怖くないよ!尾花毛さん〜圧倒的恐怖で目指すは日本一のお化け屋敷!?尾花毛さん、それ文化祭のレベルじゃないから!〜
怖すぎるよ、尾花毛さん!〜小学生編〜
「うわぁぁぁ!!!!!」
 耳をつんざくような悲鳴、あ〜あ。大の大人が大声出して・・・・
 まぁ、仕方がないか。
 そろそろ最終ポイントに着く頃だ、要するに尾花毛さんのエリアだな。
 ふれあいフェスティバルがいよいよスタートした。ふれあいフェスティバルは、要するに文化祭のようなもので、県内でも有数の小学校、と言うよりは田舎だから1つの学校に大量の生徒を詰め込め方式を採用しているので、生徒が多い。生徒が多いということは、その親がわんさか来る。
 おまけにそれにプラスして近所のおじちゃんおばちゃんも来るもんだから、この街の一大イベントと言っても良い。下手をすればその辺のお祭りより盛況らしい。
 来場者数も万単位だしな。
 出し物は先生達がライブやダンスを披露したりするだけでなく、自治会のおっちゃん達が協力して焼きそばやたこ焼きを売る。季節が秋だと言うことを考えるとあったまって丁度良いだろうな。
 勿論、その中には生徒達が主役のものもある。5年生から始まるこの出し物は、他のクラスでは縁日と言う輪投げや射的なんかのアトラクションを雑多に用意するようなものから始まり、演劇をしたりするクラスも存在している。
 劇、面倒くさいんだよな、役決めで主役の座を争うのは目に見えているし、特にシンデレラとかだと主人公役を巡ってクラスに亀裂が走る。
 正直トンデモないことだ。
 うちのクラスでも劇にしようと言った女子がおり(勿論尾花毛さんでは無い)それを黒板に書いた瞬間、うちの女子が目の色を変えたのを覚えている。次の瞬間、クラスの男たちは団結した。我々の平穏な学園生活を守る為に、劇だけはやらすまいと。
 ちなみに先生もハラハラしていた、それほどの劇は難しいのだ。色々な意味で。
 まぁ、僕達には関係ない話だろう、何てったって僕達のアトラクションはーーーー
「バァァァァァーーー!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
 お化け屋敷なのだから。
 また1人、ドタリという音が聞こえる。尾花毛さんの迫力に屈して気絶者が出てしまったようだ。それも仕方がないか、尾花毛さんの服は実家から持ってきた本気の白装束だ。それに加えて尾花毛さん自らがプロデュースした音楽に見た目、間違いなくビビること請け合いだ。
 あの顔を近づけられたら誰でも驚くだろう。
 おっといけない、ぶっ叩かれた顔が痛くなってきた。まだヒリヒリ痛むから、業務に集中して紛らわそう。
「次の方ーー」
 受付業務は簡単なものだ、スタンプシートというクラス別にある出し物を回るともらえるスタンプを集めるとシールが貰えるという催しがこのふれあいフェスティバルでは行われている。そのスタンプを押して、前の人が教室から出てきたら次の人を入れる。簡単なシステムだ。
 まぁ簡単なシステムじゃないと僕は色々できない。
「バァーーーーーー!!!!」
「ひぃえええええええ!!!」
 あ、最終ポイントに到着したようだ。そろそろ次の人を入れないとな、それにしても今入っていったのは70代くらいのおばあちゃんの筈なんだが、大丈夫かな、心臓止まったりしない?
