SUPEL_night

ルゲ野。

第三話


「ギシちゃんはいつ夜百々ここに来たの?」
「えっと、一週間前かな?」
入学式を終え、教室での短いHRで自己紹介をして自由時間になった。クラスの皆は明るくて、すぐに馴染むことが出来た。あだ名で読んでもらえる程度には。
「へぇ、じゃあこの町の噂とか少しは知ってるかな」
「噂………?」
ショートカットの女の子が言った「この町の噂」については初耳だった。私が噂について何も知らない素振りを見せると、女の子達がぐいっと顔を寄せてきた。
「いい?これあんまり話題にするなって言われてるけど…」
「う、うん…………」
同じショートカットの子が一つ息をついて話始めた。
「この町には、夜中にお化けが来るの。なんでも人になりたくて、人を襲ってその魂を食べちゃうんだとか」
「たっ、食べられちゃうの?!」
「しっ!………それでね、今までそのお化けを退治してくれてた神様、いわゆる守り神様がいたんだけど…」
「……だけど?」

「____その神様、殺されちゃったんだって」

「か、神様がっ?!それじゃあ……」
私達食べられちゃうの…?えっ、嫌なんだけど?私まだやりたい事沢山あるのに…
「………ぷっ」
ぷっ?……誰かおならした?
「あはははは!うそうそ、冗談だよ!そんなお化けなんか本当にいるわけないよ~」
……どうやらからかわれたみたいだった。私の周りにいた子が全員笑ってた。
「…も、もー!止めてよー!!吃驚したなぁ!」
「ギシちゃんこんな事信じちゃうなんて、なかなか可愛いねぇ、ホントに高校生?」
まだ笑ってるし。本当にたちの悪い冗談だった。
「あ、でもね。この噂は本当にあってね、町のお偉いさんは信じてるみたいで…」
「夜の12時以降は絶対に外出しちゃ駄目!って言われてんの」
派手な格好をした金髪の子が呆れたように言った。…いかにもギャル!って感じの子だ。
「そんな…なら本当なんじゃないの…?」
「だったら私達とっくに食われてるっつーの。皆お陀仏、その死んだ神様とご対面してるわ」
確かにその通りだ…。この一週間何もなかったし、皆ピンピンしている。
「まっ、確かめようがないからねー。外出て見つかったら絶対成績に響くし」
「そーそー、進級できないかも。あっ!ヤバ、来週学力テストだって!」
「マジ?!あとで勉強教えあいっこしよ!ギシちゃんも一緒にしようよ」
「あっ、うん!勿論!」
皆はもう噂について何も言わなかったけど、私はどうしても噂の事が気にかかってた。

コメント

コメントを書く

「現代アクション」の人気作品

書籍化作品