
絶対に嘘。
ホワイトは俺に気を遣わせまいと気丈に振る舞ってるに違いない。
「残念ね... ...。一瞬で終わらせてあげようと思ったのに... ...」
元魔法婆は不満そうな表情をして、こちらを見やる。
その瞳は完全に人を殺す冷徹な色を浮かべていた。
「じゃあ、少し遊んであげようかしら」
_______逃げろ!!!
本能的に感じ取るのは魔女の殺意。
俺の脳内には危険信号が出されるが、恐怖から足が動かず、ただただ震える。
魔法少女や魔法婆が操られていると聞いてはいたが、どこか楽観的な考えだった。
適当にやっておけば、いつものように何とかなる。
そんな気持ちがあった。
だが、現実は違う。
凍り付く空気。
揺れる灯篭。
駄目だ... ...。
もう、あいつらを助けようなんか考えちゃいけない。
その甘い考えを突かれる。
見透かされる。
あいつらは本気で俺達を殺しに来ている。
それに対して、俺達はサバイバルゲームをするかのような気持ちでここに来てしまった。
「う・うう... ...」
瞬間的に大きなストレスを感じた俺の体は少しでも、それを和らげる為に大粒の涙を流させた。
しかし、死から逃れられる訳ではない。
恐らくこの涙は、確実な死が到来する事を悟り、痛みを感じないように分泌した麻薬のようなもの。
最後の手向けにと、魂に長年連れ添った体が選別をくれたに過ぎない。
「大丈夫よ。まだ、殺してあげないんだから」
元魔法婆がトイレの詰まりを直す棒のようなものを天に掲げると、俺達を取り囲むように空間に小さな穴が無数に空き、そこから、再び、火の玉が俺達目がけて飛んでくる。
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