悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

088★死薔薇の鞭を握りながら、シルビアーナは昔を思い出す2



 そう言えば、たまに、あの綺麗な瞳に涙が浮かんでいたったけ………。
 そんな時、私は、堂々と宣言したわねぇ~………。

 『あのお花畑は、何時か、お父様に頼んでせっかん………
  いえ、勉強と訓練をさせますから
  必ず皇太子として責務をサボった分の血反吐を吐かせてあげますわ』

 『まあ…シルビアーナは頼もしいわね、あの馬鹿を鍛えてあげてね』

 『はい』

 そんな子供らしい大見栄?を、皇太后陛下は笑って見てくださったわ。
 でも、途中から、別のことを言い始めたわ。
 あれは、何時の頃からかしら?
 記憶がさだかではないけれど………。
 
 『馬鹿孫のことは気に留めなくて良いから
  シルビアーナ、貴女は、貴女のしあわせを求めなさい

  本当に好きな人を選びなさい、後悔しないようにね
  可愛いシルビアーナ、貴女の幸せを何時でも祈っているわ』

 『私は、私を…私だけを好きだって言う人を選びたいですわ』

 『選びなさい、貴女のこころと勘と本能にしたがってね』

 『はい』

 あの頃は、何故? こんな不思議なことを言うのかな? って思っていたけど………。
 婚約破棄された今は、自分で愛する人を選べぶコトが出来る。
 皇太后陛下は、未来見だったのかしら………。

 誰かがそんなコトを言っていた気がするんだけど………。
 誰が言っていたかまでは思い出せないわ。
 本当に、あの呪具3点セットのセイで……良い迷惑だわ、まったく記憶があやふやなんですもの。

 じゃなくて、私の婚約者(お父様の決めたアルディーン兄様)と婚約者候補は、ヤンデレしかいないみたいだから………。

 皇太后陛下は、どんな私を見たんですか?
 その立場になった私は、苦悩していたんでしょうか?
 それとも、諦めて受け入れていたのでしょうか?
 それとも、こんな男を愛したんだからって………?

 ヤンデレスイッチを入れさせなきゃ良いって、開き直っていたんでしょうか?
 ろくでもない未来を見たセイで、バァーバ様の寿命を削ったんでしょうか?
 答えの無い問いかけは無意味でしょうか?
 それでも、その部分(その立場になった私の心)が、とぉ~っても知りたいですわ。

 ああー止め止め………暗くなるのは後にするわ。
 今は、目前に迫ったローズスネイクよ。
 あの2人に扱かれて使えるようになった鞭さばきで、この死薔薇の鞭を使って、ガンガン行くわよ。

 なんといっても、レジェンド級の2本1対の死薔薇の鞭ですもの、無双してみせますわ。
 バァーバ様、見ていて、私は、自由に、好き勝手に生きていきます。
 なんて格好を付けて、テンションあげあげで、私は死薔薇の鞭を振るう。

 さすがは、レジェンド級、ちょっと掠っただけで、レッドローズスネイクの首を捕らえて、キュッと軽く絞め殺していた。
 2本1対の死薔薇の鞭は、1度に10体をあっさりと倒してくれる。

 この調子で、私は、しっかりとレッド、ブルー、パープルのローズスネイクを倒していった。
 ただ、1回目の絞め殺しの時、そう1度に10体倒す時に、一瞬だけど、HPが枯渇するらしく、強烈な眩暈を感じた。

 その後、直ぐにレッドローズスネイク達から毟り取ったHPが、私に加算されて何事も無かったけどね。
 でも、本気でクラクラしたわ。
 もっと魔物を倒して、体力の底上げをしないとね。
 
 その後は、少しHPのレベルが上がったらしく、強烈な眩暈を感じることはなかったけど、やっぱり少しクラクラした感覚は消えなかった。
 ああ、やっぱり、シルビアーナの体力って低いわぁ………。
 いや、深窓のお姫様していたんだから、しょうがないんだけどね。

 とにかく、この場をしのぐ為に、私は必死で死薔薇の鞭に頼った戦いをしていた。
 精霊達の結界があったから、良かったが、無かったら、毒を吸い込んでしまったり、身体に張り付いた毒に犯されるなんてコトになったいただろう。

 ようするに、私のレベルは、ローズスネイク種を相手に出来るほどのHPを持っていなかったのだと自覚した。
 でも、もともと私は籠の鳥お姫様育ちで、弱かったんだからと気をとりなおしたのは言うまでもない。
 本当に、忌々しい婚約期間だったわぁ………自由な意思も時間も無い。

 それでも、意地で頑張ったカイがあったわね。
 死薔薇の鞭でローズスネイク系を倒しまくった私のレベルはあがり、着実に余裕が出てきたわ。

 勿論、インベントリに自動収納をセットしたお陰で、先に駆けて来た大量の地駆鳥に、それを追い駆けてきたローズスネイク系をゲットできたモノ。
 後は、もう少し行けば、ソルス・ロス・エンダ村だわ。
 それにしても、村が近いのに、何でこんなに魔物が多いのかしら?






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