勇者なしで魔王討伐 ~チートと愉快な仲間と共に~

夏季

6話 Sクラス

バース国。
高い壁に囲まれたこの国はクラウン魔法大学が管理していて、世界でトップクラスに大きい。
まだ行ったことはないが、商店街には防具屋や武器屋などがたくさんあり、中々に充実しているらしい。詳しくはまた後ほど話そう。


クラウン魔法大学はこの国の三分の一の敷地を占めており、教室、訓練場、グラウンド、研究室など様々な建物や施設がある。
今回はこれらを詳しく説明しよう。


まず門を通り、目の前に見える横に長い城みたいなものが第一校舎だ。ここには前までは最高学年の生徒の教室や研究室があったが、今では全部研究室だ。校長室や大広間、職員室もここにある。
次に、右に見える建物は第二校舎だ。第二校舎はCクラスとDクラスがあり、人がいっぱいいるらしい。
左に見えるのは第三校舎と訓練場だ。第三校舎にはAクラスがある。
そして第一校舎の裏側を少し行ったところにグラウンドが二つと食堂がある。第一グラウンドは俺らが体力測定をした所であり、またカエラがぐちゃぐちゃにしたところだ。
そしてお待ちかねのSクラスがあるところはAクラスがある第三校舎からさらに左に行ったところにある特別棟である。


だいたいの説明はこれで終わりだ。
今俺は特別棟に向かっているがなかなか遠い。
普通に歩いたら門から30分はかかると思う。
最初は歩いていこうとおもっていたが、めんどくさくなったので身体強化を使い走った。便利だ。
特別棟につくと教室の入口の前でカエラが立っていた。何をしているんだろうと思いながら見てるとカエラがこちらに気づいたようで嬉しそうな顔をして近寄ってきた。


「いいところに来たわ!一緒に入りましょ!」  


カエラはそう言って俺にぺたっとくっついてくる。
そっか、俺達は昨日校長に怒られたせいで一歩出遅れてるのか。さすがのカエラも一人で教室に入るのは少し怖いんだろうな。 
てかさっきから胸が腕に当たってるぞ……
ダメだ、ここで反応したらただの童貞だ。
表情に出したらダメだ。無言で。無表情で。
そして俺は全神経を腕に集中させながら教室へ入った。


Sクラスの人数は八人だった。元々少ないだろうとは思っていたが、これは予想外だ。
また、それよりも驚いたのが女子の多さだ。
なんと六人もいるのだ。
これはハーレム生活じゃないかと皆も思うだろう。
俺も思った。しかしその妄想は一瞬で打ち砕かれた。もう一人の男子がものすごいイケメンなのだ。
俺も顔は正直悪くない、むしろいい方なのだが、あれと比べられては話にならない。
全部もっていかれる……としょんぼりしていると、イケメンが近づいてきた。


「君達が昨日休んでた人達だね。
これからよろしくたのむよ」


「よろしく……」


あぁ、近くで見ても本当にイケメンだ。
ハーレムだなんて思ってた自分が恥ずかしい。
俺は挨拶したあと一番後ろの席に着いた。 
カエラはちなみに俺の隣だ。


そしてもうひとつ残念なことがあった。
担任が校長だった。
この数日間校長とは嫌な思い出しかない。
さっきから目が合う度に睨まれる。
なぜ校長がわざわざ担任するんだと思ったが


「このクラスはSクラスのくせに問題児が多すぎる。ほかの先生じゃすぐに心が折れるからわしが入った」


こういう理由らしい。カエラ以外にも問題児がいるのか。校長も大変だな。
てか校長、たしかこの国もまとめてるんだよな。
最近の校長の扱いが雑すぎてすっかり忘れてた。


「わしも暇じゃないからあまり問題を起こさないでくれ。
よし、それじゃあ1時間目は昨日休んでたやつもおるから自己紹介から始めるとしよう」


こうして初めての授業が始まった。















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