 ま、大丈夫か。
「次の方、どうぞ〜」
 次の人が入っていく、今度は同じ学年の男3人組だ。小学6年生にしては大柄な3人は、近所のガキ大将ズ、と呼んで差し支えない風貌をしている。ジャイ〇ンが3人いるようなもんだな。
てか、似ている。
 始まるにつれてお客さんの年齢層が段々高くなっているように感じる、と言うのも絶叫が数分に一回この廊下にも響くため、低学年の子は怖くて入れない。同学年でも入るのは勇気ある男のみ。
 少しずつ本気のお化け屋敷があると噂されていき、並んでいる人の平均年齢が30代後半という特異な状況だ。勿論親子で入っているわけだが。
 まぁ、勿論今みたいに同学年の勇気ある奴らが入っていくのだがーー
「バァーーーーーー!!!!」
「うひゃぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぐばぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「かーーーーちゃーーーん!!」
 こうなる、勢い良くドアが開け放たれ、3人組が出てきた、顔は真っ青で血色も悪い。
 それにしても叫び声までジャイ〇ンに似なくてもいいのにと思ってしまうのは僕だけだろうか?
 そんな調子で、僕の小学校生活最後のふれあいフェスティバルは終了した。
 今回のふれあいフェスティバルで一番驚いたのが、自分たちのクラスが最優秀クラスとして選ばれたことだ。
 ふれあいフェスティバルでは、人気投票のようなものが存在し、学校に来た際に来場者や親御さんが最も良かったクラスに投票する。
 勿論、親御さん達は自分の子供がいるクラスに投票するだろう。クラスが均一40人程度ならば、自然と近所の方が投票してくれたもので勝敗が別れると言ってもいい。
 僕達、6年C組の面々は、それに選ばれたということだ。校長先生に今、手渡しで賞状を貰って初めて実感が生まれた。
 そんなに大衆受けするようなお化け屋敷でも無かったと思うんだけどなぁ・・・・
 勿論、理由とあるだろう、そもそも投票のシステム上投票そのものをしない人が多い場合もある。小学生がやる出し物をきちんと審査して投票してくれるような人が小学校の文化祭レベルでいる筈は勿論無く、むしろ印象に残ったものを気がむいたから投票した、なんて人も多い筈だ。
 勿論、優勝しているのだから僕達がより多くの人たちからすごいと認められているのは事実なのだから、遠慮なく喜ぶことにした。
 賞状を貰った壇上で、高々とそれを掲げる。実行委員として尾花毛さんとの交渉や細かい打ち合わせなどを放課後も積極的に取り組んで来た。その努力が報われたような気がして少し嬉しかった。
 うん、たまには努力するのも悪くないな。基本的には楽したいけど。
 ふれあいフェスティバルが終わり、みんなが帰宅を始める。中には両親が迎えに来てくれるなんて奴もいるが、僕の家族はそうでは無かった。1人で帰る帰路に少し重さを感じていると、大きな化粧ケースを重たげに持ちながら歩く尾花毛さんを、僕は見つけるのだった。
◇◇◇◇
「持とうか?」
「恐無君?あ、ありがとう」
 気づけば声をかけていた、そう言えば帰り道は結構被っていた筈だ。尾花毛さんと一緒に帰るのは初めてだな。
 「重っ!何入ってるのこれ」
 ランドセルぐらい重いんだけど
「えっと、メイクに必要なグロス、アイシャドー、アイプチ、赤リップとかかな。後はお化け屋敷で使った小道具とかね。お面とかも私が持ってきたものだし」
「そう言えば、リアルなものが多かったよね・・」
「実際に使われてるものをくすねて来たからね!」
「それ大丈夫なの!?」
 えっへん、と身をそらす尾花毛さんに対して僕は驚きつつ答える。小学校の限られた予算で、尾花毛さんの望むようなクオリティを実現させるのは不可能に近い。
 他クラスの劇でも、子役志望の子が主役を勤めた時には、親がリアルな衣装を揃えたお陰でいい劇になったらしい。本人の演技が渋かったらしいが。
「ありがとう」
「ん?」
「だって、私が無茶言っても、恐無君が調整してくれたから私が自由にできたんだもん」
「まぁそれはそうだけど、僕がやったことは誰でもできることだよ?」
「誰でもできるの?そんなことないと思うけど」
 そうかな?確かに学級委員をやっているからにはそれなりにできる自信はある、面倒ごとは嫌いだが、雑用は嫌いじゃない。自分の評価に繋がるからだ。ただ働きが嫌いなんだな、要するに。
「どんなに凄いお化け屋敷だって、宣伝してみんなに知ってもらわなきゃいけないし、裏方の人が道具を修理とかしてくれなきゃ長持ちしない。お父さんが言ってた!今回もそう、恐無君がいなかったら成功しなかった!」
「そっか、役に立てたなら嬉しいよ。」
  裏方、か。裏方は好きだ。少なくとも表に出るよりは。でもあの賞状を貰うのはもう一回やってみたいな。
 「だからね、恐無君、私と一緒に日本一のお化け屋敷を作って欲しい!」
「へぇ!?いや、中学校は同じかも知れないけど、同じクラスになるとも限らないし」
「いや、なる!なる気がする!」
「えぇ!?」
 そう、僕と尾花毛さんの行く中学校は同じだ。つまり、また一緒に組む機会があるということだ。
 また、やるの?
