悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

097★ソルス・エル・ピーシェの樹を授けた、太陽神ソレスト様の性格



 私自身が、今の新しい人生で、やっと呪縛から解放されて、自由になったからこそ。

 あの水晶の中にいた、彼ら全てを外に出してあげたいと思ったのよねぇ………。

 そう、王宮で、未来の皇太子妃という名の義務と責任と呪具によって、小さな空間に閉じ込められていた私と、同じような存在だから………。

 今後の冒険者として活動したいと思っている私にとって、回復魔法の使い手である一角天馬は、絶対に起こしたい存在。

 体力と《魔力》の回復に、とぉ~っても有効なソルス・エル・ピーシェを、ガンガン食べて《魔力》を一角天馬《ユニコンペガサス》に注ぎたいって思っているのよねぇ………。

 あの時は、既に大半の魔力を使ったあとだから………。

 たとえ仮死状態から蘇生自体は出来ても、身動きできるだけ回復するまでは無理だって判っていたから………。

 樹から落ちて消えるだけなら、熟している実を全部採って食べても構わないよね。

 だから、私は食べられる実を全部採取しようと思う。

 ある意味、神の恩寵の実だから、それ以上の採取保有は不当ってなれば、この手の中から消えるって判っているし………。

 それはたとえインベントリに入れても、許されている数を超えれば消えてしまうモノだから………。

 許されているなら、採取した実は残るモノ………。

 そして、何故かわからないけど、私は採取してインベントリに入れる実が消えないって思えるのよねぇ………なんでだか?

 いや、それよりも、由々しき問題は、ソルス・エル・ピーシェの樹が消えて行っているっておじさんが言っていたことね?

 いったい、どうしてなんだろう?

 あのおじさんの勘違いだったら、なんの問題もないけど………。

 もしも、本当にソルス・エル・ピーシェの樹が消えているなら大変なことになるわ。

 だって、ソルス・エル・ピーシェの樹が消えるごとに、ソルス・ロス・エンダ村の結界が弱ったり、壊れかけているなんてコトになってしまうんじゃないかしら?

 あうぅぅぅ~…とぉ~っても、それが気になります。

 ここは、私より認識力が広いコウちゃんに聞いてみよう。

 「ねぇ…コウちゃん

  ソルス・エル・ピーシェの
  樹が減っているのって
  どうしてなの?

  もし、それがほんとうなら
  消えた樹は枯れちゃった
  ってことなの?

  それと、この村の結界って
  ソルス・エル・ピーシェの
  樹と連動して、弱ったり
  壊れたりしているのかしら?」

 私の心配と不安を察したコウちゃんが、クスッと笑って答えてくれる。

 『ママぁ~
  ソルス・エル・ピーシェの
  樹と実はね

  魔物に、人間の気配を
  わからなくさせる認識阻害の
  魔法を発生しているんだよ

  でも、今みたいにね
  あの村に存在する人間の数が
  極端に減るとね

  認識阻害の為の《魔力》が
  多くなり過ぎてしまうんだ

  そうすると、村の人間にも
  影響が出てしまうんだ

  悪影響を及ぼすような
  そんな余分な《魔力》は
  必要ないでしょう?

  だから、あの村の周りから
  ソルス・エル・ピーシェの樹は

  太陽神ソレストの庭に
  戻っているんだよ

  枯れたり弱ったりなんてコトに
  なっていないから、大丈夫だよ』

 その説明を聞いて、私はホッとする。

 なんだ、そう言うことなのね。

 って、それって、下手すると外部から忘れられた村になっちゃうってこと………。

 2週に1回ぐらい来ている冒険者ギルドから派遣さけた人が、ここの村は終わったとか認識しちゃう可能性があるから、安全をとって神の庭に戻るって認識で言いのかな?

 「それじゃー…もしもだよ
  魔物が大量発生して

  あの村に魔物達が大挙して
  向かったらどうなるの?」
 
 『それはね、あの村にいる
  人間の数が少ないから
  あの本数の結界で十分だよ』

 「本当に大丈夫なの?」

 『うん、平気平気
  太陽神ソレストの
  加護がある村だしね

  そういう意味では
  大丈夫だよ』

 「それじぁーあの村を守る為に
  騎士達とか冒険者が
  大勢来て滞在したら

  あの減った本数じゃ
  村の結界を維持出来なく
  なるんじゃないの?」

 『それも、平気だよ
  ソレス・エル・ピーシェの樹には

  太陽神ソレストの
  魔法がかかっているからね

  結界の維持がきつくなったら
  太陽神ソレストの庭から

  結界の維持に必要な分が
  瞬時に転移されてくるんだ』

 「えっ…えぇーそんな魔法も
  かかっていたの?」

 『太陽神ソレストって
  じつはかなりの横着者でね

  縦の物を横に動かすのも
  面倒くさいって言う
  怠け者の性格なんだよ

  創造主の女神が消えて
  勤勉さが無くなったんで

  だから、魔法かけるのに
  苦労しても良いから

  1回で済ませたいって思って
  かけてあるんだよ

  横着する為の努力を
  惜しまないって性格なの

  女神に褒めてもらえないのに
  頑張る気ないってさ』

 言い切るコウちゃんに、私は思わず前世の素に戻ってしまう。

 そう、オタクなアラフィフ女の感覚に………。

 「マジで?」

 『うん。だからね、ママ
  壊れない道具って

  太陽神ソレスト様の加護が
  付いているって
  よく言うでしょう』

 言われて、私は納得する。

 「あっ…そう言えば……

  色々な道具を造る職人達の
  守護神セルファス様の加護って

  職人に付いてるって言うけど

  確かに、道具に付いている
  って言わなかったわ

  それって、太陽神ソレスト様の
  領域なんだねぇ~……
  なんか納得」




「悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く