異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。

とっぱな

第15話お母さん! 久々のヒロイン登場!

______ホワイトシーフ王女寝室______



◆ ◆ ◆



カーテンの隙間から陽の光がこぼれ薄っすらと部屋の中を照らす。
ベッドの脇からはこの部屋の主であるシルフのか細い足がチラリと見える。
部屋には彼女が小さなころに書いたと思われる両親の似顔絵や可愛い動物のぬいぐるみが暖炉の上に置いてあり、 部屋にはゴミ一つ落ちていない。
シルフのキツイ性格を加味すると、その典型的な女の子らしい部屋に違和感すら覚えるだろう。


______ドンドンドン!


シルフが心地良く、眠っていると彼女の部屋のドアを力強く誰かがノックする。


シルフは朝陽を浴びて、自然に起きる事が日課。
誰かに起こされるのは不本意極まりない。
シルフはあからさまに不機嫌そうだ。
彼女がベッドから起き上がり、ドアを開けるとそこには汗だくのセバスの姿。


「シ・シルフ様! お・おはようございます... ...」


「おはようセバス。こんなに目覚めの良い朝は久しぶりだわ」


シルフは不気味なくらいに爽やかな笑顔でセバスに対応をする。


「シルフ様! 緊急事態です!」


「あたしの睡眠を邪魔するよりもそれは大切な事なの?」


セバスはゴクリと唾を飲み、息を整え。


「ご自身の目で外をご確認ください... ...」


セバスのこんなに焦る様子を初めてみたシルフは命令されたことにイラッとしたが、シルフはクルっと反転し、窓際まで歩き、部屋のカーテンを勢いよく開けた。
まるで、ダムが決壊したかのように光が洪水となって部屋の中を満たす。
シルフの目にも光が入り、シルフは手でその光を遮断する素振りをする。
徐々に目が慣れ、手を退けると窓の先には見知らぬ塔が。


「... ...なにあれ?」


「シルフ様... ...。城です!」


「あのさ? バカなの? 見ればそんなもの分かるわよ。昨日の夜はなかったわよね?」


「恐らく一夜にして建ったものかと... ...」


この地では何か建造物を建てる際に国の許可が必要とされ、無暗に家を立てたり、国民の為とはいえ、橋を架けたり、壊れた家を補修することも出来ない。
国に無許可でそういった行為を行うことは国家に反逆するのと同等。
この国でそのような事をする豪傑は恐らくいない。
であると、他国からの侵入者による行為というのが一番に予想される。


「ふーん。で、あたしにどうしろって言うの?」


「恐らく、あの城は敵国のものと思われます。先ずは兵を集めましょう」


「セバス、それは、あなたに任せます」


「はっ!」


胸に手を当て、セバスはシルフの命を実行する為、シルフの部屋から出る。
荒廃した王国の将来を憂いていた彼女は「いっそ、このまま、他の敵国に滅ぼされた方が良いのではないか?」と考え自分の頬を強く叩いた。
その為か、頬は赤みを帯び少し幼い顔つきにも見えた。

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