 「作ろうよ、とびっきり愉快で、人を驚かせて、楽しませて。『あ〜怖かった』ってみんなが言ってくれるようなお化け屋敷を!」
  正直大変だ、雑用も多いだろうし、尾花毛さんを上手く説得するのもある。
 だけど、楽しいんだろう
 ちょっと変で、誰よりも本気のお化け屋敷を作るのは。学校単位で言えばふれあいフェスティバルなんて秋の一大イベントの1つでしかない。それは中学校においても同じことだ。だが、目の前にそれに全力を捧げようとねだる女の子がいる。
 ・・・・悪くないな
「いいよ、やろう!日本一のお化け屋敷!」
「やった!中学校生活、楽しみになってきたぞー!!」
 尾花毛さんが両手を大きく掲げて走り出す。おいおい、尾花毛さん荷物!!
 坂道を走って行く、尾花毛さんの足取りは軽く、ぴょん、ぴょんと飛び越えて飛ぶように坂を登って行く。
 それを、重いカバンを持ちながら追いかけいく。
 重いな、もしかして、尾花毛さんに取り憑かれちゃったかな。
「何笑ってるの?」
「いや、ちょっとね」
 除霊はしない、というかして貰えなさそうだ。
 
 耳をつんざくような悲鳴、あ〜あ。大の大人が大声出して・・・・
 まぁ、仕方がないか。
 そろそろ最終ポイントに着く頃だ、要するに尾花毛さんのエリアだな。
 ふれあいフェスティバルがいよいよスタートした。ふれあいフェスティバルは、要するに文化祭のようなもので、県内でも有数の小学校、と言うよりは田舎だから1つの学校に大量の生徒を詰め込め方式を採用しているので、生徒が多い。生徒が多いということは、その親がわんさか来る。
 おまけにそれにプラスして近所のおじちゃんおばちゃんも来るもんだから、この街の一大イベントと言っても良い。下手をすればその辺のお祭りより盛況らしい。
 来場者数も万単位だしな。
 出し物は先生達がライブやダンスを披露したりするだけでなく、自治会のおっちゃん達が協力して焼きそばやたこ焼きを売る。季節が秋だと言うことを考えるとあったまって丁度良いだろうな。
 勿論、その中には生徒達が主役のものもある。5年生から始まるこの出し物は、他のクラスでは縁日と言う輪投げや射的なんかのアトラクションを雑多に用意するようなものから始まり、演劇をしたりするクラスも存在している。
 劇、面倒くさいんだよな、役決めで主役の座を争うのは目に見えているし、特にシンデレラとかだと主人公役を巡ってクラスに亀裂が走る。
 正直トンデモないことだ。
 うちのクラスでも劇にしようと言った女子がおり(勿論尾花毛さんでは無い)それを黒板に書いた瞬間、うちの女子が目の色を変えたのを覚えている。次の瞬間、クラスの男たちは団結した。我々の平穏な学園生活を守る為に、劇だけはやらすまいと。
 ちなみに先生もハラハラしていた、それほどの劇は難しいのだ。色々な意味で。
 まぁ、僕達には関係ない話だろう、何てったって僕達のアトラクションはーーーー
「バァァァァァーーー!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
 お化け屋敷なのだから。
 また1人、ドタリという音が聞こえる。尾花毛さんの迫力に屈して気絶者が出てしまったようだ。それも仕方がないか、尾花毛さんの服は実家から持ってきた本気の白装束だ。それに加えて尾花毛さん自らがプロデュースした音楽に見た目、間違いなくビビること請け合いだ。
 あの顔を近づけられたら誰でも驚くだろう。
 おっといけない、ぶっ叩かれた顔が痛くなってきた。まだヒリヒリ痛むから、業務に集中して紛らわそう。
