悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する
065★ パーティー会場にて、手渡された手紙は最悪?2
ブランデルにも、私の不幸?苦悩?を分けてやりたい………。
この手紙を公開して、皆のものに、苦悩を撒き散らすのも一興だ。
特に、シルビアーナの夫候補の牽制になってくれるかもしれない。
というか、なって欲しい………切実に。
あああ私の心が、くじけそうだ。
やっと、シルビアーナと暮らせると思ったのに………。
果たして家族で暮らして良いものなのか?
ラインハルトのコトを考えると、別居した方が………。
せっかく、一緒に暮らせるのに………。
何故、こんな苦悩をしなければならない。
いっそ、ディアを連れてシルビアーナ探索の旅にでようかな?
いやいやその前に、ダンジョンに行かねばならなかったな………。
ダンジョン探索と言えば、冒険者のアレが付いて来そうだ。
断固、拒否するぞ。
シルビアーナと夫候補は、絶対に会わせんぞ。
接点を削って、シルビアーナの自由な時間を増やしてやりたい。
なに、ラインハルトは男だ。
1人にしておいても大丈夫だ。
今まで、両親の愛を一身に受けていたのだから………。
私とディアがいなくても、領地経営なんかも任せられるはず………。
というか、それ重石にしてなんとしても、ラインハルトは領地に置いて行くぞ。
それだけのモノは身に着けさせてあるんだから………。
ああそうだ、シルビアーナを探して、ディアと旅をしよう。
そして、3人で、穏やかに暮らすんだ。
私が、あまりの内容に、思考の旅に出でいたのに………。
業を煮やしたブランデルが無言で、アーダベルトと争っていた。
そう、手紙を奪おうとするブランデルの手を、アーダベルトが掴んで押し合いをしていたのだ。
ふふふ………2人もシルビアーナの夫の親だ……いや、候補だけどな。
それでも、当事者のひとり確定なんだから………苦悩しろ。
そう思いながら私は会場内を見回した。
すると、夫候補のできる男(病んでる監禁男)達が、私達の周りにジワジワと集まって来ていた。
うげっ………やっぱり、居るんだな。
伯母上の《先見み》というか《未来視》で上がっていた男達が、にじり寄ってくるのは………。
もしかしなくても、婚約破棄状態で、夫候補の席が空欄のシルビアーナに婚姻を申し込む為だろうなぁ………いやだなぁ………。
ふふふふふ………そうだ、お前達にも、コレを読ませてやろう。
読んだ上で、制約の女神、復讐と断罪の女神レジナージアに制約を結ばせてやる。
婚姻後、誰を選んだとしても、シルビアーナが監禁されたり、ベッドから離れられない生活をしないですむように………。
でも、出来るなら、ディアと一緒に3人で逃亡生活も………良いなぁ……。
以前、年上の友人が、『娘に近付く男は、害虫として駆除したい』と言っていたのは、至高の格言だと今は思う。
ごめん、ユリシーズ、あの時、アーダベルトと引いてしまって………。
でも、君の息子フェルディナンドだよね。
シルビアーナの夫候補の将軍は君の息子だよね。
害虫として駆除しても良いかい?
そして、アーダベルト、君のアルディーンをなんとかしてくれないか?
って、あれ? 夫候補の親って、ブランデルと揉めても気にしないで、私と友人付き合いをしている友ばかりじゃないか?
もしかしなくても、詰んでる?
逃げ道が無い? 申し込まれるのは………どうしよう?
だって、老いらくの恋をしたイグナシオ様って、私の魔法の師匠だったし………。
冒険者のバルザックの親って………。
俺の冒険者仲間だったバルドゥール、いや、豪腕のバルじゃないか………。
戦闘狂のバルそれに、皮肉屋のギルダールの3人パーティーだったなぁ………。
あれ? ギルダールの息子って、宮廷魔術師筆頭を務めるジリアーノだったよな気が………。
だぁぁぁぁぁ~…かんべんしてくれよぉぉぉ~………。
俺の信頼できる友人が、軒並み使えないヤツになっちまったぜ。
逃げよう、いや、何が何でもディアを連れて逃げるぞ。
でも、あいつ等は確実に俺を追い詰めるよなぁ~………。
なんと言っても、俺はシルビアーナの婚姻許可を持つ男親だから………。
あいつ等とは、伊達に長い付き合いをしていないから………。
こうなると、いっそ、ソレントの力を借りるか?
いや、俺と関わる親の子供が、シルビアーナの夫候補なら………。
ソレントの王子も、アルビナ帝国の皇子も、敵(シルビアーナの夫候補)になる。
ここは、冒険者として旅をして生きるしかない。
その旅で、シルビアーナ自身が恋をして夫を得て欲しい。
なんてことを考え、私はにじり寄る、夫候補とその親をどうやって煙に巻いて逃げるかを模索する。
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