俺がこの世に生まれた意味

高木礼六

本気を出すかしら

気付けば魔法の訓練なんかすっぽかして、目の前で繰り広げられている戦闘に釘付けになっていた。

壮絶な力と力のぶつかり合い。技と技の削り合い。

煌めく金髪を白く輝く光が照らし出す。

柔らかな澄んだ青い髪を、雷を纏った激流が荒々しく掻き乱す。

碧眼と青眼が重なり、この世に二人しかいないのかと錯覚させるほど、互いにのみ集中している。

疎外感を感じる。自分だけが置き去りにされている感じがする。

アースカティアは元から三人の中で一番強かった。

レレはこの魔法の訓練で驚異的な成長を遂げた。

今、この二人の力は拮抗している。

互いに一歩も譲らずに攻撃、防御、反撃、回避、様々な選択肢を用いて熾烈な戦闘を繰り広げている。

本当に自分はこのままでいいのか?

その問いかけが己の心の中で何度も反芻する。

反芻するだけならどうってことない。

けれどもこの問いかけは確実に、悪意を持って己の悪感情を駆り立てる。

焦燥が、孤独が、嫉妬が、忸怩が、何度も何度も問いかけてくる。

邪魔だ、鬱陶しい、無くなって欲しい、この世から消えて欲しい。

響き渡る想いの中、彼女は一つの答えにたどり着いた。


「こうなったら、ララも二人に負けないくらい、強くなってやるかしら!」


こうして、意図しない二人の計らいによって、ララは猛然たる訓練を開始した。

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