俺がこの世に生まれた意味
始まりの知らせ
「俺たちがここに住み始めてもう七年になるのか...」
見窄らしい一軒家。
下手をすれば廃屋にも見えないことのないその家に三人は一緒に暮らしていた。
支えてくれる家族はない。
叱ってくれる近所の大人もない。
周りには家など一つもなく、あるのはただただ広い森だけ。
ここは山奥。
三人が力を寄せ合って足りないものを補い合い、自給自足の生活を送る場所。
共同生活当初、まだ小さかった三人にとって、それは地獄のような毎日だった。
満足に食事もできない。家計が維持できない。そもそもどうやって生活していけばいいのかわからないと言う最悪の状態だった。
けれど今はもう違う。
毎日の試行錯誤の結果、アースカティアとレレで食材の確保、ララが家事全般をこなす。
そして、それでも足りないものがあるのならば、悪魔退治でお金を稼ぎ、物資を補給していた。
けれども、そんな代わり映えしない日々に満足しているというわけではなかった。
「こんな生活、いつまで続くのかしら。もう飽き飽き。」
「もうララったら、そんな事言わないの。頑張ってればいつか夢が叶うよ、きっと。」
「そうだぞララ、自分を信じろ。そうすればいつか夢は叶う!」
「そのいつかってのはいつなのかしら。何回おんなじことを聞けばいい?」
「うっ、それはだな、えっとな...あ、伝書鳩だ。」
「話を逸らさないでほしいかしら。うちに伝書鳩が来るわけが...」
ない、と言葉を続けようとするララだったが、目の前の光景に言葉が喉の奥で消えてしまった。
開いていた窓からバサバサと鳥の羽ばたく音が聞こえ、一匹の真っ白な鳩が三人の前に止まった。
口には一枚の手紙が加えられている。
本当に本物の伝書鳩が来た。
「信じられないかしら。本当に来た。」
「待て待て、罠かもしれないし手違いかもしれない。俺たちに手紙なんて...あり得るはずが...ないよな?」
「レレに聞かないでよ!私だって聞きたいんだからもう、とりあえず開けてみようよ。」
「そ、そうだな。」
伸ばす手に震えを感じる。
緊張、そうアースカティアを含めてララとレレも初めての手紙に緊張してしまっているのだ。
たかが伝書鳩ごときで緊張していると、村の奴らに知られでもしたら更に軽蔑の目で見られるだろう。
アースカティアは三人を代表して手紙を取った。
「異端児の方々へ...これは俺たちの事だよな。えっと、差出人は...」
手紙の宛名には確かに異端児の方々へと書いてある。
異端児なんてこの辺りで呼ばれているのはここの三人以外にいない。
ならばこの手紙は本当に三人宛と言うことになる。
そんな嫌われ者三人組に手紙を差し出す変わり者とは...
「パ、パールシアギルド本部!?」
「パ、パールシアギルド本部って、あ、あのパールシアギルド本部!?」
「う、嘘、本当かしら、は、早く手紙を開けてよ。」
「わ、分かった。」
アースカティアは更に震えだした手で袋の封を切った。
中にはいかにも高級そうな手紙が一枚。
内容はこうである。
ーー突然の手紙、誠に失礼だということを承知で送らせていただきます。
さて早速本題です。
私たちギルド本部は、貴方達御三方を冒険者として歓迎いたします。
お噂は予々聞いております。
実に優秀な悪魔掃除屋だと。
その実力を見込んで明日、使いを送らせていただきますので返事はその時に。
良い知らせをお待ちしております。
ーーギルド本部長、ユナン・パールシア
「や、やばい。どうしよう。震えが止まらねえ。」
「わ、私もやばいかも。」
「私もかしら。」
三人は互いの顔を見合わせ、目をパチパチとしている。
パールシアギルドとは世界最大の冒険者組織。
その本部となればそれはもうひとつの国として成り立っているほど。
近年突如として現れた魔窟という悪魔の巣窟の出現により、今は最も重要視されているものの一つだ。
そんな所から冒険者の誘いが来てしまった。
「みんなどうするの?行くの?」
「それはもう、愚問かしら。」
「ああ、答えは一つだぜ。」
この世に蔓延る全ての謎を解き明かすため。
己の知識欲を満たすため。
自分たちの夢を叶えるため。
「この誘いに乗る!俺たちの夢のためにだ!」