「次の方ーー」
 受付業務は簡単なものだ、スタンプシートというクラス別にある出し物を回るともらえるスタンプを集めるとシールが貰えるという催しがこのふれあいフェスティバルでは行われている。そのスタンプを押して、前の人が教室から出てきたら次の人を入れる。簡単なシステムだ。
 まぁ簡単なシステムじゃないと僕は色々できない。
「バァーーーーーー!!!!」
「ひぃえええええええ!!!」
 あ、最終ポイントに到着したようだ。そろそろ次の人を入れないとな、それにしても今入っていったのは70代くらいのおばあちゃんの筈なんだが、大丈夫かな、心臓止まったりしない?
 ま、大丈夫か。
「次の方、どうぞ〜」
 次の人が入っていく、今度は同じ学年の男3人組だ。小学6年生にしては大柄な3人は、近所のガキ大将ズ、と呼んで差し支えない風貌をしている。ジャイ〇ンが3人いるようなもんだな。
てか、似ている。
 始まるにつれてお客さんの年齢層が段々高くなっているように感じる、と言うのも絶叫が数分に一回この廊下にも響くため、低学年の子は怖くて入れない。同学年でも入るのは勇気ある男のみ。
 少しずつ本気のお化け屋敷があると噂されていき、並んでいる人の平均年齢が30代後半という特異な状況だ。勿論親子で入っているわけだが。
 まぁ、勿論今みたいに同学年の勇気ある奴らが入っていくのだがーー
「バァーーーーーー!!!!」
「うひゃぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぐばぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「かーーーーちゃーーーん!!」
 こうなる、勢い良くドアが開け放たれ、3人組が出てきた、顔は真っ青で血色も悪い。
 それにしても叫び声までジャイ〇ンに似なくてもいいのにと思ってしまうのは僕だけだろうか?
 そんな調子で、僕の小学校生活最後のふれあいフェスティバルは終了した。
 今回のふれあいフェスティバルで一番驚いたのが、自分たちのクラスが最優秀クラスとして選ばれたことだ。
 ふれあいフェスティバルでは、人気投票のようなものが存在し、学校に来た際に来場者や親御さんが最も良かったクラスに投票する。
 勿論、親御さん達は自分の子供がいるクラスに投票するだろう。クラスが均一40人程度ならば、自然と近所の方が投票してくれたもので勝敗が別れると言ってもいい。
 僕達、6年C組の面々は、それに選ばれたということだ。校長先生に今、手渡しで賞状を貰って初めて実感が生まれた。
 そんなに大衆受けするようなお化け屋敷でも無かったと思うんだけどなぁ・・・・
 勿論、理由とあるだろう、そもそも投票のシステム上投票そのものをしない人が多い場合もある。小学生がやる出し物をきちんと審査して投票してくれるような人が小学校の文化祭レベルでいる筈は勿論無く、むしろ印象に残ったものを気がむいたから投票した、なんて人も多い筈だ。
 勿論、優勝しているのだから僕達がより多くの人たちからすごいと認められているのは事実なのだから、遠慮なく喜ぶことにした。
 賞状を貰った壇上で、高々とそれを掲げる。実行委員として尾花毛さんとの交渉や細かい打ち合わせなどを放課後も積極的に取り組んで来た。その努力が報われたような気がして少し嬉しかった。
 うん、たまには努力するのも悪くないな。基本的には楽したいけど。
