俺がこの世に生まれた意味

高木礼六

目を覚まして迷子

寝ぼけた脳裏にあの時の情景が浮かんでくる。

三人で全力で挑んでも、力も頭もフルに使っても、手も足も出なかったあの老人のあの顔。

俺は本当に、この世の真実にたどり着けるのか、不安になってくる。

俺は、本当に、このまま...


「...ん、うぅっ、」


うっすらと開けた目線先には、見たことがない天井が広がっている。

白く、綺麗で、ひんやりと冷たそうで、とても落ち着く。

でも、なんで俺はこんなところに...


「あっ!目が覚めましたか。」


声のした方を半ば反射的に見ると、顔を覗き込む女性ーーマイヤの紫眼と、アースカティアの碧眼が重なった。

どうやら俺は眠っていたらしいな。


「マイヤさん。こ、ここは、どこだ?」

「ここはギルド内の医務室ですよ。ユナン様が魔法であなた方を眠らせてからここに運び込んだんです。」

「ああ、そう言うことね。」


なんとなく思い出してきた。

ユパさんが直々に三人の力量を測ることになって、ボコボコにされ、なんらかの魔法を施された後に意識が飛ばされたんだ。


「そういえば、ララとレレは?」

「御二方なら先に目を覚まされて、今はユナン様の所に行っていますよ。」

「へー、そうなんだ...って、それ俺も行かないといけないんじゃないの!?急がなきゃ!」


アースカティアの隣を見てみれば使用済みと思われるベットが二つ並んでいる。

けれどもそこは既にもぬけの殻、誰もいない。

つまり、早く行かなければ、一人だけ仲間はずれという事になってしまう。

二人を待たせるわけにもいくまい。

アースカティアは大慌てで看病をしてくれていたマイヤに一言礼を言うと、部屋を後にした。


「頑張ってくださいね。...でもアースカティアさん。場所分かるのかな?」

〜〜

「ここドコーーー!!??」


アースカティアは絶賛迷子中だ。

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