見窄らしい一軒家。
下手をすれば廃屋にも見えないことのないその家に三人は一緒に暮らしていた。
支えてくれる家族はない。
叱ってくれる近所の大人もない。
周りには家など一つもなく、あるのはただただ広い森だけ。
ここは山奥。
三人が力を寄せ合って足りないものを補い合い、自給自足の生活を送る場所。
共同生活当初、まだ小さかった三人にとって、それは地獄のような毎日だった。
満足に食事もできない。家計が維持できない。そもそもどうやって生活していけばいいのかわからないと言う最悪の状態だった。
けれど今はもう違う。
毎日の試行錯誤の結果、アースカティアとレレで食材の確保、ララが家事全般をこなす。
そして、それでも足りないものがあるのならば、悪魔退治でお金を稼ぎ、物資を補給していた。
けれども、そんな代わり映えしない日々に満足しているというわけではなかった。
「こんな生活、いつまで続くのかしら。もう飽き飽き。」
「もうララったら、そんな事言わないの。頑張ってればいつか夢が叶うよ、きっと。」
「そうだぞララ、自分を信じろ。そうすればいつか夢は叶う!」
「そのいつかってのはいつなのかしら。何回おんなじことを聞けばいい?」
「うっ、それはだな、えっとな...あ、伝書鳩だ。」
「話を逸らさないでほしいかしら。うちに伝書鳩が来るわけが...」
ない、と言葉を続けようとするララだったが、目の前の光景に言葉が喉の奥で消えてしまった。
開いていた窓からバサバサと鳥の羽ばたく音が聞こえ、一匹の真っ白な鳩が三人の前に止まった。
口には一枚の手紙が加えられている。
本当に本物の伝書鳩が来た。
「信じられないかしら。本当に来た。」
「待て待て、罠かもしれないし手違いかもしれない。俺たちに手紙なんて...あり得るはずが...ないよな?」
「レレに聞かないでよ!私だって聞きたいんだからもう、とりあえず開けてみようよ。」
「そ、そうだな。」
伸ばす手に震えを感じる。
緊張、そうアースカティアを含めてララとレレも初めての手紙に緊張してしまっているのだ。
たかが伝書鳩ごときで緊張していると、村の奴らに知られでもしたら更に軽蔑の目で見られるだろう。
アースカティアは三人を代表して手紙を取った。
「異端児の方々へ...これは俺たちの事だよな。えっと、差出人は...」
手紙の宛名には確かに異端児の方々へと書いてある。
異端児なんてこの辺りで呼ばれているのはここの三人以外にいない。
ならばこの手紙は本当に三人宛と言うことになる。
そんな嫌われ者三人組に手紙を差し出す変わり者とは...
「パ、パールシアギルド本部!?」
「パ、パールシアギルド本部って、あ、あのパールシアギルド本部!?」
「う、嘘、本当かしら、は、早く手紙を開けてよ。」
「わ、分かった。」
アースカティアは更に震えだした手で袋の封を切った。
中にはいかにも高級そうな手紙が一枚。
内容はこうである。
ーー突然の手紙、誠に失礼だということを承知で送らせていただきます。
さて早速本題です。
私たちギルド本部は、貴方達御三方を冒険者として歓迎いたします。
お噂は予々聞いております。
実に優秀な悪魔掃除屋だと。
その実力を見込んで明日、使いを送らせていただきますので返事はその時に。
良い知らせをお待ちしております。
ーーギルド本部長、ユナン・パールシア
「や、やばい。どうしよう。震えが止まらねえ。」
「わ、私もやばいかも。」
「私もかしら。」
三人は互いの顔を見合わせ、目をパチパチとしている。
パールシアギルドとは世界最大の冒険者組織。
その本部となればそれはもうひとつの国として成り立っているほど。
近年突如として現れた魔窟という悪魔の巣窟の出現により、今は最も重要視されているものの一つだ。
そんな所から冒険者の誘いが来てしまった。
「みんなどうするの?行くの?」
「それはもう、愚問かしら。」
「ああ、答えは一つだぜ。」
この世に蔓延る全ての謎を解き明かすため。
己の知識欲を満たすため。
自分たちの夢を叶えるため。
「この誘いに乗る!俺たちの夢のためにだ!」
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