 ふれあいフェスティバルが終わり、みんなが帰宅を始める。中には両親が迎えに来てくれるなんて奴もいるが、僕の家族はそうでは無かった。1人で帰る帰路に少し重さを感じていると、大きな化粧ケースを重たげに持ちながら歩く尾花毛さんを、僕は見つけるのだった。
◇◇◇◇
「持とうか?」
「恐無君?あ、ありがとう」
 気づけば声をかけていた、そう言えば帰り道は結構被っていた筈だ。尾花毛さんと一緒に帰るのは初めてだな。
 「重っ!何入ってるのこれ」
 ランドセルぐらい重いんだけど
「えっと、メイクに必要なグロス、アイシャドー、アイプチ、赤リップとかかな。後はお化け屋敷で使った小道具とかね。お面とかも私が持ってきたものだし」
「そう言えば、リアルなものが多かったよね・・」
「実際に使われてるものをくすねて来たからね!」
「それ大丈夫なの!?」
 えっへん、と身をそらす尾花毛さんに対して僕は驚きつつ答える。小学校の限られた予算で、尾花毛さんの望むようなクオリティを実現させるのは不可能に近い。
 他クラスの劇でも、子役志望の子が主役を勤めた時には、親がリアルな衣装を揃えたお陰でいい劇になったらしい。本人の演技が渋かったらしいが。
「ありがとう」
「ん?」
「だって、私が無茶言っても、恐無君が調整してくれたから私が自由にできたんだもん」
「まぁそれはそうだけど、僕がやったことは誰でもできることだよ?」
「誰でもできるの?そんなことないと思うけど」
 そうかな?確かに学級委員をやっているからにはそれなりにできる自信はある、面倒ごとは嫌いだが、雑用は嫌いじゃない。自分の評価に繋がるからだ。ただ働きが嫌いなんだな、要するに。
「どんなに凄いお化け屋敷だって、宣伝してみんなに知ってもらわなきゃいけないし、裏方の人が道具を修理とかしてくれなきゃ長持ちしない。お父さんが言ってた!今回もそう、恐無君がいなかったら成功しなかった!」
「そっか、役に立てたなら嬉しいよ。」
  裏方、か。裏方は好きだ。少なくとも表に出るよりは。でもあの賞状を貰うのはもう一回やってみたいな。
 「だからね、恐無君、私と一緒に日本一のお化け屋敷を作って欲しい!」
「へぇ!?いや、中学校は同じかも知れないけど、同じクラスになるとも限らないし」
「いや、なる!なる気がする!」
「えぇ!?」
 そう、僕と尾花毛さんの行く中学校は同じだ。つまり、また一緒に組む機会があるということだ。
 また、やるの?
 「作ろうよ、とびっきり愉快で、人を驚かせて、楽しませて。『あ〜怖かった』ってみんなが言ってくれるようなお化け屋敷を!」
  正直大変だ、雑用も多いだろうし、尾花毛さんを上手く説得するのもある。
 だけど、楽しいんだろう
 ちょっと変で、誰よりも本気のお化け屋敷を作るのは。学校単位で言えばふれあいフェスティバルなんて秋の一大イベントの1つでしかない。それは中学校においても同じことだ。だが、目の前にそれに全力を捧げようとねだる女の子がいる。
 ・・・・悪くないな
「いいよ、やろう!日本一のお化け屋敷!」
「やった!中学校生活、楽しみになってきたぞー!!」
 尾花毛さんが両手を大きく掲げて走り出す。おいおい、尾花毛さん荷物!!
 坂道を走って行く、尾花毛さんの足取りは軽く、ぴょん、ぴょんと飛び越えて飛ぶように坂を登って行く。
 それを、重いカバンを持ちながら追いかけいく。
 重いな、もしかして、尾花毛さんに取り憑かれちゃったかな。
「何笑ってるの?」
「いや、ちょっとね」
 除霊はしない、というかして貰えなさそうだ。
 
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